リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

愛華の事情



「ただいま」
1日の授業が終わり部活に入っていない俺はすぐに帰宅した。
「おかえり兄さん。」
帰宅するとエプロン姿の愛華が出迎えてくれた。なんかその……可愛い。
「どうしたの?」
じーっと見惚れていたのだろう慌てて視線をそらす
「いや、なんでもない。それよりさ」
俺は愛華に弁当を作ってほしいと頼んだ。よくよく考えると何で今までそうしなかったのかと思うが、言ってみると戦士気取りだったところも少しはあるのかもしれない。少しだよ?ほんとだよ?
「うん。良いよ。やっと兄さんも弁当にしてくれて安心したよ」
「そんなにか?」
「そりゃあ毎日顔や体のいたるところにダメージ受けて帰ってきてたらいかに購買がすごいのか分かっちゃうし。だから―」
そこで愛華の顔が朱に染まる。
「だから?」
「その…兄さんの事心配だったんだよ?」
「よし結婚しよう。俺もう学校中退していいわ。うんそうしよう」
「えぇ!?待って結婚ってあの結婚だよね!?わ、私心の準備がまだ―」
パニクってあたふたしている愛華を見て結構真に受けているのだと実感した。
「冗談だよ。さすがに愛華が可愛くても俺にはまだ嫁を探すような暇はないし、第一告白するほどの勇気はない」
「……冗談?」
魂が抜けたような顔をしている愛華。
やがてわなわなと拳が震え始める。
「っもう!」
顔を真っ赤にして目尻に涙を浮かべながら怒る愛華。可愛いでござる。
「悪かったって。そろそろ俺も玄関から家に上がらせてほしいのだが」
「兄さんは私をからかったからあと10分そこにいること」
そんな突拍子もないことを言ってきた。そ、そこまで怒りますか愛華さん。
俺は数秒フリーズし考えた。今一番回避できる行動……それは!
「悪かったって!ほんとにごめん!」
ひたすら謝る事ですはい。
「……嘘だよ」
「え?」
下げていた頭を上げ、愛華を見ると満面の笑みの愛華が居た。いや居たも何も最初から話してたんですけどね……
「だから冗談だって。それじゃあ私は夕飯の支度してくるからね」
いたずらな笑みを浮かべながら上機嫌でキッチンへ向かう愛華をただ呆然と見ることしか出来なかった。


「兄さん夕飯出来たよ」
部屋にこもってラノベを読んでいると愛華から呼び出された。
すぐに本を閉じ足はやにキッチンへ向かった。
「あれ?母さんと父さんは?」
キッチンにつくといつも夕飯の時間にはいるはずの両親の姿が無かった。
「どっちも仕事が長引いてるんだって。今夜は遅くなるらしいよ」
俺は「ふーん」と関心がない料理が並ぶテーブルに愛華と対になるように座る
両親は世界を飛び回るビジネスマンをやっている。この時期は日本での仕事が多いためいるが来週からはまた外国を飛び回る事になる。俺も出来るだけ両親と過ごす時間は大切にしている。
「「いただきます」」
今晩のメニューは和食だった。ちなみに愛華は和、洋、中華料理が作れる。
肉じゃが、白米、白だしの味噌汁、漬物といったラインナップだった。
一つ一つ味わいながらゆっくりと食べる。どれもとても美味しい。
「今日も美味しいな」
「ありがとう。……どうしたの?」
愛華をじーっと見ていると、当然ながら愛華が不思議に思った。
「いや、愛華って容姿もかなり良いからさ、さぞ彼氏がいるんだろうなって思って」俺がその言葉を言うと何故か愛華がムッとした。
「彼氏なんていないよ。作ろうとも思わないし」
「そ、そうか。」
「明日は休みだけど、どこか行くの?」
「あれ?そうだっけ?」
愛華に言われてカレンダーを見ると次の日は祝日だった。
まぁこの時期はなるべく家にいるようにしているから別にどこにもいかないのだけど。別に友達がいないからではない。断じて違う。ほんとにまじで。
「んー…特に用事はないな。誰とも約束してないし」
「そっか。それよりさ兄さん」
「な、何だよ」
急にニコニコしながら問いかけてきた愛華を見て、嫌な予感がした。
何て言うか、自分の痛い所を突かれそうな感覚である。
「兄さんって私の事彼氏がいるかとか心配してるけど、兄さんって彼女とかいたりするの?」
今の愛華の目にはいたずらもあれば何か不安なものが見えた。
てか何となくこの状況っていなくてもいるって言わなきゃならないような気がするのは気のせいなのだろうか。結構な回数彼氏がいるかなんて聞いたしなぁ。ここでいないって言ったら今後の俺の立場というものが……。
「いることも無いこともないような気がする事もないな」
「どっち!?途中から意味がわからなくなっちゃったんだけど!」
「ごちそうさま!じゃっ俺は部屋に戻るから!」
一気に夕飯の残りを放り込み一目散に自室へと向かった。
愛華はただ呆然としているのだった。
「もう。いないならいないでちゃんと言えばいいのに……」
無理。流石に我がプライドをぶち破いてまで彼女がいないなんて言えない。……やっぱ無理だわw


「ねぇお父様日本はまだ?」
そこは飛行機の中銀髪翠眼の少女は活き活きした様子で父親に語りかけた。
「そうだね。あと7時間と言ったところだろうか。到着までにまだ時間があるから寝ておくといいよリン」
フランス語で会話をする様子からフランス人だと判断出来る。
リンと呼ばれた少女は尚も落ち着かない様子でいた。
「でもでもお父様!日本についたらまた会えるんだよね!」
「会える?………あぁあの子か。リンはずいぶん気に入っていたな。会えるとも。ご両親ともまだ日本にいるそうだしね」
父親のその言葉を聞きリンのテンションはさらに上がった。
「そっか!私の事覚えてるかなぁ。瀧」
いつかの思い出を蘇らせながら少女は大好きな人がいる日本へと向かうのだった。
そんなことを知るよしもなく1人眠りこける俺であった。両親との時間はどうしたおい。

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