リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

俺の〇〇が〇〇に

「……ふわぁ。おはようリン」
時刻は午前7時50分頃。目が覚めた俺はとりあえずベッドの横に座っていたリンに挨拶をした。
………まてまてまて。
何この展開。何でリンは俺の横にいるわけ?え?ちょっとまて。え?え!?
「………そこで何してんの?」
「おこしにきたんだよ!」
いやわかんねぇよ。
「何で」
「理由なんていらないでしょ」
不意にリンの唇がほほに当たる。
え?
「お、お前何してんだよ!?」
「何っておはようのキスだよ?」
何かおかしいことをしたのかと言わんばかりに首をかしげるリン。いやまぁ普通なんでしょうけどね。
「ねぇねぇ瀧!」
リンが自身の頬をちょんちょんと指差してくる。…おい。まさかやれと?
「それはちょっと俺には刺激的過ぎて無理かな……」
「えぇー…」
しょんぼりした顔でうつむくリン。
そんな顔されたら俺が何かやらかしたみたいなのでやめてほしい。
「………分かったよ。一回だけだぞ」
耐えられなくなりリンの提案を受け入れる。リンは「やったー!」と言ってうきうきしながら早く早くとせかす。
覚悟を決めた俺は体を起こしリンの方へ向き直る。なんかめちゃくちゃドキドキするんだけど。いや風習だよね?単なる日常茶飯事な事をするだけだよね?
徐々にリンの顔が近くなり、頬に唇が触れようとしていた。
「おはようた………き?」
迎えに来たのだろう真優と美優が部屋の光景を見て言葉を詰まらせる。
ー数秒後ー
「こ、これは違うんだぞ!フランスでは日常茶飯事であってべ、別にやましいことなんてしてないんだからな!」
今この状況で口にしない方がよかった事を口走ってしまったが、今の俺の心情ではそんなことを考えている暇はなかった。
キスしようとした所を真優や美優に見られて平常を保つなんて俺には出来なかった。
「この状況見てどの口がそんなことを言えるのよ!」
「たっくんが!たっくんが!」
顔を真っ赤にして疑ってくる美優と反対に真っ青にしてあわあわとしている真優。
「ちったぁ俺を信じろよ!なぁリン状況説明してやってくれよ」
「この人達誰?」
そうか。リンは真優達を知らなかったっけ。あくまで俺の幼馴染みなだけだしなって感心してる場合じゃねえや。
「白凪美優と白凪真優。俺の幼馴染みで俺やリンと同じ学校!真優は1学年下で美優は同じ学年!」
次々に必要な事を素早く説明した。
リンは理解したように「へぇ」と声を漏らしていた。
「この子は?見た感じうちの学生みたいだけど……」
なおも顔を真っ赤にしている真優が問いかけてくる。
リンはすっと立ち上がるとスカートの裾をつまみ上品にお辞儀をする。
「今日から転校してきた。リン・アイゼンハイドです。よろしくね!」
ニコリと笑みを浮かべるリンに対して、緊張しているのか真優と美優はボーッとしていた。
「白凪真優です。よろしく」
「姉の美優です」
まぁ仕方ないよな。いきなりなんだし。
「そんな敬語なんていらないよ。崩してくれた方が私も嬉しいし!よろしくね!美優!真優ちゃん!」
「そ、それより!何でき、きき、キスしようとしてるのよ!」
「やめてあげなさい真優。たっくんだってキスのひとつやふたつするわよ」
「いやあながち間違ってないけどそういうのじゃ無いんだって!」
「あながち間違ってないんだ……」
頼むから引かないでくれよ。いやほんとにやましいことなんてしてないんだからよぉ。
「私から頼んだんだよ?フランスでは普通のことだったから」
リンの言葉を聞いて真優と美優が疑問を浮かべた顔をする。
「リンちゃんってまさか帰国子女なの?」
美優がはっとして問いかける。
「うん!そうだよ!」
「ずいぶんと仲がよろしいみたいね…」
「リンとは生まれた頃からの仲だからな。親同士が仲良いんだよ。真優や美優の親もそうだろ?」
俺の回答に真優は「そう……」と半信半疑のようだった。まぁ疑う気持ちも分かるが。
「まぁいいわ。それより早く行きましょう。また瀧のせいで遅刻ギリギリになっちゃうわ」
真優に指摘され時計を見るとちょっと危ない時間だった。危ないったって少し急げば余裕で間に合う時間だが。
「着替えるから外で待っててくれ。すぐに行くから」
「私は着替える所を見ても良いのよ?」
「はいはい姉ちゃん。行くよ。リンちゃんも行こ」
リンは「うん!」と嬉しそうについていった。女子って仲良くなるのはやいよなと思った瞬間だった。
「兄さんおはよう」
「すまん愛華。朝ごはん簡単なやつ準備出来るかな?」
俺の言葉を聞くと愛華は分かっていたようにすぐにパンを差し出す。
「なんとなく今日も急いで出そうな気がしたんだ。あとはいこれ。」
続いて弁当を差し出す。ありがてぇ。出来た妹で感謝感激万々歳でございますはい。
「ありがとう。じゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
笑顔で俺を見送る愛華。
「兄さんは私が居ないとだめだな」
慌てて家を出ていく兄を嬉しそうに笑みを浮かべながら愛華は見送っていた。
「悪い。またせ……た?」
「そしたらたっくんの○○が○○になっててね、もうびっくりしたわ」
「へぇ。瀧って私がいない間にそんなことになってたんだ」
関心深そうに声を出すリン。真優が俺に気がつくと美優、リンも俺に視線を向ける。美優は数秒停止したのち
「さ、行きましょうか♪」
「いや待てよ!今なんか言ってただろ!途中何か聞こえなかったけどとりあえず聞くぞ!何を言ってたんだ!」
「それはもうたっくんの○○が○○になった話よ♪」
何故かこの距離なのに一部聞き取れない。いやおかしいだろこれ。
「え!?何!?俺の何!?」
「大丈夫ゆ瀧。あんたの○○が○○になったって私はきにしないわ」
「何で聞こえないの?俺の耳がおかしいから?めちゃくちゃ気になるんですけど!」こんなしょうもない会話を数分間続けてしまい、結局遅刻ギリギリになった俺達だった。

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