異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第9話人と獣 前編
モルモと別れてから歩くこと十分、長い道のりを抜けて先に目的地にはあった。
「うわ、これはもはや街というより都市に近いな」
そこはルチリアから聞いた情報よりもかなり広く、俺が持っていた街のイメージを簡単に覆した。
「とりあえず中に」
「ちょっと待ちたまえ、そこの君」
どんなものなのか胸を踊らせて街へと踏み入れようとした所で、この街の門番をしている犬人に呼び止められた。
「えっと、何か用ですか?」
「用も何も、君どこからどう見ても人間だよね?」
「そうですけど、何か問題でも?」
「君もしかして知らないのかい? この島に人間が足を踏み入れること、それがどれだけ罪深き事なのかを」
「罪深きって、俺が何かしましたか?」
「いいから、こっちへ来なさい」
「え? あ、ちょっ」
反論する間も無く、俺は拘束されてしまう。未だに俺は状況が掴めず、慌てているとそこに、
「何じゃ昼間から騒がしい」
どこかで聞き覚えのある声と共に、いかにも貴族みたいな服装をした犬耳の女性が、あくびをしながらやって来た。
「こ、これは島長殿。何故こんな所に」
「ちょいと野暮用があってのう。それより何をしておるのじゃ、人間一人迷い込んだ位で騒ぐでない」
「そ、そう仰られても、わたくしはこの島の掟に従っただけで……」
「その者を離してやれい」
「し、しかし……」
「はよせぬか」
「わ、分かりました……」
島長を名乗る人物(誰なのかは大体分かったが)に言われ、不満を言いながらも俺の拘束を解く門番。その後去れと言われたので、門番は俺達の前から消えて行った。
「騒がせて済まなかったのう。まさかこんな早いタイミングでお主がここに来るとは思っていなかったからのう」
「ちょっと色々あったんだよ。というか神とか何だとか言っておいて、ただの島長だったのな」
「失敬な。妾はこれでも偉いんじゃぞ」
「はいはい。充分偉いですね」
面倒臭いので適当に受け流す。それ以上に俺は聞きたいことが山程ある。
「とりあえずそれは置いておいて、俺はあんたに聞きたいことが沢山ある」
「初対面の人間に対して、随分と失礼じゃのうお主は。まあ最初から分かっておったが」
「初対面じゃないだろ? 俺はあんたの勝手な行動でこの世界に来たんだから」
「妾はお主の望みを叶えただけじゃ。ほら、ゆくぞ」
「行くってどこに」
「ゆっくり話ができる場所がある。聞きたいことはそこで聞く」
「それはありがたいんだけど、俺まだあんたの名前聞いてないんだけど」
「そういえば自己紹介がまだだったのう。妾はお主をこの島に導いた者、改めてユグナラ島の島長カグヤじゃ。よろしくなのじゃ」
ということで俺は、この島に来て四日目にして自分この世界に送ってきた馬鹿と出会ったのであった。
「馬鹿は余計じゃ、馬鹿は」
「いや、馬鹿だろ。ただの島長が神とか適当に名乗ったりしている時点でさ。それに色々設定盛っていたか。世界を繋ぐものとか、神様だとか、痛い奴にしか思えないだろ」
「そ、そこまで言わなくてもいいじゃろ」
まあ、何はともあれこうして元凶と会えたし、帰り方はさっさと教えてもらわないと。ルチリア達には申し訳ないけど、元凶が見つかったのだから、さっさと帰らしてもらいたい。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「はぁ? 元の世界に帰れないとか、嘘だろ?!」
十分後、カグヤの案内でちょっとしたカフェみたいな所にきた。そしてカグヤの一言で俺は思わず叫んでしまった。
「こんな時に嘘などついてどうするんじゃ。妾はそんなに信用ないかの」
「いや、お前既に二回嘘ついているじゃねえか」
「そ、それに関しては申し訳ないと思っておる。でも今回は嘘ではないのじゃ。ちゃんとした理由だってある」
「理由? どうせろくでもない理由なんだろ?」
「お主自身さっき身を持って体験したはずじゃ。この島での人間の扱いを」
「確かに俺はさっき捕まりかけたけど、あれがどうしたんだ?」
「お主あのまま妾が来ずに連行されていたら、間違いなく死罪になっておったぞ」
「し、死罪?」
いきなり死という言葉が出てきて、思わず声を出してしまう。
「いや、いくらなんでもそれは冗談がすぎるだろ。たかだか人間一人が迷い込んだくらいで」
「そのたかだかがこの島にとっては大問題なのじゃ。この島には人間が一人もおらず、皆獣の皮を被ったものばかりじゃ。世ではそれを獣人と呼んでおる」
「獣人族だっけ? 確かルチリアがそんな事言っていた気がするけど」
「そうじゃ。勿論妾もその一人なのじゃが、妾が幼い頃から周囲はお主みたいな普通の人間を嫌っておった。その理由、お主には分かるか?」
人を嫌う獣。理由が考えられるとしたら、それは……。
「差別?」
「その通りじゃ。ここに住むもの達は皆、人間から差別され、普通の人として認知してもらえなかった者達。そこに普通の人間のお主が足を踏み入れるなど言語道断」
「だったら何でカグヤは俺をこの島に? たとえハーレムを望んでいたとしても、お前だって人間を嫌っているはず。それなのにどうして」
当然の疑問だった。人を嫌うのなら尚更、何故彼女が俺をこの世界に呼んだのか? こんな恨まれてもおかしくない存在を。
