異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第27話泉を守りし者
それが表れたのは中学生になる前の事だったと思う。
(何だよこれ)
ある日鏡を見たら、自分の目がおかしな色になっている事に気がついた。それは本当に突然の事で、俺もそれを頭で理解する事が出来なかった。
「かなり遅かったんですね。もう一つの血が表れるのが」
「当時の俺はまずそんな事も知らなかったから、かなり動揺したよ。医者に診てもらっても、ろくな答えなんて返ってこないし、それが原因でいじめの標的にもなった」
中学時代は本当に地獄だったが、高校になればバラバラになったので、これを機に自分を変えようと試みた。
「それが目につけていたものですか」
「それ以外で隠す方法もなかったし、付けないとどんな目にあうかも分からなかったからな。まあそれが功を奏して結構楽しい日々を送れたよ」
大学生になってもそれを続けていた。ただその分、目の事を隠すのをいつまでも続ける事に、少々嫌気がさした。だから彼女とかできればそれを打ち明けてみようかと思って、二十歳になってからは努力していた。
まあ、それがうまくいかないから今こうしてこの世界にいるわけだけど。
「ところでどうしてモカはそんな事が分かるんだ」
「その答えは簡単ですよ」
そう言ってモカは一度明かりをつけると、俺に顔を向けた。そして俺は彼女の顔を見てある事に気づいた。
「あ」
「私は隠していなかったんですけど、カエデは気づいていなったんですか?」
「全く気にしていなかった」
モカも同じ目の色をしていたのだ。今日一日一緒だったのに、何で俺はその事に気づかなかったのだろうか。
「じゃあモカも」
「はい。私の身体には人の血も流れています」
今まで目を逸らしてきた事実。でもそれは、新たなキッカケの一つになる真実へと、変わっていく事になるのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翌日、先日の約束通りモカとフォルナを連れてあの遺跡へ。すぐにはバレたくないので、今日もカラコンをつけている。
「ってあれ、こっちじゃないぞフォルナ」
「分かってる」
道中違う道を歩き出すフォルナ。一体何を考えているのだろうか。
「大丈夫ってお前、遺跡の方向と真逆なんだけど」
「隠し通路を使う」
「隠し通路?」
「そういえばフォルナちゃんと会う時は、彼女は遺跡がある場所とは全く違う場所から出てきていました」
フォルナの言葉に対してモカが言葉を添える。この遺跡に隠し通路があるなんてルチリアですら知らない事だろう。
「隠し通路を使えば、誰にも見つからないで通路に入れる」
「他の人が知っている可能性は?」
「大丈夫。私しか知らない道だから」
そうこうしている内にフォルナが足を止める。目的の場所に到着したらしいが、それらしき物は見当たらない。
「見てて」
フォルナはそれだけ言うと、その辺りにある木の枝を適当に取って、何かを書き始めた。
(これは…魔法陣?)
フォルナが書き出したのは、ファンタジーの世界でよく見かけるあの魔法陣らしきもの。それを書き終えると、フォルナは何かを唱え始めた。
そして……。
「うわ、すげえ」
木が生い茂っていただけのその場所からは、いかにもという感じの地下へ続く階段が現れた。
「さあ行こう」
フォルナの先導へ階段を下りていく俺逹。
「それにしてもすごいですよ、フォルナちゃん。まさか魔法を使えるだなんんて」
「たまたま覚えた。これ以外は使えない」
「そうだとしてもすごいだろ」
魔法なんて空想上のものだと思っていた。でも今こうしてフォルナが使っているのを見て、空想ではない事を実感させられた。勿論異世界に限る話だけど。
「それでこの隠し通路はどこに繋がっているんだ?」
「多分遺跡の 地下三階だと思う。私自身探索をした事がないから、詳しくは分からないけど」
「地下三階って事はあの街の更に下って事か。そう考えるとまだまだ先はありそうだな」
「随分と深い作りになっているんですね。この遺跡」
「ああ。ルチリア達でさえどこまであるのか把握できていないくらいだからな」
それからしばらく階段を下りていくと、ようやくその終わりが見える。
「ついた」
階段を下り終えた先で待っていたのは、何と大きな泉だった。しかも地下にあるというのに水は綺麗だし、辺りには花といった植物も咲いている。
「ここって本当に地下なんだよな」
「遺跡の作りからしてそうだと思うけど」
「すごく綺麗です」
遺跡の中とは思えないその空間に俺とモカは言葉を失ってしまう。
『どなた?』
その景色に見とれていると突然声がする。だがモカとフォルナは反応をしない。聞こえていないのだろうか。
「誰だ」
二人には聞こえないように小声でその声に話しかける。
『私はこの泉の守護獣です。あなたはもしかして人ですか』
「まあ、そうだけど」
『それならば速やかにここから立ち去りなさい。あなたのお友達は構いませんが、この泉に人が踏み入れる事は許しません』
「何だよそれ。身勝手すぎるだろ。別に俺はここを汚そうとか考えていない。ただ俺逹はこの遺跡について知りたいだけなんだ」
『聞き分けがない人ですね。それならば……』
突然遺跡全体が揺れ始める。
「な、何だ」
「カエデ、上」
「え」
フォルナに言われて上を見る。すると先程の揺れで折れてしまったのか、近くにあった木が俺に向かって倒れてきた。
「カエデ!」
モカの叫びが聞こえる。しかし反応に遅れた俺はそれを避ける事ができなかった。
『踏み入れてはいけない場所に踏み入れた罰です。今回はこれで済みましたが、次は許しませんよ人間』
