リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

わさびパン

さて、真優は無事わさびパンを獲得し、激辛の嵐を真っ向から受けたのだが、美優はどうであろうか。
「、、、、、、、、、」
真優がわさびパンを喰らい、顔を真っ赤にしている光景を、姉はガタガタと真顔無口で顔を青くしながら見ていた。それほどまでに辛いものが苦手なおっとり系の白凪美優である。
「おーっ!これは凄い!わさびパンを喰らいながらも!顔を真っ赤にしながらも駆け抜けている!これは先程のツンデレとは別格だーっ!」
アナウンスが真優をはやし立てるが、真優自身うつ伏せでぶっ倒れているがために何も口出しできない。
そして美優の出番である。
「、、、、、、、、、、、」
手に汗握るにはまだ早すぎる頃、しかし既に美優の掌や額は嫌な汗がではじめていた。
いや、めっちゃでてる。
お馴染みのクラウチングスタートでさえも美優にとっては苦でしかない。何故なら辛いものが待っているからである。あの運営の事だ。きっと真優の姉である美優の列にも一括してわさびパンにしているに違いない。美優といっしょに走る選手がいかつい視線を美優に向けるが、今の美優はそれすらも目には通らない。
「位置について!よぉーい!」
そしてバンと言う音とともに全員が走り出した。
運動を苦手とする美優は他と比べて頭1個分くらい足が遅い。発育がいいせいで重いのだきっと、、、。うん。
「白凪姉!少し遅れをとっているぞ!?これはミスマッチだったか!」
現在の美優の順位は4位と5位の境。そして1位の選手が問題所へと差し掛かった。
迷わず目の前のパンを咥えた結果は、、、
「〜〜~!?」
「残念!わさびパンでしたぁ!」
まさに外道。ここで憎たらしいアナウンスが入る。
それからというもの2番3番と連続でわさびパンを引き当て、ノロノロと前を走っている最中、美優がパンを咥える番となった。
「どうしよう、、、1番と3番だけしかないわね、、、3番はたっくんの好きな番号だから、、、、1番ね」
いや待てって。何でそうお前ら姉妹は俺の好きな番号を嫌うんだよ。大体日本人は3が(ry
そして咥えた1番のパン、、、結果は、、
「、、、、、あら?」
その時美優が感じた味は甘さだった。そこらへんで売っているようなアンパンの甘さだった。まさかとは思うが、運営のミス?
そう思った美優の走るスピードはわさびパンを喰らった他の選手よりは今だけは速い。
ぐんぐん追いついた後、、、
「おーーーっと!1位は白凪姉!」
見事1位を獲得した美優は口に咥えていたパンを全て食べきった。
「いやぁ、やはりわさびを片方に寄せると言うのはフェアではありませんな(笑)」
「そうですねぇ。やはり走りながらわさびの辛さを味わってもらわないと(笑)」
「、、、、、、、、、」
そう言ったアナウンスが聞こえたのは、既に美優がパンを全て口に入れて、安心しきった顔でもぐもぐとかんでいる時であった。
まさに外道。

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