E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第28話 侮れない母親

第28話侮れない母親
1
後夜祭も無事に終わりを告げ、俺の家で一日頑張ったメンバー全員で打ち上げパーティを開催した。
「なあ雄一、俺は打ち上げパーティと聞いたんだが」
「私も聞いた気がする」
「ああ。打ち上げパーティだよ」
「じゃあ何だよこのクレープの数は」
「あれ? 言ってなかったか? 打ち上げは勿論クレープパーティだって」
「そんなの聞いてないわよ!」
あえて内緒にしていたのは秘密だが、こっそり皆の為に準備していたのは事実だ。まあ材料が余っていたからって理由もあるけど。
「パパったら、この打ち上げパーティの為に、前日から一生懸命準備してたんですよ?」
「私も沢山お手伝いした」
「皆で頑張ったもんねー」
「いやいや、そこでいい話のようにもっていかないでくれるか?」
「え? 感動する話なのに勿体無いな洋介は」
「お前が言うな!」
何で文句を言われるのか理解できないが、折角の打ち上げなのだから、楽しまなければ意味がない。
「さあ皆さん、クレープは幾らでもあるんで、どんどん食べて飲んで楽しみましょう」
「鬼だ、ここに鬼がいる…」
「私、クレープ恐怖症になりそう」
さあ楽しいパーティの幕開けだ。
2
「それにしても今日のローナちゃんのお化け屋敷での反応、見てて面白かったな」
「それはお前も言えないだろ陽介は」
「あー確かにそうね。うちの弟は本当に情けないわ」
「姉貴だけには言われたくないからな」
打ち上げパーティも開始から一時間がたち、話題は今日の文化祭の事ばかりだった。ちなみに柚木や洋介はお互いの事を色々言い合っているが、二人ともかなりビビっていた。というよりあのお化け屋敷に入って、ビビらない方がおかしいくらいだ。
そんな感じで会話を楽しんでいると、ルシアが俺の側にやってきて話しかけてきた。
「あ、そうだパパ。 パパのお母さんから一つ伝言があったのを忘れていました」
「伝言? てかいつのまに俺の母さんと接触してたんだ?」
「それは秘密です」
「何でだよ!」
うちの母親も何でルシアに接触したかは分からない。周りからみれば絶対に怪しい人にしか見えないだろうに…。
「そやで伝言って何だよ」
「『子供ができたなら、ちゃんと報告しにきなさい』だそうです」
「なんだその私は何でも分かっているよアピール。ってか、俺の子供じゃないっての」
「え? 違うんですか?! 私ショックです…」
「あ、いや、そういう訳じゃ…」
「パパなんか嫌い」
「お前は元から俺が父親だなんて思ってないだろうが!」
「そうでもない」
「え、ローナお前俺の事を…」
「と言うとでも?」
「結局思ってないんかい!」
ちょっとでも成長したなって思った俺が馬鹿だったよ…。
続く

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