E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第4話 ローナの心を開け!①

 第4話 ローナの心を開け!①
1
数日後のある休日、俺はローナに孤軍奮闘していた。

「なあローナ、お前の好きな食べ物とかないのか?」

「分からない」

「じゃ、じゃあ好きな遊びとかは?」

「ない」

「俺が誰だか分かっているか?」

「知らない人」

はやくもおれの心は折れかけている。

「パパ、頑張ってください、ふふっ」

「お前この状況楽しんでるだろ!」

「た、楽しんでなんか…ぶふっ」

「この野郎」

「どっかの知らない誰かさん、お腹空いたから何か作って」

「お前も自由だなおい!」

こいつ本当に子供なのか? 都市自体は知らないが、人見知りというよりは明らかにわざとのようにしか見えない。

(こいつ、何か隠してるな…)

姉妹揃ってこの調子だと、俺の体が保つ訳がない。それに加えて、洋介達との見事なる意気投合。俺は問題ばかり抱えている。いつしか過労で倒れてしまわないだろうか。

「ってあれ、ローナは?」

「部屋で遊ぶの飽きたらしいので、外に遊びに行っちゃいましたよ」

「自由だなおい!」

第一回 ローナの心を開こう作戦は、大失敗に終わりそうだ。
2
夕方になり、皆で食事を取りながら、ルシアが俺の事をローナに聞いていた。

「ねえローナ、そんなにパパの事が嫌いなの?」

「うん、大っ嫌い」

「本人を目の前にストレートに言わないでくれ。心が折れる」

直球で嫌いなんか言われたら日には、俺の心はズタボロだ。俺のどこが嫌いなのだろうか?

「全部」

「ちくしょぉぉぉ」

俺は全力で窓へと駆け出す。

「って、パバここは二階ですよ。飛び降りたら危険ですよ!」

「うるせぇ、俺は今こいつに存在を全否定されたんだ。死んでやるー」

「本当にやめてくださいってば!」

ルシアに全力で止められたので、俺は飛び降りを諦める。

「これはパパ自身に問題がありそうですね」

「俺が悪いのか? どうみてもローナはわざとやっているようにしか見えねえよ」

「そんなわけないじゃないですか。私の妹ですよ?」

「だったらその妹の姉のお前が何とかしてくれ!」

「えー」

「えーじゃないだろ!」

この姉妹、どこか感覚が狂ってる。人間ではないからで片付けられる話ではない。もしこいつらがこの世界に住むらならば、せめて常識のあるエルフになってもらわなければ困る。多少不本意ではあるが、こいつらを育てられるのは俺だけだ。

(よし、やってみっか)

俺はこの日、ようやく二人を受け入れる事を決意したのであった。
その決意が、この後とんでもない方向に転がっていくとは知らずに。
                                         続く

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