魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』  

 
 「ありえない。マジでありえない」

 ヘリコプターから投げ出された僕は、悪態をつき続けながらも森の中を歩き回っていた。
 上を見上げても、木々に閉ざされ空は見えない。
 おそらく、僕の乗ってきたヘリコプターは帰還済みなのだろう。
 しかし、思い出しても腹が立つ。
 あの高さから、何の説明もなく、ほぼ自由落下状態で落とされたのだ。
 戦いの前に大怪我でもおったらどうするつもりなんだよ。
 いや、違うな・・・・・・。少し、僕は考えた。
 彼らは僕が、怪我をしても構わないのだろう。
 彼ら黒服達に取って、現在の僕という存在は捨て駒にすぎない。
 今までの黒服達が見せた僕への態度は、尾形真理の腰巾着という僕の立場に敬意を払っていたにすぎないのだ。
 その立場を失った僕に対して、黒服達は無頓着な対応をしても仕方がないのかもしれない。
 なぜなら、尾形真理に対する黒服達の忠誠心と言うのは、彼女自身が戦い続けた事によって勝ち取った物なのだから。
 僕は、まだ認められていない。
 当たり前だ。戦いに身を投じた新兵に忠誠心を持つ兵隊がどこにいるというのだ。
 僕は、戦いにより彼らに僕の価値を認めさせなければならない。
 その程度の事をやり遂げなければ、彼女を救い出すなど夢のまた夢。
 ならば、良い。僕の価値を見せつけてやるさ。


 
 「想像以上に早いな」

 風で木々が揺れて奏でる音。それに反する雑音が聞こえる。
 この状況で自然の音に反する物は・・・・・・
 十中八九、敵本人だろう。
 どこかに隠れてこちらの隙をうかがっているのか?
 鼓動が高まり、緊張感が増してくる。
 いつ、どこから仕掛けてくるのかわからないプレッシャー。
 これが、これこそが戦場か。

 上だ!
 上から巨大な威圧感を感じる。反射的に上を見上げ、敵影を確認する。
 その男は、迷彩色の服に身を包んでいた。それ以外は、なんら特徴を見いだせない男。
 しいて言えば、髪が長いくらいか?
 しかし、それは僕の持つ魔法使いのイメージはかけ離れて過ぎている。
 こいつが、本当に『ソフトチェーン』なのか?
 いや、そんなファーストインプレッションを抱いている場合ではない。
 既に敵の攻撃は開始されていた。
 空中に飛び上がった彼の前方向に違和感が感じられる。
 目を凝らすと、空気が歪んでいるかのように・・・・・・
 風系の魔法か!?
 彼の視線は僕を真っ直ぐ捉えている。
 間違いない。彼が『ソフトチェーン』だ。
 彼と僕の立ち位置は、上と下をいう立体性はあるものの、殆ど直線上で向かい合っている。
 これなら、ほぼ不可視と言ってもいい風系魔法の軌道が読める。
 彼から放たれた一撃に対して、僕は回避運動を行った。

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