リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

天使のさえずり・リンのお料理

今朝は早く起きてしまった。とりあえずこの夏場部屋にいても暑いので散歩に出かけることにした。
「んー外も暑いかなぁ、、、あ、そうだあれを持っていって」
散歩に行くためにジャージに着替え、荷物をまとめる。いざ外を出るとまだ五時とはいえ少し暑かった。
「ひゃー、、、これは早めに帰るが吉だな、、、ん?」
ふとリンの家を見ると、何やら怪しい煙がもくもくと出てきていた。
「うわ、、、ありゃリンが何か作ってんな、、、、」
身の危険を感じそそくさとその場を離れる。
朝方の町並みはやはり物静かで住民の多くはまだ寝静まっているような空気だった。この街に住んで何年が経つだろうか。思い返してみればずいぶんと風景は変わった。近世的な建造物やビルも増えてきたし、何より学校も増えた。やだなんだかじじ臭いよ俺。
「ここも昔は駄菓子屋だったよなぁ、、、」
「あれ?瀧?」
元駄菓子屋だった所を徘徊していると何やら背後に天使のさえずりが、、、
「、、、華恋」
運命とはこのことを言うのだろうか。誰もいないはずの商店街、しかも多くの住民は寝静まっているような朝方に俺と華恋は運命的に、、、まてまて。落ち着け俺。相手は華恋だ男だぞ?、いやまて、こういう場合は男のー
「瀧?どうかしたの?」
試行錯誤している俺に気づいたようで心配そうな顔をする華恋。実際俺はしょうもない事を考えていただけなんだが。、、、、ん?
見ると華恋の手にはリードが握られており、その先には小型のチワワが可愛げにお座りをしていた。
「華恋って犬飼ってたっけ」
「うん。何ヶ月か前にね。この子の散歩に来たんだよ、、、瀧は?」
「俺は今朝早く起きちまったから気晴らしに散歩だよ、、、それにしても可愛いよな犬って、、、、」
そう言って俺が華恋のチワワに触れようとした瞬間。
カプッ
小さな口が俺の人差し指に噛み付く。温和な笑みを浮かべていた俺の表情が徐々に青くなっていき、、、
「いっっってぇぇぇぇえ!」
「ちょっとミナ!そんなことしちゃダメだって!」
ミナと呼ばれたチワワは俺の指を噛み付いたまま離さなかった。尻尾を降っているところを見るとどうやら嫌われているわけではないらしい。と思う。そうであって欲しい。
「ごめんね瀧!こんな事になるなんて」
あたふたと謝り倒す華恋を見て俺の怒りのボルテージも一気に下がった。そうだ。これはなにかの間違いだ。きっとミナもじゃれたかっただけなんだろう。次からはきっと大丈夫。
「大丈夫大丈夫。急に触った俺も悪いんだしな。ごめんなぁミナ、、、、」
カプッ
本日二回目の噛み付き攻撃により華恋は更に俺に謝り倒すことになる。そんな中俺は華恋に謝れる度に可愛いと思うのでした。
あ、俺別にそっち系ではないんで、、、。俺が好きなのは、、、、、、はい。
「ただいま。あれ?」
ミナに噛まれた指をさすりながら我が家に変えると靴がひとつ多いことに気付く。察するに客がいるのだろうか。
「あ、兄さんおかえり。リンさん来てるよ」
「おはよ!瀧!」
リビングに着くとソファに腰掛けているリンと愛華が俺を出迎えてくれた。テーブルの上には何やら透明な袋が置かれている。
「はいこれ」
<a href="//18503.mitemin.net/i202806/" target="_blank"><img src="//18503.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i202806/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
その袋を渡されて中身を見ると小さなパウンドケーキだった。過去の記憶からこれがすごい危ないものに見えてきた。
「こ、これは、、、」
思わず顔が引きつってしまう。過去のことを考えるとこれは殺人的にやばいものである。例に家庭科の先生病院に運ばれたし。
「兄さん食べなよ」
そういえば愛華にはこの前の調理実習の話はしていた。だからだろうか、愛華の顔がすごい意地悪に見えてくる。
「あ、あぁ、、、そうだな」
恐る恐る袋から取り出し口に運ぶ。リンは期待の眼差しで俺を見ていた。これはもうやるしかないと心に決めて一気に口に放る。
「ん、んん?ん、、、、、んん!?」
美味しい。なんと普通に美味しいのだ。この前の調理実習の時とは違い1段と美味しく仕上がっているケーキにというかこれを作ったリンに驚きを隠せない。
「美味しい、、。かな?」
上目遣いをしながらそう問いかけてくるリンに思わずドキリとしてしまう。
「、、、おう。美味しいぞ」
俺がそういうとリンは大喜びで飛び回った。見るとリンの指は怪我だらけで、今朝ミナに噛まれた俺の指など比べ物にならない量の絆創膏を貼っていた。それを見て思い出した。
リンは努力家だった事を。調理実習の後からずっと練習していたのだろうとそう思った。
愛華も安心したように笑みを浮かべて、リンを見ていた。
「ところでこれ何入れたの?」
パウンドケーキを口にしていると何やらちょっと珍しい食感があったため、気になってリンに問いかける。
「あ、それ私も気になりました。何入れたんですか?」
どうやら愛華も食べたようだ。リンが満面の笑みで振り返り口を開いた。
「えーっとね○○だよっ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺と愛華は顔を真っ青にしてその場に倒れ伏した。

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