魔法少女はロジカルでマジカルに
ストリートファイター 2日目
今後の方針として、この付近に潜んでいるであろうコンカを探索。
明日の放課後、僕がコンカと接触した場所から調査を開始するという話になり、解散となった。
一夜明け、僕は学校へ向かう道中、あくびを1つ。
あれから、いろいろと考える事があって寝不足気味だ。いや、昼寝でたっぷりと睡眠時間を補充したのが原因かもしれない。
問題点は睡眠の有無じゃない。問題は、『いろいろと考える事』その部分だ。
憂鬱な気分の理由は何か? たぶん、あの少女を戦わなければいけないという所。
あの彼女と僕の関係性は、一度だけ拳を交えた者同士というだけの関係性。
だけれども、拳を交える事で、互いの存在にシンパシーを感じたのは幻想ではないはずだ。
何よりも、天真爛漫で無垢な笑顔を見せる少女を相手に、命を賭けた死闘を行う予定なのだ。
僕のメンタルがごちゃごちゃとした混線状態になるの当然だろう。
そんな中、声をかけられた。
「よう兄ちゃん、考え事しながら歩いてると危ないぜぇ。そんな事より立ち会えよ」
驚いて、振り返るとコンカがいた。さらに、彼女が僕に向けた構えに驚く事になった。
腰を落とし、低い構え。手は握らず、開いている。
その四足獣をイメージさせる構えはレスリングスタイル。
昨日、寝技に対処できなかった少女が、今日は寝技に持ち込むことを想定したファイトスタイルへと変化している。
なんという貪欲さ。強さに対する追求心を魅せつけられ、悩んでいた自分がバカらしくなっていた。
「なんか知んないけど、いい顔に戻ったみたいじゃん」
彼女に心配されるほど、悪い顔してたのだろうか。ならば、彼女に感謝しないといけないな。
「いやいや、お前を見てると自分のキャラ設定を再認識させられたんだよ」
そうなんだ。僕は、問題の中心の少女に出会ったことより、その彼女のファイトスタイルが変わったことに、大きな驚きを抱く奴なんだ。
「へぇ~ ちなみ、お兄ちゃんは、どんなキャラ設定を演じてんの?」
「フィジカルを信仰する最強厨って奴さ!?」
「全く、何を言ってるのかわかんないけど、無駄に格好良い!そのフレーズってパクって良い?」
「構わないぞ。もちろん・・・・・・」
『僕に勝てたらなッッッ!?』
僕の言葉が、そのまま戦いの合図と化した。
彼女の低い構えに対して、僕も低く、腰を落とす。
こう構えることで懐を深く、広くする。
相手のタックルに素早く反応するためだ。
お互いに無言で見つめ合う。攻撃の初動作を見逃さまいとする。
コンカの攻撃がタックルとは限らない。自分の集中力が高まってくのが感じられる。
相手の動きに全てを委ねていき、相手の動きに反応するだけの生物へ生まれ変わっていく感覚。
つまりは、無心の境地。
不意に彼女の体が沈む。
来る! そう思った時には、既に体が反応していた。
伸びてくる相手の手から逃げるように、両足を後方へ滑らせる。
こうすると、自然に体は前方へ倒れる事になる。そのまま、コンカの体を上から押し潰す。
タックルの時、体は地面に対して水平な状態へ近づく。つまり、足の踏ん張りも効かず、腕で体を支える事もできなくなるのだ。
タックルを破る方法は、足を捕らわれず、上から下へ押し潰すのが理想であり、基本だ。
コンカの背中に胸を押し付ける体勢になった。
僕は、全体重をコンカの背中にかけ、足を浮かす。
そのまま、コマのように横回転をしてコンカのバックを取り、背後から両手で彼女の体をロック。
少女を後ろから抱きしめる状態になり、少しだけ雑念が生まれてしまったが、なんとか振り払って平常心は維持させる。
だが、その隙を突いてきたのか、コンカは体を抑えている僕の腕に自分の腕を絡めてくる。
おそらく、狙いはストレートアームバー。
両手で、僕の片腕を後方へ、上方へ、捻り上げることができれば極る関節技だが、僕と彼女の体格差と腕力差では極める事が困難な技だ。
しかし、僕のプランは、バックマウントから足で彼女の胴体を締め、スリーパーホールドを極める事だったのだ。偶然なのだろうが、彼女の攻撃は、僕のプランを崩すことに成功している。
少し、防御に徹してプランを考え直そう。
それが、その余裕が油断となってしまったのだろう。
僕の腕を剥がそうとする彼女の力が消失した。
彼女は、その小柄で柔軟な体を利用し、地面に押しつぶされている状態から前転。
足関節へ移行した。
本当に、昨日まで寝技を知らなかった少女と同一人物なのか。
もう、僕は感動すら覚えていた。
しかし、足関節は関節技の中でも特に難しい部類に入るものだ。
