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魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

真理の現在

 「一度、整理して考えてみましょう」
 「構わんよ」
 「ええ」
 僕の提案に天堂任と長谷川さんは答えた。

 「えっと、天堂任・・・・・・さん?あなたはクーデターで失脚。今はただの人って立場なんですか?」
 改まって、目の前の人物に『さん』をつけて呼ぶのには抵抗を感じるのだが、そうも言っていられない。そして天堂任の返答は―――

 「その通り。私の肩書きは元〈ニホン〉内閣総理大臣 天堂任になっておる」
 「OKOK わかりました。では、そんな貴方がなぜ〈日本〉に来ているのですか?」
 「もはや、〈ニホン〉には私の居場所がない。〈ニホン〉に残っていても、いずれは銃殺刑か縛り首よ」
 「ん?んんん?」と僕は、何か引っ掛かった。頭を回転させ、違和感の正体を探る。
 「確か、〈ニホン〉はこちら側の〈日本〉と違って超実力主義。あなたは〈ニホン〉において、最大の戦力を保持している。つまりは、最強の魔法使いだから、内閣総理大臣なんですよね?」
 「その通り、私こそが最強であり、最強とは私のことである」
 「じゃ、なんで失脚したんですか?」

 僕の言葉が余程クリティカルな部分だったのだろう
 天堂任は「うがっ」と、声を出した。
 「いや、そういうことではなく・・・・・・・」
 僕はフォローを入れながら話を続ける。
 「最強の魔法使いである貴方を追いやるような人材がいると言う事なのですか?」
 「うむ、いる。肯定しよう。それは、我が娘だ」

 「・・・・・・はぁ?」

 「そう、我が国でクーデターを起こしたレジスタンス。その代表こそ、我が娘、尾形真理だったのだよ。驚いたかい?少年?」

 「・・・・・・はぁ?」


 「そう、ならば説明せねばなるまい。あの後の事を」

  天堂任が言う『あの後』
 それはつまり、僕と真理が天堂任と戦った後の話という事なのだろう。
 ならば聞かねばなるまい。まじめに、そして真摯に。

 「鍛え過ぎた・・・・・・。いやぁ、潜在能力を限界まで引き出したら、暴走しちゃうんだもんなぁ」
 「自業自得じゃねぇか!?」
 「いやいや、天王寺くん。なかなかの優秀なツッコミ度合いだが、事はそんなレベルを超えちゃってるんだなぁ。これが」
 「どういうことですか?」
 「うむ、我が娘は、もはや君の知る尾形真理とは別物の存在になっている
 今更ながら、魔法とは自分の精神によって外部に影響を及ぼす魔の法よ。
 つまり、魔法は自身の精神と向き合い。自己理解によって作用するもの。
 では自身の制御は離れた魔法はどうなるか? 自分の精神が、自分で理解できなくなったら?
 己が己の理解を超えてしまったらどうなるか? 文字通りの別人よ」

 「僕はこちら側の人間です。そんな遠まわしな言葉を使われてもわかりません。
 とどのつまり真理はどうなったのですか?」

 「今の魔力を制御できぬ娘は・・・・・・暴君であり暗君よ」

 

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