魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

移動

 下を見渡すと森。森。森。そして森。
 目に映る景色は緑一色に染め抜かれている。
 その規模は、まるで無限に広がっているかのようだった。
 ここは本当に日本なのか?そんな疑問すら湧き上がってくる。
 僕は、それを空高くヘリに揺られながら眺めていた。
 どうやら、目的とする魔法使いは、この広大な森に隠れ住んでいるらしい。
 僕はその魔法使いと戦うためヘリに乗って数時間の移動を余儀なくされた。
 プロペラ音。いや、ローター音と言ったほうが正しいのだろうか?
 想像より音が煩いとは感じられない。なにか特殊な装置でも積んでいるのだろうか?
 それとも、魔法的な細工が施されているのかもしれない。
 そう言えば、アメリカでコマンチというローター音を抑え、ステルス性に優れた軍事ヘリが存在している。
 一時期、無音で飛ぶヘリ型のUFOの目撃例が相次いだ事があるらしいが・・・・・・
 まぁ、そんなものだろう。

 さて、僕は用意された資料に手を伸ばして、これから戦うオカルトの情報を確認する。
 しかし、その資料の多くは空欄。あるいは黒で塗りつぶされていた。
 魔法使いとは、こちら側の〈日本〉でいう兵器のようなものだ。
 だが、今回の相手は名前すら不明だという。
 わかっているのは、『ソフトチェーン』という二つ名だけ。
 殆ど情報のない兵器。つまり、こちら側で言う所の秘密兵器というわけだ。
 どんな攻撃を仕掛けてくるか?全く事前情報がないのは、やりにくい。
 未知の攻撃を受ける前に先手必勝の先制攻撃と行きたい所だが、こんな場所をヘリで飛んでいるんだ。
 いくらステルス性に優れてるハイテク兵器でも肉眼はごまかせない。
 既に相手は、僕らの事を察知済みだろう。
 やりにくい。本当にやりにくい。
 光学迷彩なんてSFチックなアイテムでもあればいいのに。

 「ここが目的のポイントです。下降の準備をお願いします」
 「下降?」

 ヘリコプターのパイロットから無線が入る。
 だが、その『下降』というキーワードに引っかかりを覚えた。
 すると、パイロットの他に乗っていた黒服が何やら動き始めた。

 おい、なんだそのワイヤーは? それ滑車?なんで僕の服につける?

 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」

 大自然の中、僕の叫びがこだました。


 

  

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