魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』の謎 その⑨

 撃たれたら死ぬ。だから、撃たれないように逃げなければならない。
 その単純な思考すら、恐怖心が否定する。
 動けない。
 動けと幾度唱えてみても体は動かない。
 銃口は僕に向けられている。 
 引き金に添えられている指に力が込められていくのが分かる。
 それでも、体は脳の命令を拒否する。

 そして―――

 大きく、低い音が周囲に木霊した。
 最初に感じたのは熱。
 熱さを感じた直後に痛みが襲いかかってくる。
 さっきまで、まるで動かなかった肉体。
 それが嘘のように動く。
 ただし、できたのは痛みにシンクロして地面にのた打ち回る事だけ。

 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い
痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い

 それが全て。
 痛みに思考が支配される。それしか考えられない。
 やがて、瞬時の痛みは遠のいていき、普通の苦痛に顔を歪める程度には回復してきた。
 当たり前だが銃で撃たれた経験なんて皆無だ。
 こんなに痛いものなのか?いや、痛いだろう。
 小指大の金属が皮膚を貫いて、肉を抉りながら突き進んで行ったんだ。
 傷口を確認すると肩が撃たれていた。
 直撃ではなく、弾は肩の上部を進んで後方へと飛んでいったようだ。
 それでも、この痛み・・・・・・
 銃に対する恐怖心が収まらない。

 「なんだ、この武器は?うまく当たらないぞ」

 見上げると、リーダー格の男が再び銃身を向けている。
 のた打ち回ったおかげか、さっきの状態よりは距離が離れている。 
 このまま逃げよう。そう考えても、銃の恐怖からか満足に体が動かない。
 状況は何も変わらない。 

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