異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第68話妹降臨
図書館島からの帰り道。モカが俺と雫と三人で少し話がしたいという事で、ポカルミ村に帰る前に喫茶店へと寄り道した。
「すいません私の我儘を聞いてもらって」
「丁度俺も疲れていたからいいんだよ。どうせ少し帰るのが遅くなっても怒られないだろうし」
「そうだといいのですが」
「それでモカさん、話って?」
「カルマがどうしてここまでの事してきた狙い、目的の全容が分かったんです」
「カルマがモカを狙い続けた理由が、か?」
「はい」
今まで何度かモカ少しずつではあるが、事の経緯を教えてきてくれた。しかしそれでも、核心的な部分には触れられていなかった。
「もう大方の事はカエデ君にお話ししましたが、今日改めて調べて、分かった事があります」
「分かった事?」
「カルマはやはりあの惨劇を再び起こすために、私を狙っている事がハッキリと分かりました」
「やっぱりなのか」
「あの惨劇って、楓が経験したずっと昔の事件の事?」
「ああそうだ」
そのトリガーとなるものが、ラビリンズ王国の地下遺跡にあるのはこれまでに分かっている。ただ、カルマがそれをすぐに発動させない事がやはり解せなかったが、それにも理由があるとモカは言う。
「実は私達王家には代々継がれてきたものがあります。それがこれです」
そう言ってモカは何かを俺達に見せる。
「あれ、これって」
「どうかしましたか?」
モカが見せたのは先日カルマが奪っていったペンダントと同じもの。しかしよく見ると、半分が欠けている。
「もしかしてこのペンダントは、二つあったのか?」
「そうなんです。以前これとは別のものを付けていたのですが、先日の戦い以降何者かに奪われたみたいで」
「そういう事だったのか」
カルマはあの時勝ち誇ったようにペンダトを持っていったが、それは未完成でもう片割れをモカはどこかに隠し持っていたらしい。
「そういう事、とは?」
「その片割れを、先日の戦いで見逃す代わりに貰っていったんだよ。ただ俺はその時は何も分かっていなかったから、助かった事に安堵したけどそれが狙いだったのか……」
「この片割れをカルマが持っていったんですか!? どうりで見つからなかったんですね」
「あの、私が話についていけないんだけどどういう事?」
何も知らない雫がひたすらクエスチョンマークを頭に浮かべている。
「この代々継がれているペンダトがそのトリガーを引くために必要なものらしいです。だからカルマは執拗に私を狙っていたのかもしれません」
「結論からするとそうなるな」
「あのー、二人とも私の話を」
王家が代々守り続けてきた禁忌と言う名の秘密。それをカルマは利用しようとしている。もしあの日の惨劇が今度は遺跡だけじゃなく世界にまで広まったら、只事では済まない。
「とりあえずモカが片割れを持っている以上は安全なんだな」
「はい。そこまでは裏が取れましたから」
「じゃあとりあえず今は、移転の準備を進めるか」
「はい!」
「ねえこの場所に私必要だった?」
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
一時避難の準備が確実に進み、カルマの狙いの全容もわかり始めた中、ある日俺は一人で例の図書館島にやって来ていた。
「まさか一人でやって来る事になるなんてな」
先日も言ったとおり俺にとってこの場所は嫌な思い出しか残っていない。俺はこの場所で大切なものを失った。
ルチリアというかけがえのない存在を。
(あの時お前を守ってやれなくてごめんな、ルチリア)
そう心の中で彼女に詫びると、俺以外に誰も居ないはずのこの書庫から、突然物音が聞こえた。
「誰かいるのか?」
俺は周囲を見渡して、音がした場所を探す。するとまたもう一度音が聞こえた。何かが倒れてくる音だ。
「なっ!?」
よく見ると近くなの本棚が倒れかけている。俺は慌ててそれを抑えて、事なきを得るが、また別の方から音が聞こえる。
(何だ昼間から幽霊にでも遭遇しているのか俺は)
今度は音がした場所を探すのではなく、先読みして次に音がする場所を探り当てる。
「そこだ!」
俺は僅かに動いた影に手を伸ばし、音の正体を捉える。
「きゃあ」
と同時に悲鳴が上がり、俺の手はなぜか柔らかい感触に襲われる。
(この感触はまさか)
俺は僅かながら期待してその捕らえたものをこちらに引き寄せる。本棚の影から引っ張り出してきたのは……。
「も、もふ何をふるんれふか!」
小さな猫族の女の子。そして俺が掴んでいたのは期待していたようなものではなく、彼女の頬っぺただった。
「こ、子供?」
「ほどもじゃありへん。はなひてふたさい(子供じゃありません。離してください)」
俺は彼女の頬っぺたから手を離す。先日雫達と来た時にも誰一人として人の気配はなかったのに、まさかこんな猫耳の女の子が迷い込んでいるなんて思いもしなかった。
「迷子なら親御さんに届けてあげないと」
「だから違います! 私はこう見えて大人なんですから」
「大人? とてもそうには見えないんだけど」
「本当昔から変わっていませんね、カエデさんは」
「え?」
今俺の名前を呼んだかこの子。
「君、何で俺の名前を?」
「はぁ?もしかして忘れたんですか?」
「うん」
「馬鹿正直に答えないでください、傷つきます」
そう言われてもやはり俺には身に覚えがなかった。そもそも昔の事なら記憶がないので、覚えていないのが当たり前ではあるのだが。
「……こんな人をお姉ちゃんが好きだったなんて、本当信じられない」
「お姉ちゃん?」
「本当に覚えていないなら教えてあげますよ、私の姉はルチリア。そして私はルーシャ。これで思い出しましたか?!」
「ルチリアのい、妹?!」
ええええ!
