リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

進撃のアイゼンハイド家

「そろそろ帰るわ」
時刻も3時を回りあまり遅くなるなと愛華に言われた俺は帰宅することにした。
「あらあらたっくんたら私達と散々遊んで、飽きたら捨てちゃうの?」
「いやいや捨てるも何もそんな関係じゃないし、ちょっ、華恋!違うから!俺そんなことしないから!」
みるみるうちに華恋の目がごみを見る様な目になる。結構真に受けやすい性格なんだよなぁこいつ。
「た、瀧と美優さんがそ、そそんな関係」
「いや引かないで!断じて違うから!だからお願い!ねぇ頼むから!」
「え!?姉ちゃんと瀧ってそんな関係だったの!?」
「いやお前ちゃんと分かってるだろ!これ以上現状をややこしくするな!」
「や、やっぱりそうなんだ………あわわ」
「だから違う!俺は自分が人類が最後に残した地球最後の正直人間だと信じるほど自分に正直なんだ!頼むから信じてくれよ」
「それは違うわよ皆」
珍しく真剣な顔をして空気を変える美優。いや、あなたが元凶なんですけどね……
「おい美優。これ以上口をー」
「たっくんは私達と遊んだのよ」
こいつ……
「お前ふざけんなって!皆が誤解してるだろ!あ!おい華恋!にげるなぁぁぁぁ!」
逃げゆく華恋を捕まえて説得した後無事に帰宅した俺だった。


「あれ?鍵が掛かってるな」
愛する我が家に到着したのは良いのだが鍵を忘れてしまい仕方なくチャイムを鳴らす。
少しして鍵が開いた音がなり、ドアを開ける。
「ただい……ま?」
玄関に立っていたのは両親でもなければ愛華でもない。嬉しそうなオーラを放ち満面の笑みで俺を迎えてくれた少女は突然俺に抱きついてきた。
「久しぶり瀧!覚えてる?リンだよ!」
「ひょぇ!?リン?リン、リン…リン!?」
思い出した。行きなり抱きつかれた時は誰か分からなく動揺してしまったが、名前を聞いて思い出すことが出来た。
リン・アイゼンハイド。俺が生まれた頃からの幼馴染みで親同士も仲が良かった。
愛華が家に来る少し前に急にフランスに帰る事になりフランスに帰った。
銀髪翠眼の完璧美少女で昔から可愛かったのをよく覚えている。
「覚えててくれたんだぁ!良かったぁ!」
ちょっ当たってるし顔が近い!
「な、何でリンがここに!?」
「おー帰ったか瀧」
今さらのごとく父が出てきた。
現状を全く理解できない俺を見て楽しそうな顔をしている。
「今の現状を理解してない顔だな。ふっ教えてやんねーよ」
あっかんべーと舌を出してくる。父親といえど思いっきりぶん殴っていいかな。
「私が代わりに説明するよ。瀧君」
「く、クリスさんまで!お久しぶりです」
「おやおや、ずいぶんよそよそしくなったもんだな。前みたいにおじさんと呼んでくれて構わないんだよ」
「いや、遠慮しますはい」
何年ぶりに日本に来たと言うのに日本人と同じくらい日本語が上手いこの二人。
リンの母親が日本人で日本語は母親に習ったらしい。リンの両親は会社をいくつか経営しているので大金持ちである。
うちの両親とはフランスで会ったらしい。すぐに家族で意気投合し結構食事を一緒にしたとか。このあとに俺とリンが生まれたというわけですねはい。
「まぁ立ち話もなんだから中で話そうか。俺は話さないけど」
マジでぶん殴って良いですか?いや割りとマジで。
怒りを表に出さずリンに抱きつかれたままリビングへ向かう。
「リン。そろそろ離れないか?歩きにくいんだけど…」
「嫌だぁ」
幸せそうな顔をしながらなおも抱きついているリン。さすがにリビングへつくと離れてくれた。平常心を保てた俺を誉めてほしい。
「さて、なぜ私達がいるのかを説明しよう。実は―」
リビングにつくなり真面目な顔をしたクリスさんを見て息を飲んでしまう。
この表情から察するにずいぶん真面目な話なのだろう。
時間がたつにつれてクリスさんの表情が険しくなっていく。
ちょっとこれかなりヤバイんじゃないの?
「………………」
リビングに静かな空気が漂う。俺の頬に一筋の汗がたれ落ちる。
「実は………妻と喧嘩しちゃってね」
「………は?」
呆気にとられてしまい情けない声を出してしまう
気づくと俺以外の皆が肩を震わせている。不意に俺の肩に父が手を置く。
「ぷっ、残念ドッキリでした……ぷっ」
「こ、このやろぉ~……」
クリスさんの話によるとフランスに居る時に妻と、つまりリンのお母さんと大喧嘩したらしい。そのいきさつで日本に逃げてきたんだと。日本に行くと言ったらリン喜んでついてきたそうだ。てか喧嘩して外国に逃げるとか……金持ちぱねぇっす。
「何でわざわざ日本に来たんですか?」
「真也や歌音さんがいるからだよ。日本には知り合いが少なくてね」
真也は父、歌音は母のことである。
てか……そ、それだけの理由で!?
「でも私達来週には外国に出るわよ?」
母がそう言うとクリスの表情が曇る。
「それなんだ……次はどこに行くんだい?」
「フランスだよん」
クリスが質問をしたとたんに父が即座に回答した。クリスの曇っていた表情が一変して驚きに変わる。
「し、真也!?それわざと僕に言わなかったのかい?」
クリスの問いかけに父はまたもや肩を震わせているのだった。止めてやれよ……。
このあと父は母にしばかれ完全にダウンするのだった。
「お父様どうするの?おじさま達いないんだったら日本に逃げた意味ないよ?」
逃げたて。言ってやるなよ。
「うーん……まぁせっかく来たんだしなぁ、もう少しここにいるかな。リン、悪いけど明日から瀧君と同じ学校に行ってはくれないか?」
「ほんと!?行く!私行くよ!」
リンは満面の笑みで賛成した。あなた達普通に話してるけど結構凄いこと言ってますよ。
「家は?どこに住むの?」
やはり色々気にしているのだろう。母が心配そうな顔をしている。
「問題ないよ。前に日本にいたときの家は買った物だし。掃除もメイドや執事を雇ってさせてるしね」
ぱねぇ……ぱねぇっすよクリスさん。
このあとクリスさんは学校に行ってくるとかでリンを連れて行ってしまった。またよろしく頼むよと言い残して。
「凄かったね。クリスさん」
長いこと口を開いてなかった愛華とやっと会話をする。
「まぁな。でも昔の方が凄かったかな。奥さんもいたし」
「お仕事とか大丈夫なのかな?」
「大丈夫なんじゃないの?仕事の荷物持ってきてたっぽいし。それに奥さんめっちゃしっかりした人だし」
「そ、そうなんだ」
苦笑いをする愛華。よほど衝撃的だったのだろう。まぁ気持ちは分かるよ。
母はダウンした父の隣で寝息を立てていた。こういう事があるからなぁ、ほんとに仲が良いのやら。
「それじゃあ私は夕飯の準備するね」
「俺も手伝うよ」
かくして俺の幼少時代からの幼馴染みのリンが夫婦喧嘩が理由で日本に戻ってきた。明日の学校が俺にとってこれ以上になく修羅場を迎えることを、俺は知るよしもなかった。何これかっこいい。

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