「お主には架け橋になってほしいのじゃ」
「架け橋?」
「人と獣を繋ぐ一つの架け橋に、お主にはなってもらいたいのじゃ」
「うわ、これはもはや街というより都市に近いな」
そこはルチリアから聞いた情報よりもかなり広く、俺が持っていた街のイメージを簡単に覆した。
「とりあえず中に」
「ちょっと待ちたまえ、そこの君」
どんなものなのか胸を踊らせて街へと踏み入れようとした所で、この街の門番をしている犬人に呼び止められた。
「えっと、何か用ですか?」
「用も何も、君どこからどう見ても人間だよね?」
「そうですけど、何か問題でも?」
「君もしかして知らないのかい? この島に人間が足を踏み入れること、それがどれだけ罪深き事なのかを」
「罪深きって、俺が何かしましたか?」
「いいから、こっちへ来なさい」
「え? あ、ちょっ」
反論する間も無く、俺は拘束されてしまう。未だに俺は状況が掴めず、慌てているとそこに、
「何じゃ昼間から騒がしい」
どこかで聞き覚えのある声と共に、いかにも貴族みたいな服装をした犬耳の女性が、あくびをしながらやって来た。
「こ、これは島長殿。何故こんな所に」
「ちょいと野暮用があってのう。それより何をしておるのじゃ、人間一人迷い込んだ位で騒ぐでない」
「そ、そう仰られても、わたくしはこの島の掟に従っただけで……」
「その者を離してやれい」
「し、しかし……」
「はよせぬか」
「わ、分かりました……」
島長を名乗る人物(誰なのかは大体分かったが)に言われ、不満を言いながらも俺の拘束を解く門番。その後去れと言われたので、門番は俺達の前から消えて行った。
「騒がせて済まなかったのう。まさかこんな早いタイミングでお主がここに来るとは思っていなかったからのう」
「ちょっと色々あったんだよ。というか神とか何だとか言っておいて、ただの島長だったのな」
「失敬な。妾はこれでも偉いんじゃぞ」
「はいはい。充分偉いですね」
面倒臭いので適当に受け流す。それ以上に俺は聞きたいことが山程ある。
「とりあえずそれは置いておいて、俺はあんたに聞きたいことが沢山ある」
「初対面の人間に対して、随分と失礼じゃのうお主は。まあ最初から分かっておったが」
「初対面じゃないだろ? 俺はあんたの勝手な行動でこの世界に来たんだから」
「妾はお主の望みを叶えただけじゃ。ほら、ゆくぞ」
「行くってどこに」
「ゆっくり話ができる場所がある。聞きたいことはそこで聞く」
「それはありがたいんだけど、俺まだあんたの名前聞いてないんだけど」
「そういえば自己紹介がまだだったのう。妾はお主をこの島に導いた者、改めてユグナラ島の島長カグヤじゃ。よろしくなのじゃ」
ということで俺は、この島に来て四日目にして自分この世界に送ってきた馬鹿と出会ったのであった。
「馬鹿は余計じゃ、馬鹿は」
「いや、馬鹿だろ。ただの島長が神とか適当に名乗ったりしている時点でさ。それに色々設定盛っていたか。世界を繋ぐものとか、神様だとか、痛い奴にしか思えないだろ」
「そ、そこまで言わなくてもいいじゃろ」
まあ、何はともあれこうして元凶と会えたし、帰り方はさっさと教えてもらわないと。ルチリア達には申し訳ないけど、元凶が見つかったのだから、さっさと帰らしてもらいたい。
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「はぁ? 元の世界に帰れないとか、嘘だろ?!」
十分後、カグヤの案内でちょっとしたカフェみたいな所にきた。そしてカグヤの一言で俺は思わず叫んでしまった。
「こんな時に嘘などついてどうするんじゃ。妾はそんなに信用ないかの」
「いや、お前既に二回嘘ついているじゃねえか」
「そ、それに関しては申し訳ないと思っておる。でも今回は嘘ではないのじゃ。ちゃんとした理由だってある」
「理由? どうせろくでもない理由なんだろ?」
「お主自身さっき身を持って体験したはずじゃ。この島での人間の扱いを」
「確かに俺はさっき捕まりかけたけど、あれがどうしたんだ?」
「お主あのまま妾が来ずに連行されていたら、間違いなく死罪になっておったぞ」
「し、死罪?」
いきなり死という言葉が出てきて、思わず声を出してしまう。
「いや、いくらなんでもそれは冗談がすぎるだろ。たかだか人間一人が迷い込んだくらいで」
「そのたかだかがこの島にとっては大問題なのじゃ。この島には人間が一人もおらず、皆獣の皮を被ったものばかりじゃ。世ではそれを獣人と呼んでおる」
「獣人族だっけ? 確かルチリアがそんな事言っていた気がするけど」
「そうじゃ。勿論妾もその一人なのじゃが、妾が幼い頃から周囲はお主みたいな普通の人間を嫌っておった。その理由、お主には分かるか?」
人を嫌う獣。理由が考えられるとしたら、それは……。
「差別?」
「その通りじゃ。ここに住むもの達は皆、人間から差別され、普通の人として認知してもらえなかった者達。そこに普通の人間のお主が足を踏み入れるなど言語道断」
「だったら何でカグヤは俺をこの島に? たとえハーレムを望んでいたとしても、お前だって人間を嫌っているはず。それなのにどうして」
当然の疑問だった。人を嫌うのなら尚更、何故彼女が俺をこの世界に呼んだのか? こんな恨まれてもおかしくない存在を。
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