異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第32話自分になくて他にあるもの
少し前からその可能性はあるんじゃないかって思っていた本当はルチリアは、俺の事も両親の事も昔から知っているんじゃないかって。でもそれはあくまで予感だったので聞けはしなかった。
「でもまさかこんな形でカエデ君に再会するなんて思ってもいなかったの。もう多分、二度と会えないと思っていたから。まだ会ったのってカエデ君が小さい頃だったし」
「それは俺も覚えていないわけだな」
でも俺がこの世界にきたのって偶然ではないんだろうな。俺をこの世界に呼んだのはカグヤな訳だし、そのカグヤも俺の母親の事を知っているのだから。
「でも流石に顔を見ただけでは最初は分からなかったなぁ。名前を聞いてようやく思い出したって感じだし」
「よく思い出せたよな、むしろ」
「うーん、まあ多分忘れられなかったんだと思うけど」
そう言うと再びルチリアは本を読み始めた。なんだか意味ありげな言い方だったけど、何か特別な事でもあったのだろうか。
(今は気にしなくていいか)
俺も調べ事を続けないといけないわけだし。
結局その日も一日調べていたが、目ぼしいものもは手に入らかった。もう少し調べたいとルチリアは言ったけど、いい加減帰らないと余計に心配させてしまいそうなので、また後日二人で来る事に。
で、夜遅くにポカルミ村へと帰ってきた。訳だけど、
「馬鹿楓! ミイラ取りがミイラになってどうするのよ」
「いや、なんか俺も調べ物をしたくなってさ」
「言い訳無用!」
村へ帰るなり四人から同時に説教を受ける事になった。でも皆怒りながらも、ルチリアが無事に帰ってきた事に安堵の表情を浮かべていた。まあ俺が向かう前から皆心配していたしな……。
「とにかくご無事でよかったです、お二人とも」
そしてその中でも一番心配していたのがモカだった。フォルナを失った事もあってか、誰よりもルチリアを心配していた。
「とにかく心配かけてごめんなさい。私も一週間以上居座る事になるなんて思っていなかったから」
「全く。私達を差し置いて何を調べていたんだよルチリア」
「え、えっとそれは」
まさか自分の母親を調べるために篭っていたとは言えないので、言葉に困るルチリア。仕方がないので俺が助け舟を出してあげる。
「この前皆で行った海底都市について調べていたんだよ。俺も気になる事があったから、一緒に調べていただけ」
「何だよ、その位なら私達でも手伝えたのにさ」
「そうですよぉ〜。困った時はお互い様だって言っているのはルチリアちゃんじゃないですかぁ」
「ご、ごめん二人とも」
「まあまあ二人とも、こうして帰ってきたんだからいいだろ? それに今回は俺にも責任があるんだから、許してくれないか」
「別に怒ってはいないけどさ。何か二人だけで何かするっていうのが気に入らないんだよ」
「何だよポチ、嫉妬しているのか」
「そ、そうじゃない! ただ、私達は今まで何をするにも一緒だったからさ」
どこか寂しげにそう語るポチ。そういえば俺や雫が来る前は三人だけの村だったから、たった三人で色んな事を乗り越えてきたのだろう。
それが急に抜け駆けされたら、寂しい気分になるのは分からなくもない。
(でも誰かに話すような内容じゃないから困っているんだろうな、ルチリアは)
これは少しだけ難しい話になるかもしれないな。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
その日の夜遅く、トイレに向かう為起きた俺は途中で一人で外にいるポチの姿が窓から見えた。
(何やってるんだろ)
少し気になった俺は、外へ出てポチに話しかける事にした。
「どうしたんだよこんな夜遅くに」
「カエデか……。珍しく眠れなくて、ちょっと空気を吸いに来た」
椅子に座っていたので、俺はその隣に座る。
「ルチリアが……今まで私達に何も言わないで何かをする事はなかった。むしろ村のリーダーみたいなものだから、私やミルフィーナに協力を仰ぐ事の方が多かった」
「出会った時からそんな感じはしていたよ。ルチリアって、どちらかというとそういうタイプだし」
「けど今回の件は違った。自分一人で行動して、一週間も帰ってこなかったなんて、今までに全くなかった。でも何度かはそういう事はあった」
「それって」
「あいつが自分の母親について何かを知ろうとし時だ」
(やっぱりか……)
今まで知ろうとしなかったなんて、真っ赤な嘘だった。今回の事もやっぱり元からその目的で……。
「なあカエデ、お前は自分には母親がいない事を寂しいと思った事ってあるか?」
「小さい頃はよくあったかな。周りの皆がお母さんに迎えに来てもらっている姿とか見ていたら、やっぱり寂しくなった」
「多分ルチリアは今もそうなんだと思う」
「だから今回も……」
「やっぱりそうだったのか」
「あ、えっと」
「いいよ、私もミルフィーナも分かっていたから」
そうは言うけど、今回そのキッカケを与えたのは自分な訳で……。
「なんか悪いな。最近嫌なことばかり起こって」
「別にカエデのせいじゃないよ。元からルチリアって、そういう奴だから。むしろお前がここに来た事を感謝しているくらいなんだから」
「感謝って、別に俺は何にもしてないぞ」
「何もしてなくてもいいんだよ。それだけでも充分だからさ」
「?」
何を言っているかは分からなかったが、感謝されて悪い気はしないので、これ以上は聞かなくていいか。
「さてと、そろそろ俺寝るからポチも寝ろよ」
「分かっているよ。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