(何だよこれ)
ある日鏡を見たら、自分の目がおかしな色になっている事に気がついた。それは本当に突然の事で、俺もそれを頭で理解する事が出来なかった。
「かなり遅かったんですね。もう一つの血が表れるのが」
「当時の俺はまずそんな事も知らなかったから、かなり動揺したよ。医者に診てもらっても、ろくな答えなんて返ってこないし、それが原因でいじめの標的にもなった」
中学時代は本当に地獄だったが、高校になればバラバラになったので、これを機に自分を変えようと試みた。
「それが目につけていたものですか」
「それ以外で隠す方法もなかったし、付けないとどんな目にあうかも分からなかったからな。まあそれが功を奏して結構楽しい日々を送れたよ」
大学生になってもそれを続けていた。ただその分、目の事を隠すのをいつまでも続ける事に、少々嫌気がさした。だから彼女とかできればそれを打ち明けてみようかと思って、二十歳になってからは努力していた。
まあ、それがうまくいかないから今こうしてこの世界にいるわけだけど。
「ところでどうしてモカはそんな事が分かるんだ」
「その答えは簡単ですよ」
そう言ってモカは一度明かりをつけると、俺に顔を向けた。そして俺は彼女の顔を見てある事に気づいた。
「あ」
「私は隠していなかったんですけど、カエデは気づいていなったんですか?」
「全く気にしていなかった」
モカも同じ目の色をしていたのだ。今日一日一緒だったのに、何で俺はその事に気づかなかったのだろうか。
「じゃあモカも」
「はい。私の身体には人の血も流れています」
今まで目を逸らしてきた事実。でもそれは、新たなキッカケの一つになる真実へと、変わっていく事になるのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翌日、先日の約束通りモカとフォルナを連れてあの遺跡へ。すぐにはバレたくないので、今日もカラコンをつけている。
「ってあれ、こっちじゃないぞフォルナ」
「分かってる」
道中違う道を歩き出すフォルナ。一体何を考えているのだろうか。
「大丈夫ってお前、遺跡の方向と真逆なんだけど」
「隠し通路を使う」
「隠し通路?」
「そういえばフォルナちゃんと会う時は、彼女は遺跡がある場所とは全く違う場所から出てきていました」
フォルナの言葉に対してモカが言葉を添える。この遺跡に隠し通路があるなんてルチリアですら知らない事だろう。
「隠し通路を使えば、誰にも見つからないで通路に入れる」
「他の人が知っている可能性は?」
「大丈夫。私しか知らない道だから」
そうこうしている内にフォルナが足を止める。目的の場所に到着したらしいが、それらしき物は見当たらない。
「見てて」
フォルナはそれだけ言うと、その辺りにある木の枝を適当に取って、何かを書き始めた。
(これは…魔法陣?)
フォルナが書き出したのは、ファンタジーの世界でよく見かけるあの魔法陣らしきもの。それを書き終えると、フォルナは何かを唱え始めた。
そして……。
「うわ、すげえ」
木が生い茂っていただけのその場所からは、いかにもという感じの地下へ続く階段が現れた。
「さあ行こう」
フォルナの先導へ階段を下りていく俺逹。
「それにしてもすごいですよ、フォルナちゃん。まさか魔法を使えるだなんんて」
「たまたま覚えた。これ以外は使えない」
「そうだとしてもすごいだろ」
魔法なんて空想上のものだと思っていた。でも今こうしてフォルナが使っているのを見て、空想ではない事を実感させられた。勿論異世界に限る話だけど。
「それでこの隠し通路はどこに繋がっているんだ?」
「多分遺跡の 地下三階だと思う。私自身探索をした事がないから、詳しくは分からないけど」
「地下三階って事はあの街の更に下って事か。そう考えるとまだまだ先はありそうだな」
「随分と深い作りになっているんですね。この遺跡」
「ああ。ルチリア達でさえどこまであるのか把握できていないくらいだからな」
それからしばらく階段を下りていくと、ようやくその終わりが見える。
「ついた」
階段を下り終えた先で待っていたのは、何と大きな泉だった。しかも地下にあるというのに水は綺麗だし、辺りには花といった植物も咲いている。
「ここって本当に地下なんだよな」
「遺跡の作りからしてそうだと思うけど」
「すごく綺麗です」
遺跡の中とは思えないその空間に俺とモカは言葉を失ってしまう。
『どなた?』
その景色に見とれていると突然声がする。だがモカとフォルナは反応をしない。聞こえていないのだろうか。
「誰だ」
二人には聞こえないように小声でその声に話しかける。
『私はこの泉の守護獣です。あなたはもしかして人ですか』
「まあ、そうだけど」
『それならば速やかにここから立ち去りなさい。あなたのお友達は構いませんが、この泉に人が踏み入れる事は許しません』
「何だよそれ。身勝手すぎるだろ。別に俺はここを汚そうとか考えていない。ただ俺逹はこの遺跡について知りたいだけなんだ」
『聞き分けがない人ですね。それならば……』
突然遺跡全体が揺れ始める。
「な、何だ」
「カエデ、上」
「え」
フォルナに言われて上を見る。すると先程の揺れで折れてしまったのか、近くにあった木が俺に向かって倒れてきた。
「カエデ!」
モカの叫びが聞こえる。しかし反応に遅れた俺はそれを避ける事ができなかった。
『踏み入れてはいけない場所に踏み入れた罰です。今回はこれで済みましたが、次は許しませんよ人間』
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