異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第29話奥底に眠る力
「貴様もあの時いた仲間だな。ならば一緒に倒させてもらうぞ」
絶体絶命のピンチの中、ようやくルチリアが到着した事によりそのピンチを逃れる事に成功。だが敵も兵を失ってなお、撤退する気はないようだ。
「倒せるものなら倒してみなさい。私だっさてだてに日々鍛錬しているわけじゃないんだから」
「ルチリア、戦うのもいいけどフォルナが」
「フォルナちゃんがどうしたの?」
短時間で事情を説明する。二人が向き合っている間に息を確認してみたが、村に到着したところで間に合うか絶望的だった。
「そんな……、よくも私の仲間を」
「勘違いしないでもらいたい。彼女は私の家族だ。貴様らのような仲間ではない」
「そんなの家族でも……」
「いい加減にしろ!」
今の言葉を聞いてついに俺の怒りが 爆発した。命まで奪っておいて、何が家族だって言うんだ。
「そんなのが家族だって? 何をふざけた事言っているんだお前は!フォルナの気持ちを考えた事がお前は」
「相変わらずうるさい奴だな」
気づかない間に放たれた矢が、俺の足に今度は命中してしまう。しかもさっきとは反対の足なので、これだと下手をすれば歩けない。
「カエデ君!」
「く……そっ」
それでも怒りが収まらない俺は、痛みを堪えながらも立ち上がる。こいつだけは……こいつだけは ……。
「許さない!」
身体の中にある何かが動き出す。そして気が付いた時には、身体が動き出していた。
「その動き、貴様まさか……」
「喰らえ、この野郎!」
拳に力を全て込めて、一発殴り飛ばす。かなり勢いがあったのか、相手は洞窟を出たさらにその先まで吹き飛んだ。
「はぁ……はぁ……」
「カエデ君、今のは……」
一発飛ばした後、体力を使い果たしてしまったのか、俺はそのまま意識を失ってしまった。
「カエデ君、大丈夫?! カエデ君!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ドクンドクン
心臓の鼓動とは違う何かが身体の中から聞こえる。まるで目を覚ますのを待っていたかのように、その鼓動は俺の全身を駆け巡った。
『ついに使う事になったのね、その力』
どこからか声が聞こえる。その声はどこか懐かしくて暖かい、そんな声。
『本当はただの人としてあなたには生きて欲しかったけど、カグヤさんも余計なお節介なんだから……』
この声、もしかして母さん?
『ごめんね楓。あなたにも迷惑をかけてしまって。でも、あなたはそれをいつかは受け入れなければならないの。だから頑張って』
教えて欲しい。俺は一体何者なのか。だからいなくならないでくれ。母さん!
「っ!」
見慣れた天井で俺は目が覚めた。本当は色々と聞きたい事があったのに、どうしてこんなタイミングで……。
「母さん、どうして俺の中に……」
今のあれは果たして夢なのだろうか。俺を認識して話しかけたみたいだけど……。
「あ! カエデ君! よかった、目を覚ましたんだ」
「ルチリア、俺は……」
しばらくボーッとしているとルチリアが入ってくる。
「あの後すぐに倒れたので本当にビックリした。いきなりすごい力を使ったりしたから、死んじゃったのかなって」
「いや、その位で死んだりしなけどさ。それよりフォルナは?」
「皆でカエデ君と一緒に村まで運んできたけど……」
「間に合わなかったのか?」
「うん……」
「そうか……」
分かってはいたけど、改めてそう告げられるとショックは大きい。奇跡的にでも生き残れればそれでよかったのに、どうしてこんなにも無情なのだろうか。
「更にそれでモカ様もショックで寝込んでて」
「やっぱりか……」
自分が助けを呼びに行く間に、友達がやられてしまったのだからショックなのは当たり前だろう。多分その大きさは俺以上なのかもしれない。
「もしよければなんだけど、あの遺跡で何があったのか教えてくれない?」
「勿論構わないよ。でもその前に俺の頼みも聞いて欲しいんだけど」
「あの力の事を黙っていて欲しい、でしょ?」
「ああ。俺自身あの時何が起きたのか分かっていないんだ。だからもう少し俺にも考える時間が欲しいんだ」
「あの力については、多分カエデ君は知らない方がいいと思う」
