異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第44話眠る記憶は苦痛へと④
ポチの元へ向かう前に扉が閉まったので、俺は仕方なく一人で城の中を探索する事に。
(中は思ったより綺麗なんだな)
明かりはついていないものの、廃墟のような感じはせず、まるで毎日誰かが掃除しているのではないかと錯覚するくらいの綺麗さだった。
(でも誰かがいるのは間違いないんだよな)
この城の扉が誰かによって意図的に閉められ、俺だけを孤立させた。どんな理由があって俺だけをこの中に閉じ込めたのかは分からないけど、ポチが俺を止めようとしていた理由も気になる。
(謁見の間って言ったら、城の上の階とかにあるのかな)
階段は入ってすぐのところにあり、その先に大きな扉があった。一応探索をしたいので、まずは一階を探索しているが、何かありそうな気配はないので、このまま入り口に戻るのが正解なのかもしれない。
(何か思い出しそうもないし戻るか)
五分後入口に戻り、俺は謁見の間があると思われる扉の前へと到着する。
『随分寄り道をしたわね、楓』
そこで再びあの声が聞こえる。
「どこからか俺を見ていたかの言い方だな。閉じ込めたのもそっちの意志なのか?」
『私はあなただけに会いたかったの。それにここに来れるのは、資格があるものしか来れない』
「その資格が俺にはあるからって事か?」
『そう。あなたは私の血を継いでるただ一人の人間。さあ、この扉を開いてその顔を見せて』
声が聞こえなくなったので、俺は扉に手をかける。この先に俺が求めている答えがあるのかと思うと、少し手が震える。だがここまで来て無視することができないので、俺はゆっくりと扉を開く。
「これは……」
その先で俺を待っていたのは、謁見の間らしき場所。そして正面にある椅子に座る、白骨化している一つの死骸があった。
『おかえりなさい、私のたった一人の子供。楓』
「母……さん?」
どこか懐かしい面影。白骨化してるからそういうのは分からかもしれないけど、それは俺の記憶の中にある確かなものだった。
■□■□■□
「カエデ君、大丈夫かな」
カエデ君が城の中に入ったのを聞いてからしばらくが経つ。私たちはと言うと、どこからか城に入れないかなど、いろいろ捜索していた。
「やっぱり心配か? カエデの事」
「それは心配よ。だってカエデ君が一人で、私達の想像している以上の事を思い出しているって考えていると、心配になるでしょポチだって」
「まさかここまで徹底して入れないとは思っていなかったな私も。でもルチリアは決めたんだろ? 私達は信じて待つって」
「うん。でも、できれば私達も一緒にいてあげたい」
「それはカエデが好きだからか?」
「そ、そうじゃないわよ。私はただ」
「もう嘘つく必要なんてないだろ? お前は昔からカエデが好きだったんだから」
「そ、それを言ったら二人だって……」
私はずっと消えていた記憶を、カグヤさんの話によって思い出した。何もかもが信じられない話ばかりで、それを思い出せずにいた自分さえも情けなくなってしまった。
でも思い出した記憶達の中で、一つだけずっと変わっていなかった思いがある。
『私ルチリア。あなたは?』
『カエデ。僕はカエデ』
『じゃあカエデ君、一緒に遊ぼう』
『うん!』
それは長い間私の中で秘めてきた、誰にも譲る事のできないもの。
「ば、馬鹿。どうして私までがカエデを」
「そうですよぉ、ルチリアちゃん。私達にとってカエデ君はお友達なだけでぇ」
「冗談よ冗談。そんな本気にならなくてもいいじゃない」
「へ、変な事を言うからだろ!」
否定しようと思っても、もう私の中では否定することはできない。
私はずっとカエデ君の事が好きだったんだ。
■□■□■□
『そう。楓も二十歳になったのね』
「まさかその二十歳で、この世界に来る事になるとは思わなかったけどな」
『でも全部忘れていたんでしょ? ここでの事を』
「ああ。母さんの事も、ここでの暮らしの事も綺麗さっぱり」
あれか少し経って、俺は声の主である自分の母親にここまでの話をし終えた。死体に話すなんてシュールな光景にも見えるかもしれないけど、誰も見てないしこうして話せるのも奇跡に近いのだから仕方ない。
『じゃあ楓には思い出してもらわないと』
「思い出すって何を?」
『この都市で起きた事全て、そしてあなたがこれからするべき事を』
「俺がこれからするべき事?」
『楓、あなたには私の記憶を全て受け継いだ上で、もう一度この都市を作り上げてもらいます』
予想もしない言葉が出てきた俺は、一瞬思考が停止してしまう。
(この都市をもう一度、俺が?)
