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魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

乱入者現る

 ・・・・・・なるほど。
 現在の真理は暴君であり、暗君らしい。
 けれども―――
 それで―――
 僕はどうしたらいいんだ?
 ほんの少し前ならば、僕にも計画と言えるものがあった。
 尾形真理を救うための計画。それは非常にシンプルなものだ。
 あちら側からこちら側へ来た者達。〈ニホン〉から〈日本〉へ。
 その中にいるテロリスト。
 〈ニホン〉の命令によって・・・・・・
 言ってしまえば、その当時の〈ニホン〉内閣総理大臣 天堂任の命令で、破壊工作を目的にやってきたテロリスト達。
 彼らを制圧する見返りに、〈ニホン〉へ行く手段を『黒服』から貰う予定だった。
 だが、それらの計画を無に帰ったらしい。
 どうすればいいのか?僕、天王寺類が尾形真理を救う方法はあるのか?
 何も浮かばない。途方にくれるばかりだ。
 そんな僕の心中を察してか、いまだ病室に留まる大人2人は無言を貫いている。
 正直、もう帰ってほしい。 僕の気持ちを思うならば1人にしておいてほしい。
 しかし、その大人の1人は空気の読めない人間であった。

 「で、少年。いや、天王寺類くん。そろそろ出かける準備をしてほしいのだがね」
 そう告げたのは天堂任だった。
 「え?」と僕は返す。 
 「出かける?どこにですか?」
 「君は間抜けなのか?今までの話を聞いていて、どこに向かうのか見当がつかないと?」
 「え?いや、全く。見当なんてわかりませんよ」
 「決まっているだろ〈ニホン〉だよ。私は自分の事をやさしい人間だと思っていたのだが、それは思い違いだったみたいだ。実の娘とは言え私に屈辱を与えた人間を許すほど、私は寛大な心は持っていないという事がよくわかったよ」
 ハッと息を呑む。本当かどうか、室内に入るもう1人の人物、長谷川さんに目をやる。
 彼は頷いただけだったが、表情には柔らかさが含まれていた。
 だが―――

 「だが、させない」

 急に声がした。
 その声の主は室内、部屋の隅にいた。
 いったい、いつからいたのか? どうやって、僕らに気づかれずにいたのか?
 次から次へ湧き出てくる疑問を押さえ込み。僕はベットから跳ね起きる。
 見れば、既に長谷川さんも天堂任も戦闘態勢に入っている。
 彼の言葉、そして明確な敵意。
 紛れもない敵だということを理解させる。
 そして敵は名乗った。

 「俺の名は宝田十三雄。かつてテロリストとして、貴様と戦う予定だった者だ」

 

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