(親の事でこんなに悩まされるなんて……)
俺もやっぱりまだ寂しさを感じているのかな、母親がいない事に。
「でもまさかこんな形でカエデ君に再会するなんて思ってもいなかったの。もう多分、二度と会えないと思っていたから。まだ会ったのってカエデ君が小さい頃だったし」
「それは俺も覚えていないわけだな」
でも俺がこの世界にきたのって偶然ではないんだろうな。俺をこの世界に呼んだのはカグヤな訳だし、そのカグヤも俺の母親の事を知っているのだから。
「でも流石に顔を見ただけでは最初は分からなかったなぁ。名前を聞いてようやく思い出したって感じだし」
「よく思い出せたよな、むしろ」
「うーん、まあ多分忘れられなかったんだと思うけど」
そう言うと再びルチリアは本を読み始めた。なんだか意味ありげな言い方だったけど、何か特別な事でもあったのだろうか。
(今は気にしなくていいか)
俺も調べ事を続けないといけないわけだし。
結局その日も一日調べていたが、目ぼしいものもは手に入らかった。もう少し調べたいとルチリアは言ったけど、いい加減帰らないと余計に心配させてしまいそうなので、また後日二人で来る事に。
で、夜遅くにポカルミ村へと帰ってきた。訳だけど、
「馬鹿楓! ミイラ取りがミイラになってどうするのよ」
「いや、なんか俺も調べ物をしたくなってさ」
「言い訳無用!」
村へ帰るなり四人から同時に説教を受ける事になった。でも皆怒りながらも、ルチリアが無事に帰ってきた事に安堵の表情を浮かべていた。まあ俺が向かう前から皆心配していたしな……。
「とにかくご無事でよかったです、お二人とも」
そしてその中でも一番心配していたのがモカだった。フォルナを失った事もあってか、誰よりもルチリアを心配していた。
「とにかく心配かけてごめんなさい。私も一週間以上居座る事になるなんて思っていなかったから」
「全く。私達を差し置いて何を調べていたんだよルチリア」
「え、えっとそれは」
まさか自分の母親を調べるために篭っていたとは言えないので、言葉に困るルチリア。仕方がないので俺が助け舟を出してあげる。
「この前皆で行った海底都市について調べていたんだよ。俺も気になる事があったから、一緒に調べていただけ」
「何だよ、その位なら私達でも手伝えたのにさ」
「そうですよぉ〜。困った時はお互い様だって言っているのはルチリアちゃんじゃないですかぁ」
「ご、ごめん二人とも」
「まあまあ二人とも、こうして帰ってきたんだからいいだろ? それに今回は俺にも責任があるんだから、許してくれないか」
「別に怒ってはいないけどさ。何か二人だけで何かするっていうのが気に入らないんだよ」
「何だよポチ、嫉妬しているのか」
「そ、そうじゃない! ただ、私達は今まで何をするにも一緒だったからさ」
どこか寂しげにそう語るポチ。そういえば俺や雫が来る前は三人だけの村だったから、たった三人で色んな事を乗り越えてきたのだろう。
それが急に抜け駆けされたら、寂しい気分になるのは分からなくもない。
(でも誰かに話すような内容じゃないから困っているんだろうな、ルチリアは)
これは少しだけ難しい話になるかもしれないな。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
その日の夜遅く、トイレに向かう為起きた俺は途中で一人で外にいるポチの姿が窓から見えた。
(何やってるんだろ)
少し気になった俺は、外へ出てポチに話しかける事にした。
「どうしたんだよこんな夜遅くに」
「カエデか……。珍しく眠れなくて、ちょっと空気を吸いに来た」
椅子に座っていたので、俺はその隣に座る。
「ルチリアが……今まで私達に何も言わないで何かをする事はなかった。むしろ村のリーダーみたいなものだから、私やミルフィーナに協力を仰ぐ事の方が多かった」
「出会った時からそんな感じはしていたよ。ルチリアって、どちらかというとそういうタイプだし」
「けど今回の件は違った。自分一人で行動して、一週間も帰ってこなかったなんて、今までに全くなかった。でも何度かはそういう事はあった」
「それって」
「あいつが自分の母親について何かを知ろうとし時だ」
(やっぱりか……)
今まで知ろうとしなかったなんて、真っ赤な嘘だった。今回の事もやっぱり元からその目的で……。
「なあカエデ、お前は自分には母親がいない事を寂しいと思った事ってあるか?」
「小さい頃はよくあったかな。周りの皆がお母さんに迎えに来てもらっている姿とか見ていたら、やっぱり寂しくなった」
「多分ルチリアは今もそうなんだと思う」
「だから今回も……」
「やっぱりそうだったのか」
「あ、えっと」
「いいよ、私もミルフィーナも分かっていたから」
そうは言うけど、今回そのキッカケを与えたのは自分な訳で……。
「なんか悪いな。最近嫌なことばかり起こって」
「別にカエデのせいじゃないよ。元からルチリアって、そういう奴だから。むしろお前がここに来た事を感謝しているくらいなんだから」
「感謝って、別に俺は何にもしてないぞ」
「何もしてなくてもいいんだよ。それだけでも充分だからさ」
「?」
何を言っているかは分からなかったが、感謝されて悪い気はしないので、これ以上は聞かなくていいか。
「さてと、そろそろ俺寝るからポチも寝ろよ」
「分かっているよ。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
(親の事でこんなに悩まされるなんて……)
俺もやっぱりまだ寂しさを感じているのかな、母親がいない事に。
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