「何でそんな事を急に」
『それがあなたの使命。だから私はこの場所にあなたを呼んだの』
「無茶苦茶な」
『あなたはこの先、自分の血に苦しまされる事になる。それを乗り越えるためにも、あなたにはここでの記憶を受け継いで、私達が叶えようとした人と獣人が手を取り合って生きて行ける世界を作って欲しいの」
「人と獣人が手を取り合って……」
いつかカグヤさんが言っていた言葉。俺にはその素質があるとは言っていたけど、彼女はそこまで分かっていて俺をこの世界に呼び戻したというのだろうか。
(でも俺にはそんな事)
『迷うのは当然よ。だから一度目を瞑って』
「目を?」
『今から見せてあげる。ここに眠る記憶の全てを』
(中は思ったより綺麗なんだな)
明かりはついていないものの、廃墟のような感じはせず、まるで毎日誰かが掃除しているのではないかと錯覚するくらいの綺麗さだった。
(でも誰かがいるのは間違いないんだよな)
この城の扉が誰かによって意図的に閉められ、俺だけを孤立させた。どんな理由があって俺だけをこの中に閉じ込めたのかは分からないけど、ポチが俺を止めようとしていた理由も気になる。
(謁見の間って言ったら、城の上の階とかにあるのかな)
階段は入ってすぐのところにあり、その先に大きな扉があった。一応探索をしたいので、まずは一階を探索しているが、何かありそうな気配はないので、このまま入り口に戻るのが正解なのかもしれない。
(何か思い出しそうもないし戻るか)
五分後入口に戻り、俺は謁見の間があると思われる扉の前へと到着する。
『随分寄り道をしたわね、楓』
そこで再びあの声が聞こえる。
「どこからか俺を見ていたかの言い方だな。閉じ込めたのもそっちの意志なのか?」
『私はあなただけに会いたかったの。それにここに来れるのは、資格があるものしか来れない』
「その資格が俺にはあるからって事か?」
『そう。あなたは私の血を継いでるただ一人の人間。さあ、この扉を開いてその顔を見せて』
声が聞こえなくなったので、俺は扉に手をかける。この先に俺が求めている答えがあるのかと思うと、少し手が震える。だがここまで来て無視することができないので、俺はゆっくりと扉を開く。
「これは……」
その先で俺を待っていたのは、謁見の間らしき場所。そして正面にある椅子に座る、白骨化している一つの死骸があった。
『おかえりなさい、私のたった一人の子供。楓』
「母……さん?」
どこか懐かしい面影。白骨化してるからそういうのは分からかもしれないけど、それは俺の記憶の中にある確かなものだった。
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「カエデ君、大丈夫かな」
カエデ君が城の中に入ったのを聞いてからしばらくが経つ。私たちはと言うと、どこからか城に入れないかなど、いろいろ捜索していた。
「やっぱり心配か? カエデの事」
「それは心配よ。だってカエデ君が一人で、私達の想像している以上の事を思い出しているって考えていると、心配になるでしょポチだって」
「まさかここまで徹底して入れないとは思っていなかったな私も。でもルチリアは決めたんだろ? 私達は信じて待つって」
「うん。でも、できれば私達も一緒にいてあげたい」
「それはカエデが好きだからか?」
「そ、そうじゃないわよ。私はただ」
「もう嘘つく必要なんてないだろ? お前は昔からカエデが好きだったんだから」
「そ、それを言ったら二人だって……」
私はずっと消えていた記憶を、カグヤさんの話によって思い出した。何もかもが信じられない話ばかりで、それを思い出せずにいた自分さえも情けなくなってしまった。
でも思い出した記憶達の中で、一つだけずっと変わっていなかった思いがある。
『私ルチリア。あなたは?』
『カエデ。僕はカエデ』
『じゃあカエデ君、一緒に遊ぼう』
『うん!』
それは長い間私の中で秘めてきた、誰にも譲る事のできないもの。
「ば、馬鹿。どうして私までがカエデを」
「そうですよぉ、ルチリアちゃん。私達にとってカエデ君はお友達なだけでぇ」
「冗談よ冗談。そんな本気にならなくてもいいじゃない」
「へ、変な事を言うからだろ!」
否定しようと思っても、もう私の中では否定することはできない。
私はずっとカエデ君の事が好きだったんだ。
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『そう。楓も二十歳になったのね』
「まさかその二十歳で、この世界に来る事になるとは思わなかったけどな」
『でも全部忘れていたんでしょ? ここでの事を』
「ああ。母さんの事も、ここでの暮らしの事も綺麗さっぱり」
あれか少し経って、俺は声の主である自分の母親にここまでの話をし終えた。死体に話すなんてシュールな光景にも見えるかもしれないけど、誰も見てないしこうして話せるのも奇跡に近いのだから仕方ない。
『じゃあ楓には思い出してもらわないと』
「思い出すって何を?」
『この都市で起きた事全て、そしてあなたがこれからするべき事を』
「俺がこれからするべき事?」
『楓、あなたには私の記憶を全て受け継いだ上で、もう一度この都市を作り上げてもらいます』
予想もしない言葉が出てきた俺は、一瞬思考が停止してしまう。
(この都市をもう一度、俺が?)
「何でそんな事を急に」
『それがあなたの使命。だから私はこの場所にあなたを呼んだの』
「無茶苦茶な」
『あなたはこの先、自分の血に苦しまされる事になる。それを乗り越えるためにも、あなたにはここでの記憶を受け継いで、私達が叶えようとした人と獣人が手を取り合って生きて行ける世界を作って欲しいの」
「人と獣人が手を取り合って……」
いつかカグヤさんが言っていた言葉。俺にはその素質があるとは言っていたけど、彼女はそこまで分かっていて俺をこの世界に呼び戻したというのだろうか。
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