異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第37話兎と兎と人間
「カエデ、構えてください。来ますよ!」
モカの一言共に、誰もいないはずの空間から影らしきものがこちらに迫ってきた。俺は彼女の言う通りに構えようとするが、今日は肝心の武器を持っていない。
「も、モカ、俺武器も何も持っていないんだけど」
「何やっているんですか! 私と共に出かける以上は武器を持ち合わせてないと」
確かに初めて会った時、襲撃にあってはいたけどあの時はモカが一蹴したから、てっきり俺は不要かと思っていた。
「と、とりあえずここは逃げるしか」
「しゃがんでください、カエデ」
モカの咄嗟の指示で俺はしゃがむ。すると同時に、俺の上を何かが通過する音がした。今のはもしかして、武器か何かか?
「ちっ、外したか」
背後から声がする。どうやら俺を不意打ちで倒そうとしたのだろう。
「カエデ、そのまま前転して、距離をとってください。追撃は私が何とかします」
「わ、分かった」
続いて前に転がり、相手の方に体を向ける。そこには既にモカと一匹のウサギが対峙していた。とは言っても、相手は刀。モカはそれらしい武器を持っていない。この状況だけを見ると、危ない気がするが……。
「やはりあなたが直接手を出しにきましたか、カルマ」
「久しいな、王女様」
カルマと呼ばれたその兎は、見た目はモカとほぼ変わらないが、どうして同族である彼が王女の命を狙っているのだろうか。
「あなたは私達一族の裏切り者、必ず狙ってくるとは思ってはいましたがまさかこんなに早く来るとは」
「王女様のお命を頂戴しないと、上に色々言われるものでね。そもそも王国から一人逃げ出してきたあんたこそが、真の裏切り者じゃないのか」
「私はあなたと違います!皆私だけでも安全なところに避難して欲しいと言ってくれたんです。だから」
モカはその言葉と共に、カルマが持っていた武器を目にも留まらぬ速さでその手から弾き飛ばした。前回の時もそうだったけど、彼女の動きは一体どうなっているんだ。
「ちっ、やはり武術に長けているだけはあるな。だが」
指を鳴らすカルマ。同時に俺達の周囲の茂みから更に敵が現れた。そいつらは俺なんかを一切無視してモカ目掛けて襲いかかった。
「敵が一人とは限らないぞ、王女様」
「モカ!」
少し反応が遅れて俺は動く。だがこれだと間に合いそうではない。
「残念ですがあなた一人ではないと初めから分かっていたので、この動きも予想済みですよ、カルマ」
だがそんなの御構い無しとばかりに、モカはウサギらしい素晴らしい跳躍を見せる。
「その動きを俺が読めてなかったとでも」
しかしそれすらも予想していたのか、カルマは今度は隠し持っていた短刀をモカに向かって投げる。
「武術に長けていても空中では何もできまい」
「確かに何もできませんが、もう一人動ける方がいるのを忘れていませんか?」
少し遅れて動いたものの、次の一撃には余裕で間に合っていた俺は、カルマが持っていた武器を手に取り、モカに襲いかかった奴らを踏み台にして俺は飛んだ。
「馬鹿な、普通の人間がこんな動きを」
「残念だったな」
モカの前へ出た俺はギリギリのところで短刀を弾き飛ばす。ルチリアやポチ達と普段から鍛錬していた成果がここで出せて良かった。
「よくやりました、カエデ。お礼に空の旅をプレゼントします」
「え? 空の旅ってまさか……」
モカは俺の腕を取ると、一度地面に降り再び飛び上がった。
「さあ、一気にポカルミ村に戻りますよ、カエデ」
「ちょっと待ってぇぇ」
こうして包囲網は何とか突破することはできたものの、俺は再び恐怖の空の旅を味わうことになったのだった。
(何だろこのデジャヴ)
■□■□■□
ポカルミ村に戻るなり、ルチリア達にものすごく怒られる羽目になったのは言うまでもなく、久しぶりに部屋に戻った頃にはすっかり夜になってしまっていた。
「ひぃ、疲れた」
ただ飛んだとは言えど、慣れない動きをしたため、布団に入ると疲れと眠気が俺を押し寄せた。モカも同じだったのか、部屋に入った時には既に布団の中に入っていた。
「お疲れ様です、カエデ。ごめんなさい、私が無理をさせたばかりに」
「慣れない動きはするものじゃないって身を以て知ったよ。でも無事脱出できて良かったよ」
「でも私は切り抜けられるって信じてましたよ。カエデが居ましたし」
「そんな信頼されても、俺まだ何もできてないし」
「私を守ってくれただけで充分です。私もこんな所で死ぬわけにはいきませんでしたから」
「そうは言ってもなぁ」
王女様の言わば護衛なんて、簡単な仕事なわけがないし、今後も今日と同じようにいく保証なんてない。今後も頼られるようになったら、少し怖い。
「それにしても、クーデターを起こしたのって、てっきり違う族の奴らだと思っていたんだけど、まさか同族同士が争っているとはな」
「決して同族同士だけって訳ではないんですけど、彼が少し特殊なだけなんです」
「そういえば裏切り者とか言ってたな」
「話せば長くなるのですが」
モカが語り出そうとした時、部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「カエデ君、起きてる?」
「起きてるけど」
「ちょっと入るね」
部屋を訪ねてきたのはルチリアだった。何か話でもあるのだろうか。
「あ、丁度モカ様もいらしたんですね。それなら話が早いです」
「話が早いって、何が?」
「実はモカ様をお守りするために、この村の守備を固めようと思うの」
モカの一言共に、誰もいないはずの空間から影らしきものがこちらに迫ってきた。俺は彼女の言う通りに構えようとするが、今日は肝心の武器を持っていない。
「も、モカ、俺武器も何も持っていないんだけど」
「何やっているんですか! 私と共に出かける以上は武器を持ち合わせてないと」
確かに初めて会った時、襲撃にあってはいたけどあの時はモカが一蹴したから、てっきり俺は不要かと思っていた。
「と、とりあえずここは逃げるしか」
「しゃがんでください、カエデ」
モカの咄嗟の指示で俺はしゃがむ。すると同時に、俺の上を何かが通過する音がした。今のはもしかして、武器か何かか?
