魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』の謎 その⑥

 「本来、私が迅速にすべき行為は、貴様を処理することだ。なぜ、私が君に話しかけているかわかるか?」

 わからない。いくら考えても見当もつかない。
 沈黙で答えた僕に男は、どこか見下したような表情を浮かべている。

 「おいおいおい。だんまりですか?なんでもいいから答えろよ。お前の生殺与奪の権は誰が握ってると思っている?まぁ、それでいい。それが普通だ。漫画やアニメの主人公みたいに初対面の敵にペラペラ喋るりくる奴って実在するものなのかね」
 「初対面の敵にペラペラ喋りまくってる奴なら、俺の目の前にいるけどな」

 気がつくと声が出ていた。
 そして一発、頬を殴られる。
 石で殴られたかのような硬い痛みが走った。  

 「生かされている自覚がないのか?さて―――」

 男は何事もなかったかのように、気を取り直したかのように、話をすすめる。

 「私が気になっているのは、なぜお前が選ばれたかという所だ」
 「選ばれた?僕が?」
 「事実、そうだろ?確かに学生としては優れた運動能力を持っている。そして、肉体的にもメンタル的にもタフだ。だが、この世界でお前が最強というわけではあるまい。お前よりも運動能力が高い人間は沢山いるはずだ。なのになぜだ?一介の学生風情が光の姫のパートナーに選ばれた?なぜ、今まで最高クラスの魔法使いを相手に勝ち続けてこれた?」

 なぜ、僕が選ばれたのか? 正直、それは考えてもみなかった。
 たまたま、転校してきた尾形真理のクラスメイトで―――
 たまたま?いや、違う。
 確か、クラスの前に立った彼女を見て―――
 彼女の魔法に反応したのが、僕だけだったから―――
 それで、パートナーとして見込まれたのではなかったか?
 確か、その時に彼女が言った言葉は


 『この光が認識できるという事は、貴方は、フィジカル的にも、メンタル的にも、魔法に対する才能があるようなの。少し、お手伝いして欲しいことがあってね。どこまでやれるか見せてもらいたいわけなのよ』

 才能?魔法に対する才能がある?
 今までの戦いに無意識に魔法を使っていた?そういうことなのか? 
 急に湧いて出てきた心当たり。
 だが、それは自分でも信じられないものだった。




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