リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

愛華と約束

翌日。学校の1日の課程を終え部屋でくつろいでいた俺の部屋のドアにノック音が響く。
「兄さん入るよ?」
「ん、あぁちょい待ち」
思いっきりフリーダム状態に浸っていた俺は見られてまずい本(断じてエロ本ではない)をしまい込む。
「ごめん。入っていいぞ」
俺が合図すると扉が開かれパジャマ姿の愛華が入室する。
「風呂入ったのか…」
「うん。まぁね…」
何故だろうか、非常にドキドキするのだが。愛華ちかげも同じなのか顔を赤くしている。
え、なにこれ。ヤバイんだけど。俺の脳容量Maxなんですけど。
「あのさ……」
「お、おぉ。何だ?」
突然呼び掛けられ戸惑ってしまう。相変わらず愛華の顔は真っ赤だった。
「明日はリンさんが家に来る日だよね…」
「まぁ、そうだな。リンの話か?」
なにやらもじもじと何か言いたげにしている愛華。その仕草が緊張した空気を際立てている。
「いや、そうじゃなくてね……」
なぜそこで口籠るのだ妹よ。すんげぇ緊張すんだけど。
「あの……その……」
ヤバい……。
「こ、この前デパートで福引きやってたんだ。それでね……」
「お、おう」
「一回だけ引いたら遊園地の1日フリーパス券が当たって……人数は三人までOKなんだって……」
「お、おう」
「お父さんとお母さんは兄さんと行けって言ってたんだけど……リンさんもどうかなって……」
「……そんなこと?」
俺の発言に愛華はなおも顔を赤く染めている。
「い、嫌なら良いんだよ?フリーパス券無駄になっちゃうけど……」
どこか寂しげな表情をしている愛華を見る限り、行きたいんだなぁ……
「そんなことないぞ。なんなら日曜に行くか?」
途端にぱあぁっと表情を明るくさせる愛華。感情の変化が非常に分かりやすい妹である。
「ほんと!?ほんとに良いの?」
「可愛い妹の誘いを断ることなんて出来ないよ」
「え?」
落ち着いたかと思ったら再びぼっと顔を真っ赤に染め上げる愛華。
「ははっ。顔が真っ赤だな。熱でもあんのか?」
「っもう!兄さん!」
かくして明日はリンがうちに長期にわたって泊まりにくる。とにかく何も起きないことを願おう。うん。平和が一番だよ。

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