「え?」
ルチリアから思いもよらない言葉が出てきたので驚いてしまう。
「ルチリアには分かるのか? あれが何なのか」
「知っている。けおど、私には答える事ができない」
「どういう意味だよそれ! 俺は俺自身の事が知りたいんだよ、だから少しでも」
「だったらもしその力が、今よりも敵を増やす事になるとかだったらどうする」
「何だよ……それ。それだとまるで人間にも嫌われるみたいな言い方じゃないか」
「あくまでこれは例えばの話だから気にしないで。でもそそれくらの力がカエデ君にはあると考えていて。今までの修行が無駄になるくらいだから」
そこまで言われたら俺もこれ以上の言及をする事は出来なかった。ルチリアの言葉からは恐怖すら感じられたからだ。
「それで話を戻すけど、遺跡で何があったのか教えて欲しいんだけど」
「あ、そうだったな。実はあの遺跡には隠し通路があってな」
ひとまず先程までの話は置いておいて、遺跡での事を話す。あの泉らしき場所で聞いたあの声の事も彼女に説明した。
「遺跡にある泉の、守護獣。そんなのが存在するのかな」
「存在するからあの事故が起きたんだ。だから存在はするんだと思う」
あの地震からの事故の流れは、明らかに人為的に起こされたものだと思う(人じゃないけど)。それにあそこまで俺を拒んでいたのだから、間違いなく獣人の類だ。
「遺跡の中にある街と泉と守護獣、絶対何かありそうだよな」
「人間が住んでいた形跡もあるから、本当に何かありそうだけど、その前にカエデ君に頼みたい事があるんだけど」
「頼み?」
「しばらく私村をあけるから、その間の村の守備をして欲しいの
「しばらくってどのくらい?」
「多分二日くらいになると思う。お願いできる?」
「ああ、勿論」
かくしてフォルナの事件から一週間後、ルチリアが村からしばらくいなくなった。しかしそこから更に五日が過ぎてもルチリアは帰っって来ず、俺達は総出でルチリアの捜索へと向かう事になる。
(ルチリア、どこへ行ったんだ)
絶体絶命のピンチの中、ようやくルチリアが到着した事によりそのピンチを逃れる事に成功。だが敵も兵を失ってなお、撤退する気はないようだ。
「倒せるものなら倒してみなさい。私だっさてだてに日々鍛錬しているわけじゃないんだから」
「ルチリア、戦うのもいいけどフォルナが」
「フォルナちゃんがどうしたの?」
短時間で事情を説明する。二人が向き合っている間に息を確認してみたが、村に到着したところで間に合うか絶望的だった。
「そんな……、よくも私の仲間を」
「勘違いしないでもらいたい。彼女は私の家族だ。貴様らのような仲間ではない」
「そんなの家族でも……」
「いい加減にしろ!」
今の言葉を聞いてついに俺の怒りが 爆発した。命まで奪っておいて、何が家族だって言うんだ。
「そんなのが家族だって? 何をふざけた事言っているんだお前は!フォルナの気持ちを考えた事がお前は」
「相変わらずうるさい奴だな」
気づかない間に放たれた矢が、俺の足に今度は命中してしまう。しかもさっきとは反対の足なので、これだと下手をすれば歩けない。
「カエデ君!」
「く……そっ」
それでも怒りが収まらない俺は、痛みを堪えながらも立ち上がる。こいつだけは……こいつだけは ……。
「許さない!」
身体の中にある何かが動き出す。そして気が付いた時には、身体が動き出していた。
「その動き、貴様まさか……」
「喰らえ、この野郎!」
拳に力を全て込めて、一発殴り飛ばす。かなり勢いがあったのか、相手は洞窟を出たさらにその先まで吹き飛んだ。
「はぁ……はぁ……」
「カエデ君、今のは……」
一発飛ばした後、体力を使い果たしてしまったのか、俺はそのまま意識を失ってしまった。
「カエデ君、大丈夫?! カエデ君!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ドクンドクン
心臓の鼓動とは違う何かが身体の中から聞こえる。まるで目を覚ますのを待っていたかのように、その鼓動は俺の全身を駆け巡った。
『ついに使う事になったのね、その力』
どこからか声が聞こえる。その声はどこか懐かしくて暖かい、そんな声。
『本当はただの人としてあなたには生きて欲しかったけど、カグヤさんも余計なお節介なんだから……』
この声、もしかして母さん?
