魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』の謎

 双子のツーマンセル。
 徹底的に情報が秘匿されていた理由がわかった気がする。
 タイプの違う遠距離魔法同士がコンビを組むことで戦いの枠を広げていたのか。
 そう、2人の魔法は同じ遠距離攻撃でありながらタイプが違いすぎる。
 風を利用した不可視の攻撃。水を利用した大規模な破壊攻撃。
 僕は、後者の方が厄介だと判断していたが、どちらかが優っているという事ではないのだろう。
 この森という障害物に覆われたフィールドだからこそ、濁流から逃れづらい。
 これが市街地での戦いならどうだろう?
 どんなに破壊力があっても、誘導性があっても、そのスピードは20キロ程度。 
 平素時の僕なら、攻撃を封じる方法を3つくらいは瞬時に思いつく。
 逆に風系の魔法をどうだろう?
 人ごみに紛れて、不可視の攻撃をしかけてくる相手を倒せるだろうか?
 少なくとも、簡単にはいかない。
 魔法攻撃の役割分担。
 ネタがわかってしまうとシンプル。だから、情報管理を徹底していたのだろう。
 だろうが・・・・・・
 ネタがわかってしまっても、結構面倒な攻撃方法には違いない。
 さて、ならばどうする?

 考察を終えた僕は『ソフトチェーン』に向かって飛びついた。
 狙ったのは、鼻を痛めている方の『ソフトチェーン』
 一気に距離を縮めると、スピードを殺さずに背後へ回り込む。
 そのまま、両腕を脇の下から絡ませてからの羽交い絞め。
 プロレスで言うところのフルネルソン。
 もしも、1対1の状態で、この状態に持っていければ勝ちが確定していた。
 いくら、地面が草で覆われていても・・・・・・
 いくら、人間に踏み固められていない地面だとしても・・・・・・
 そのまま、背後へブリッチをするように投げ捨ててやれば耐えれる人間はいない。
 残念な事に、この戦いは2対1。現実は残酷ってやつだ。
 ならば、ぼくがやった行動の意味は何か?
 シンプルに人質。人間の盾だ。
 どんなにドライな人間でも親族を人質に捕らえられて動揺しない人間はいないはず。
 それに精密性がなく、破壊力重視の魔法使いなら、人質を傷つけずに攻撃する方法は持っていないだろう。
 人質を取ったまま、距離を離れて、1人1人倒してしまえば・・・・・・
 そんな思考は『ソフトチェーン』の羽交い絞めされた方の絶叫によって中断された。

 「やめろおおおおぉぉぉ。俺ごと撃つなああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 ハッタリ?
 いや、ハッタリにしては迫真すぎる。
 一瞬、閃光のような物が見えた。
 思わず、捕縛していた『ソフトチェーン』を突き飛ばし、その反動で僕も飛ぶ。
 僕と『ソフトチェーン』の間に、何かが走り抜けていく。
 そして、着弾。 そして、爆発。 そして、衝撃。
 衝撃の後、後ろを直視すると大穴、クレーターが存在していた。
 コイツ、人質ごと殺す気だった。
 いや、それよりも魔法が違いっている。 濁流じゃないだと!? 


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