「すいません私の我儘を聞いてもらって」
「丁度俺も疲れていたからいいんだよ。どうせ少し帰るのが遅くなっても怒られないだろうし」
「そうだといいのですが」
「それでモカさん、話って?」
「カルマがどうしてここまでの事してきた狙い、目的の全容が分かったんです」
「カルマがモカを狙い続けた理由が、か?」
「はい」
今まで何度かモカ少しずつではあるが、事の経緯を教えてきてくれた。しかしそれでも、核心的な部分には触れられていなかった。
「もう大方の事はカエデ君にお話ししましたが、今日改めて調べて、分かった事があります」
「分かった事?」
「カルマはやはりあの惨劇を再び起こすために、私を狙っている事がハッキリと分かりました」
「やっぱりなのか」
「あの惨劇って、楓が経験したずっと昔の事件の事?」
「ああそうだ」
そのトリガーとなるものが、ラビリンズ王国の地下遺跡にあるのはこれまでに分かっている。ただ、カルマがそれをすぐに発動させない事がやはり解せなかったが、それにも理由があるとモカは言う。
「実は私達王家には代々継がれてきたものがあります。それがこれです」
そう言ってモカは何かを俺達に見せる。
「あれ、これって」
「どうかしましたか?」
モカが見せたのは先日カルマが奪っていったペンダントと同じもの。しかしよく見ると、半分が欠けている。
「もしかしてこのペンダントは、二つあったのか?」
「そうなんです。以前これとは別のものを付けていたのですが、先日の戦い以降何者かに奪われたみたいで」
「そういう事だったのか」
カルマはあの時勝ち誇ったようにペンダトを持っていったが、それは未完成でもう片割れをモカはどこかに隠し持っていたらしい。
「そういう事、とは?」
「その片割れを、先日の戦いで見逃す代わりに貰っていったんだよ。ただ俺はその時は何も分かっていなかったから、助かった事に安堵したけどそれが狙いだったのか……」
「この片割れをカルマが持っていったんですか!? どうりで見つからなかったんですね」
「あの、私が話についていけないんだけどどういう事?」
何も知らない雫がひたすらクエスチョンマークを頭に浮かべている。
「この代々継がれているペンダトがそのトリガーを引くために必要なものらしいです。だからカルマは執拗に私を狙っていたのかもしれません」
「結論からするとそうなるな」
「あのー、二人とも私の話を」
王家が代々守り続けてきた禁忌と言う名の秘密。それをカルマは利用しようとしている。もしあの日の惨劇が今度は遺跡だけじゃなく世界にまで広まったら、只事では済まない。
「とりあえずモカが片割れを持っている以上は安全なんだな」
「はい。そこまでは裏が取れましたから」
「じゃあとりあえず今は、移転の準備を進めるか」
「はい!」
「ねえこの場所に私必要だった?」
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
一時避難の準備が確実に進み、カルマの狙いの全容もわかり始めた中、ある日俺は一人で例の図書館島にやって来ていた。
「まさか一人でやって来る事になるなんてな」
先日も言ったとおり俺にとってこの場所は嫌な思い出しか残っていない。俺はこの場所で大切なものを失った。
ルチリアというかけがえのない存在を。
(あの時お前を守ってやれなくてごめんな、ルチリア)
そう心の中で彼女に詫びると、俺以外に誰も居ないはずのこの書庫から、突然物音が聞こえた。
「誰かいるのか?」
俺は周囲を見渡して、音がした場所を探す。するとまたもう一度音が聞こえた。何かが倒れてくる音だ。
「なっ!?」
よく見ると近くなの本棚が倒れかけている。俺は慌ててそれを抑えて、事なきを得るが、また別の方から音が聞こえる。
(何だ昼間から幽霊にでも遭遇しているのか俺は)
今度は音がした場所を探すのではなく、先読みして次に音がする場所を探り当てる。
「そこだ!」
俺は僅かに動いた影に手を伸ばし、音の正体を捉える。
「きゃあ」
と同時に悲鳴が上がり、俺の手はなぜか柔らかい感触に襲われる。
(この感触はまさか)
俺は僅かながら期待してその捕らえたものをこちらに引き寄せる。本棚の影から引っ張り出してきたのは……。
「も、もふ何をふるんれふか!」
小さな猫族の女の子。そして俺が掴んでいたのは期待していたようなものではなく、彼女の頬っぺただった。
「こ、子供?」
「ほどもじゃありへん。はなひてふたさい(子供じゃありません。離してください)」
俺は彼女の頬っぺたから手を離す。先日雫達と来た時にも誰一人として人の気配はなかったのに、まさかこんな猫耳の女の子が迷い込んでいるなんて思いもしなかった。
「迷子なら親御さんに届けてあげないと」
「だから違います! 私はこう見えて大人なんですから」
「大人? とてもそうには見えないんだけど」
「本当昔から変わっていませんね、カエデさんは」
「え?」
今俺の名前を呼んだかこの子。
「君、何で俺の名前を?」
「はぁ?もしかして忘れたんですか?」
「うん」
「馬鹿正直に答えないでください、傷つきます」
そう言われてもやはり俺には身に覚えがなかった。そもそも昔の事なら記憶がないので、覚えていないのが当たり前ではあるのだが。
「……こんな人をお姉ちゃんが好きだったなんて、本当信じられない」
「お姉ちゃん?」
「本当に覚えていないなら教えてあげますよ、私の姉はルチリア。そして私はルーシャ。これで思い出しましたか?!」
「ルチリアのい、妹?!」
ええええ!
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