『ごめんね楓。あなたにも迷惑をかけてしまって。でも、あなたはそれをいつかは受け入れなければならないの。だから頑張って』
教えて欲しい。俺は一体何者なのか。だからいなくならないでくれ。母さん!
「っ!」
見慣れた天井で俺は目が覚めた。本当は色々と聞きたい事があったのに、どうしてこんなタイミングで……。
「母さん、どうして俺の中に……」
今のあれは果たして夢なのだろうか。俺を認識して話しかけたみたいだけど……。
「あ! カエデ君! よかった、目を覚ましたんだ」
「ルチリア、俺は……」
しばらくボーッとしているとルチリアが入ってくる。
「あの後すぐに倒れたので本当にビックリした。いきなりすごい力を使ったりしたから、死んじゃったのかなって」
「いや、その位で死んだりしなけどさ。それよりフォルナは?」
「皆でカエデ君と一緒に村まで運んできたけど……」
「間に合わなかったのか?」
「うん……」
「そうか……」
分かってはいたけど、改めてそう告げられるとショックは大きい。奇跡的にでも生き残れればそれでよかったのに、どうしてこんなにも無情なのだろうか。
「更にそれでモカ様もショックで寝込んでて」
「やっぱりか……」
自分が助けを呼びに行く間に、友達がやられてしまったのだからショックなのは当たり前だろう。多分その大きさは俺以上なのかもしれない。
「もしよければなんだけど、あの遺跡で何があったのか教えてくれない?」
「勿論構わないよ。でもその前に俺の頼みも聞いて欲しいんだけど」
「あの力の事を黙っていて欲しい、でしょ?」
「ああ。俺自身あの時何が起きたのか分かっていないんだ。だからもう少し俺にも考える時間が欲しいんだ」
「あの力については、多分カエデ君は知らない方がいいと思う」
「え?」
ルチリアから思いもよらない言葉が出てきたので驚いてしまう。
「ルチリアには分かるのか? あれが何なのか」
「知っている。けおど、私には答える事ができない」
「どういう意味だよそれ! 俺は俺自身の事が知りたいんだよ、だから少しでも」
「だったらもしその力が、今よりも敵を増やす事になるとかだったらどうする」
「何だよ……それ。それだとまるで人間にも嫌われるみたいな言い方じゃないか」
「あくまでこれは例えばの話だから気にしないで。でもそそれくらの力がカエデ君にはあると考えていて。今までの修行が無駄になるくらいだから」
そこまで言われたら俺もこれ以上の言及をする事は出来なかった。ルチリアの言葉からは恐怖すら感じられたからだ。
「それで話を戻すけど、遺跡で何があったのか教えて欲しいんだけど」
「あ、そうだったな。実はあの遺跡には隠し通路があってな」
ひとまず先程までの話は置いておいて、遺跡での事を話す。あの泉らしき場所で聞いたあの声の事も彼女に説明した。
「遺跡にある泉の、守護獣。そんなのが存在するのかな」
「存在するからあの事故が起きたんだ。だから存在はするんだと思う」
あの地震からの事故の流れは、明らかに人為的に起こされたものだと思う(人じゃないけど)。それにあそこまで俺を拒んでいたのだから、間違いなく獣人の類だ。
「遺跡の中にある街と泉と守護獣、絶対何かありそうだよな」
「人間が住んでいた形跡もあるから、本当に何かありそうだけど、その前にカエデ君に頼みたい事があるんだけど」
「頼み?」
「しばらく私村をあけるから、その間の村の守備をして欲しいの
「しばらくってどのくらい?」
「多分二日くらいになると思う。お願いできる?」
「ああ、勿論」
かくしてフォルナの事件から一週間後、ルチリアが村からしばらくいなくなった。しかしそこから更に五日が過ぎてもルチリアは帰っって来ず、俺達は総出でルチリアの捜索へと向かう事になる。
(ルチリア、どこへ行ったんだ)
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
238
-
-
0
-
-
17
-
-
39
-
-
140
-
-
267
-
-
310
-
-
58
-
-
4
コメント