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魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

宝田十三雄の魔法

 宝田十三雄は拳を固め、狙いを定める。無論、狙いは無防備な後頭部。
 その放たれた一撃を―――
 長谷川さんはしゃがみ込むだけで回避した。
 ギリギリの紙一重の回避で長谷川さんの頭部を通過していく。
 そして、しゃがみ込んだ長谷川さんの肉体が浮上を開始する。
 その動きはバネ仕掛けのおもちゃのようで―――
 骨と骨がぶつかり合う音。直後、何かが潰れるような異音が室内に響いた。
 最初の音は、長谷川さんの後頭部が宝田十三雄の頭部にぶつかる音。
 次の音は、長谷川さんの後頭部と背後の壁と挟まれ、サンドイッチ状態になった宝田十三雄から聞こえてきた音だった。
 骨は堅い。特に脳を守るため後頭部は岩と同等の硬度になるという。
 しかし、その硬さは後頭部という人体の弱点を補うための硬さ。
 ここまで、自身の弱点を武器に変化させて使えるものなのか・・・・・・

 宝田十三雄はそのまま倒れ込み、戦闘不能に見える。
 「あっさり倒してしまいましたね」と僕は言う。
 魔法攻撃を行う間もなく長谷川さんが倒してしまったため、この男が本当に魔法使い―――
 テロリストだったのか、わからない。
 いや、天堂任だったら、かつて自身が命令を下した人物なら顔をしているだろう。
 僕は確認の意を込めて天堂任を見る。
 だが、その顔は、今だに険しい。まだ終わっていないのか?

 宝田十三雄を見る。
 信じられない。宝田十三雄が立ち上がっていた。
 どこか、上から糸で吊るされている操り人形のような不気味な立ち姿。
 「やはり、操ってましたか」長谷川さんは言う。
 「ほう、どこでバレましたか?」宝田十三雄は言う。
 「明らかに反射速度が遅かった。背後を向いた人間に一撃も当たらないというのは、流石に不自然でしょう」

 ワザと?それを試すためにワザと、無防備に背後を晒したのか?
 なんという、無茶を・・・・・
 いや、それより・・・・・・
 操っている? そのキーワードが脳内でリフレインさせる。
 僕の疑問に宝田十三雄は答えを述べる。
 「確かに私の魔法は、他者を操る魔法。この建物にいる限り、襲いつくしてくれる」
 そう言うと宝田十三雄は―――
 いや、宝田十三雄だった者は倒れこんだ。
 

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