「ちっ、外したか」
背後から声がする。どうやら俺を不意打ちで倒そうとしたのだろう。
「カエデ、そのまま前転して、距離をとってください。追撃は私が何とかします」
「わ、分かった」
続いて前に転がり、相手の方に体を向ける。そこには既にモカと一匹のウサギが対峙していた。とは言っても、相手は刀。モカはそれらしい武器を持っていない。この状況だけを見ると、危ない気がするが……。
「やはりあなたが直接手を出しにきましたか、カルマ」
「久しいな、王女様」
カルマと呼ばれたその兎は、見た目はモカとほぼ変わらないが、どうして同族である彼が王女の命を狙っているのだろうか。
「あなたは私達一族の裏切り者、必ず狙ってくるとは思ってはいましたがまさかこんなに早く来るとは」
「王女様のお命を頂戴しないと、上に色々言われるものでね。そもそも王国から一人逃げ出してきたあんたこそが、真の裏切り者じゃないのか」
「私はあなたと違います!皆私だけでも安全なところに避難して欲しいと言ってくれたんです。だから」
モカはその言葉と共に、カルマが持っていた武器を目にも留まらぬ速さでその手から弾き飛ばした。前回の時もそうだったけど、彼女の動きは一体どうなっているんだ。
「ちっ、やはり武術に長けているだけはあるな。だが」
指を鳴らすカルマ。同時に俺達の周囲の茂みから更に敵が現れた。そいつらは俺なんかを一切無視してモカ目掛けて襲いかかった。
「敵が一人とは限らないぞ、王女様」
「モカ!」
少し反応が遅れて俺は動く。だがこれだと間に合いそうではない。
「残念ですがあなた一人ではないと初めから分かっていたので、この動きも予想済みですよ、カルマ」
だがそんなの御構い無しとばかりに、モカはウサギらしい素晴らしい跳躍を見せる。
「その動きを俺が読めてなかったとでも」
しかしそれすらも予想していたのか、カルマは今度は隠し持っていた短刀をモカに向かって投げる。
「武術に長けていても空中では何もできまい」
「確かに何もできませんが、もう一人動ける方がいるのを忘れていませんか?」
少し遅れて動いたものの、次の一撃には余裕で間に合っていた俺は、カルマが持っていた武器を手に取り、モカに襲いかかった奴らを踏み台にして俺は飛んだ。
「馬鹿な、普通の人間がこんな動きを」
「残念だったな」
モカの前へ出た俺はギリギリのところで短刀を弾き飛ばす。ルチリアやポチ達と普段から鍛錬していた成果がここで出せて良かった。
「よくやりました、カエデ。お礼に空の旅をプレゼントします」
「え? 空の旅ってまさか……」
モカは俺の腕を取ると、一度地面に降り再び飛び上がった。
「さあ、一気にポカルミ村に戻りますよ、カエデ」
「ちょっと待ってぇぇ」
こうして包囲網は何とか突破することはできたものの、俺は再び恐怖の空の旅を味わうことになったのだった。
(何だろこのデジャヴ)
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ポカルミ村に戻るなり、ルチリア達にものすごく怒られる羽目になったのは言うまでもなく、久しぶりに部屋に戻った頃にはすっかり夜になってしまっていた。
「ひぃ、疲れた」
ただ飛んだとは言えど、慣れない動きをしたため、布団に入ると疲れと眠気が俺を押し寄せた。モカも同じだったのか、部屋に入った時には既に布団の中に入っていた。
「お疲れ様です、カエデ。ごめんなさい、私が無理をさせたばかりに」
「慣れない動きはするものじゃないって身を以て知ったよ。でも無事脱出できて良かったよ」
「でも私は切り抜けられるって信じてましたよ。カエデが居ましたし」
「そんな信頼されても、俺まだ何もできてないし」
「私を守ってくれただけで充分です。私もこんな所で死ぬわけにはいきませんでしたから」
「そうは言ってもなぁ」
王女様の言わば護衛なんて、簡単な仕事なわけがないし、今後も今日と同じようにいく保証なんてない。今後も頼られるようになったら、少し怖い。
「それにしても、クーデターを起こしたのって、てっきり違う族の奴らだと思っていたんだけど、まさか同族同士が争っているとはな」
「決して同族同士だけって訳ではないんですけど、彼が少し特殊なだけなんです」
「そういえば裏切り者とか言ってたな」
「話せば長くなるのですが」
モカが語り出そうとした時、部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「カエデ君、起きてる?」
「起きてるけど」
「ちょっと入るね」
部屋を訪ねてきたのはルチリアだった。何か話でもあるのだろうか。
「あ、丁度モカ様もいらしたんですね。それなら話が早いです」
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