リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

わさびパン

「あぁぁあ、、、、」
先程の痛い競技は俺の精神を最悪までに貶めた。お陰で周りから感じる目線が痛い程に察知できる。
そんな中、次の競技は、、、
「さてはて!先程の痛い選手のように、この場を盛り上げてくれる選手が居るのでしょうか!次はパン食い競争でーすっ!」
やめて!瀧のライフはもうゼロよ!
「あ、あれ真優ちゃんと美優ちゃんだよね?」
華恋にそう言われ、渋々眺めると、学年が違うので場所は一緒ではないが、確かに列に並んで走る白凪姉妹がいた。
「さてさて!準備も整った所で!早速始めましょう!それでは!」
ピストル担当の役員の人がピストルを構え、空気が引き絞められる。そして
「始まりました!第一走者の中にわさびパントラップにかかる選手は果たして誰だ!?」
、、、、、、、、、は?
この時、出場選手達の息が完全に一致した。トラップ。それは敵の攻撃を防いだり、はたまた有利な戦闘をするために仕掛ける『手段』である。
つまり、、、主催者側からしたら俺たちは敵!そう敵なんだ!よし!俺な恥ずかし目を受けた仕返しを今返さん!
と言う事は置いておいて、、、。うん。頑張れよ。

「ちょっと待ってよ!無理無理!ぜーったい無理!わ、わわわさびってあの辛いわさびよね!?私辛いの無理!」
そしてめに入った駄々をこねまくる白凪妹ツンデレ。一方姉さんの方は、、、
「、、、、、、、、」
と、言葉にならないくらいがたがた震えていた。白凪姉妹は辛いものが苦手なのである。
そして、、、
「ちょっとおおお!わさびなんて嫌だぁ!」
真優の出番である。未だ抜かりのない運営側は次々にわさびパンで選手達を苦しめていた。
「第五走者白凪真優選手!ビビっている!これは勝ち目なしか!?」
おっと。ここで負けず嫌いの真優を刺激するとは、流石情報網ヤバすぎる運営側。真優がぴくりと反応した。
「な、やってやろうじゃない、、、そんなに私をおちょくるんだから1位なんて取ってやるわよ」
そして、ピストルがなった。
「おーっと!ツンデレが序盤をとった!これは転機が訪れるのか!」
「私はツンデレじゃない!だ、誰がそんな情報流したのよ!」
ごめん。それ多分俺だわ、、、、頑張れツンデレ。
そして、最難関5分の1がわさびパンである、パン争奪戦となる。わさびパンがあるためにみんな一斉に食いつくのだが、挑発された真優は独走状態でパンの前で速度を落とした。
「どうしよう。1番と5番は角度的に取りにくいし、2番は今日のバッドナンバーだし、4番は不吉な数字だし、3番は瀧の好きな数字なのよね、、、」
いやおい。何故そこで俺の好み=ダメみたいな定義立ててんだよ。日本人は3がすきなんだよ。
「どうしたツンデレ負けず嫌い!戸惑っているぞ!」
「うるさいわね!、、、ええい!この際これだ!」
と、咥えた3番のパン。やはり真優も日本人である。恐る恐る咥えたパンは、、、
「っ〜~〜!?」
残念ながら激辛わさびパンだったようだ。真優が顔を真っ赤にさせながら、フラフラと小走りをしていた。
「うう、、、口の中がヒリヒリする、、」
真優は内心自分の運の悪さを憎んだ。しかしそれも束の間。
「いやぁ流石に全部わさびパンはきつすぎましたかねぇ?」
「いやいや、ここで白凪選手に食べてもらわないとこちら側としては盛り上がりませんよ」
と言うアナウンスが会場中を覆った。わざとらしくマイクに通るような音で、、、。

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