幻惑と現実の狭間に……
今年の猟について
料理に舌つづみを打つ。
「へぇ、美味しいね。これは?」
「ぼたん……猪だよ。今年は早いうちに仕留めたから、孟宗竹の筍は、余りやられなかったよ。今年は表年だったんだ。母さんも皆も食べてみてほしいな」
祐也に勧められ、口にする。
「あ、美味しい」
「もっと癖があるかと思ったのに……」
実母とその家族に微笑む。
「若手だからね、ちょっとまだまだなんだけど、銃は持つ資格を得たし。これは、山菜。春は三つ葉に蕗、ワラビにゼンマイ、ウド、タラの芽に……山の恵みは素晴らしいよ。でも、猪の害に、山に勝手にはいる人もいてね……」
困ったように苦笑する。
「今年は、猪が例年になく獲れたから、安心したよ。毎年この道を歩いたりね……」
上の国道を示す。
「猪は大きくなると、牙で襲ってくるから……」
「祐也は吹っ飛ばすけど」
コロコロ笑う蛍に、祐也は真顔で、
「箒の柄で眉間を突いたんですよ。で、首筋を突いて、水汲み場においてある包丁で」
「怪我は⁉」
「そんなに。擦り傷ですよ」
微笑む。
「家の近くにって言うのが怖いので、しっかり子供や蛍たちを守らないとと思います」
「本当に大丈夫なの?」
愛の不安げな声に、祐也は、
「風蘭……富貴蘭と呼ばれるけれど、それを盗掘する人もいるんだ。そういう人に注意すると居直ったり、逆ギレしたりね」
「逆ギレ……」
「『山にあるんだからとって悪いのか‼』って言うもんだから、『家の山や‼』って、警察呼ぶようにしているよ。個人的に増やしたものは良いけれど、山のものを採っていく……家の山から採られるのは困るね」
苦笑する。
と、
「うっまぁぁ~‼何?これは‼」
「ウェイン。食い気だけ~?酷いよ」
「大丈夫。アンジュが可愛いのは祐也に聞いていたし。これは?」
「ここ出身の料理人の人が、帰ってきて、ここのすぐ近くにお店を出すんだって。この施設にもお店はあるけれど軽食だし、地元の食材中心のイタリアンだよ。蛍は覚える‼っていってるけど、無理みたいだね」
祐也の言葉に、
「ヒドーイ‼祐也の意地悪‼」
「努力だ、努力。一緒に作ろうな?」
「兄ちゃん‼俺も‼俺も手伝う‼」
祐次は兄を、見上げる。
「良いでしょ?兄ちゃん‼休みになったら、来ても良いでしょ?ね?ね?」
小学校2年生の少年は、嬉しそうである。
その横で、4才の葵衣は、
「お、お姉ちゃん、お花ある?」
「あるわよ。ひまわりに朝顔に……たくさん。それに、わんわんの子供もいるのよ」
「わんわん‼」
「うん。ミニチュアシュナウザーの子犬で可愛いの」
祐也はスマホを操作して、シュナウザーの親子を見せる。
「ふわぁぁぁ……パパ、ママ‼わんわん可愛い~‼」
「ほんとだ‼スッゲー可愛い~‼パパ、ママ‼見に行きたい‼」
「凄いね~?でも、こちらで泊まらないし……」
「あれ?家に泊まれば良いんですよ。鶴姫も、大丈夫ですから」
祐也は微笑む。
「ウェインも紅も媛も、泊まりますから」
「新婚なのに構わないの?」
「家族が遠慮しないでください。色々と話しましょう、ね?」
結婚式はアットホームに進み、夜に蛍を見て終わったのだった。
「へぇ、美味しいね。これは?」
「ぼたん……猪だよ。今年は早いうちに仕留めたから、孟宗竹の筍は、余りやられなかったよ。今年は表年だったんだ。母さんも皆も食べてみてほしいな」
祐也に勧められ、口にする。
「あ、美味しい」
「もっと癖があるかと思ったのに……」
実母とその家族に微笑む。
「若手だからね、ちょっとまだまだなんだけど、銃は持つ資格を得たし。これは、山菜。春は三つ葉に蕗、ワラビにゼンマイ、ウド、タラの芽に……山の恵みは素晴らしいよ。でも、猪の害に、山に勝手にはいる人もいてね……」
困ったように苦笑する。
「今年は、猪が例年になく獲れたから、安心したよ。毎年この道を歩いたりね……」
上の国道を示す。
「猪は大きくなると、牙で襲ってくるから……」
「祐也は吹っ飛ばすけど」
コロコロ笑う蛍に、祐也は真顔で、
「箒の柄で眉間を突いたんですよ。で、首筋を突いて、水汲み場においてある包丁で」
「怪我は⁉」
「そんなに。擦り傷ですよ」
微笑む。
「家の近くにって言うのが怖いので、しっかり子供や蛍たちを守らないとと思います」
「本当に大丈夫なの?」
愛の不安げな声に、祐也は、
「風蘭……富貴蘭と呼ばれるけれど、それを盗掘する人もいるんだ。そういう人に注意すると居直ったり、逆ギレしたりね」
「逆ギレ……」
「『山にあるんだからとって悪いのか‼』って言うもんだから、『家の山や‼』って、警察呼ぶようにしているよ。個人的に増やしたものは良いけれど、山のものを採っていく……家の山から採られるのは困るね」
苦笑する。
と、
「うっまぁぁ~‼何?これは‼」
「ウェイン。食い気だけ~?酷いよ」
「大丈夫。アンジュが可愛いのは祐也に聞いていたし。これは?」
「ここ出身の料理人の人が、帰ってきて、ここのすぐ近くにお店を出すんだって。この施設にもお店はあるけれど軽食だし、地元の食材中心のイタリアンだよ。蛍は覚える‼っていってるけど、無理みたいだね」
祐也の言葉に、
「ヒドーイ‼祐也の意地悪‼」
「努力だ、努力。一緒に作ろうな?」
「兄ちゃん‼俺も‼俺も手伝う‼」
祐次は兄を、見上げる。
「良いでしょ?兄ちゃん‼休みになったら、来ても良いでしょ?ね?ね?」
小学校2年生の少年は、嬉しそうである。
その横で、4才の葵衣は、
「お、お姉ちゃん、お花ある?」
「あるわよ。ひまわりに朝顔に……たくさん。それに、わんわんの子供もいるのよ」
「わんわん‼」
「うん。ミニチュアシュナウザーの子犬で可愛いの」
祐也はスマホを操作して、シュナウザーの親子を見せる。
「ふわぁぁぁ……パパ、ママ‼わんわん可愛い~‼」
「ほんとだ‼スッゲー可愛い~‼パパ、ママ‼見に行きたい‼」
「凄いね~?でも、こちらで泊まらないし……」
「あれ?家に泊まれば良いんですよ。鶴姫も、大丈夫ですから」
祐也は微笑む。
「ウェインも紅も媛も、泊まりますから」
「新婚なのに構わないの?」
「家族が遠慮しないでください。色々と話しましょう、ね?」
結婚式はアットホームに進み、夜に蛍を見て終わったのだった。
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