魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』の謎 その⑦

 「どうやら、その反応。私と同じ結論にたどりついたようだな?」
 「僕もまた、魔法使いだということなのか?」
 「さぁな。だが、実際に戦ってみての感想を言えば・・・・・・」

 男は、少し考えてから一言だけ言った。

 「魔法に対して感が良すぎる。お前が仮に魔法を使っているなら魔法感知系の魔法なのだろうな」

 ―――ッ!?
 『緊張感』『プレッシャー』『違和感』

 確かに戦闘中、そう言った曖昧な感覚を頼りにしていた。
 それを魔法と言ってしまうと魔法なのかもしれない。
 逆に、感だと言ってしまえば、ただの感なのではないかと疑ってしまう。
 一体、どちらが正しいのか?
 いや、落ち着け。 一度、全てを忘れて頭をクリアにさせる。
 やるべきことは何か?それを忘れてないか?

 今、そばにいる『ソフトチェーン』の人数は5人。その内、1人は今だに戦闘不能状態。
 目の前の男は、おそらく『ソフトチェーン』のリーダー格なのだろう。
 その男の言葉を信じれば、残り6人が後方待機中と・・・・・・
 『ソフトチェーン』とはシステム。弱小魔法使いを強化するために魔力を送受信している。
 つまり、1人1人倒していけば、その強度は落ちていくわけだ。
 現在の彼らの立ち位置は、正面のリーダー格をはさんで左右に2人の合計3人。
 後ろで構えているのは、閃光を使う光系魔法使い。
 風系魔法使いは・・・・・・
 どういう状態なんだろ?こいつ?
 精神的に追い込まれて自我忘失で戦闘不能って所か?

 さて・・・・・・
 やるか。
 背後に向けて小さく飛ぶ。
 限りなく初動作を消しさり、ノーモーションと言ってほど最小の動き。
 僅かな情報。
 例えば、他の連中の視線の動きだったり・・・・・・
 例えば、最後に確認した時の立ち位置だったり・・・・・・
 それこそ、感と言っても過言ではない情報量から、およその位置を予測。
 着地と同時に体を捻り、拳を走らせる。
 僅かに斜めの軌道を通り、渾身のバックハンドブローを
 背後に陣取っている閃光の魔法使いに食らわせる。
 裏拳から伝わる確かな感触。
 意識を失い、崩れ落ちていく閃光の魔法使い。
 その背後に素早く回り込み、倒れないように体を支える。
 さっきの攻防で人質が通じないのは学習済み。
 そのまま、掴んだ魔法使いの体を投げるように押し出した。
 いくら、人質が通用しないと言っても、至近距離で仲間の体を魔法で攻撃しないだろう。
 まぁ、攻撃したところで既に遅いんだがな。
 リーダー格の男が反射的に仲間の体を受け止めてしまっている間に、別の1人を拳擊で捕らえる。
 そして、もう1人も続けて殴り倒す。

 これで残りの『ソフトチェーン』は7人。  
  

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