彼女が仕掛けようとした足関節はあっさりと外れてしまい、再びスタンドの状態で向き合った。
寝技の攻防は、下より上から攻めた方が有利だ。これは僕の持論であり、反対意見も数あるだろう。
しかし、上の者から体重の圧力をかけられ消費するスタミナは、尋常ではない。
柔道の寝技では、下の者は上の者より10倍のスタミナをロスすると考えもある。
まして、僕とコンカの体格差だ。たった数分の攻防でも、想像を絶する疲労度だろう。
立ち上がったコンカは、足がふらつき、腕もうまく上げれない様子だった。
だが、その目の奥からは、衰えぬ闘志というものが覗いている。
「よし、明日も立ち会う」
そう話しかけた僕に彼女が満足そうな表情を浮かべて・・・・・・。
そのまま、ダウンした。
明日の放課後、僕がコンカと接触した場所から調査を開始するという話になり、解散となった。
一夜明け、僕は学校へ向かう道中、あくびを1つ。
あれから、いろいろと考える事があって寝不足気味だ。いや、昼寝でたっぷりと睡眠時間を補充したのが原因かもしれない。
問題点は睡眠の有無じゃない。問題は、『いろいろと考える事』その部分だ。
憂鬱な気分の理由は何か? たぶん、あの少女を戦わなければいけないという所。
あの彼女と僕の関係性は、一度だけ拳を交えた者同士というだけの関係性。
だけれども、拳を交える事で、互いの存在にシンパシーを感じたのは幻想ではないはずだ。
何よりも、天真爛漫で無垢な笑顔を見せる少女を相手に、命を賭けた死闘を行う予定なのだ。
僕のメンタルがごちゃごちゃとした混線状態になるの当然だろう。
そんな中、声をかけられた。
「よう兄ちゃん、考え事しながら歩いてると危ないぜぇ。そんな事より立ち会えよ」
驚いて、振り返るとコンカがいた。さらに、彼女が僕に向けた構えに驚く事になった。
腰を落とし、低い構え。手は握らず、開いている。
その四足獣をイメージさせる構えはレスリングスタイル。
昨日、寝技に対処できなかった少女が、今日は寝技に持ち込むことを想定したファイトスタイルへと変化している。
なんという貪欲さ。強さに対する追求心を魅せつけられ、悩んでいた自分がバカらしくなっていた。
「なんか知んないけど、いい顔に戻ったみたいじゃん」
彼女に心配されるほど、悪い顔してたのだろうか。ならば、彼女に感謝しないといけないな。
「いやいや、お前を見てると自分のキャラ設定を再認識させられたんだよ」
そうなんだ。僕は、問題の中心の少女に出会ったことより、その彼女のファイトスタイルが変わったことに、大きな驚きを抱く奴なんだ。
「へぇ~ ちなみ、お兄ちゃんは、どんなキャラ設定を演じてんの?」
「フィジカルを信仰する最強厨って奴さ!?」
「全く、何を言ってるのかわかんないけど、無駄に格好良い!そのフレーズってパクって良い?」
「構わないぞ。もちろん・・・・・・」
『僕に勝てたらなッッッ!?』
僕の言葉が、そのまま戦いの合図と化した。
彼女の低い構えに対して、僕も低く、腰を落とす。
こう構えることで懐を深く、広くする。
相手のタックルに素早く反応するためだ。
お互いに無言で見つめ合う。攻撃の初動作を見逃さまいとする。
コンカの攻撃がタックルとは限らない。自分の集中力が高まってくのが感じられる。
相手の動きに全てを委ねていき、相手の動きに反応するだけの生物へ生まれ変わっていく感覚。
つまりは、無心の境地。
不意に彼女の体が沈む。
来る! そう思った時には、既に体が反応していた。
伸びてくる相手の手から逃げるように、両足を後方へ滑らせる。
こうすると、自然に体は前方へ倒れる事になる。そのまま、コンカの体を上から押し潰す。
タックルの時、体は地面に対して水平な状態へ近づく。つまり、足の踏ん張りも効かず、腕で体を支える事もできなくなるのだ。
タックルを破る方法は、足を捕らわれず、上から下へ押し潰すのが理想であり、基本だ。
コンカの背中に胸を押し付ける体勢になった。
僕は、全体重をコンカの背中にかけ、足を浮かす。
そのまま、コマのように横回転をしてコンカのバックを取り、背後から両手で彼女の体をロック。
少女を後ろから抱きしめる状態になり、少しだけ雑念が生まれてしまったが、なんとか振り払って平常心は維持させる。
だが、その隙を突いてきたのか、コンカは体を抑えている僕の腕に自分の腕を絡めてくる。
おそらく、狙いはストレートアームバー。
両手で、僕の片腕を後方へ、上方へ、捻り上げることができれば極る関節技だが、僕と彼女の体格差と腕力差では極める事が困難な技だ。
しかし、僕のプランは、バックマウントから足で彼女の胴体を締め、スリーパーホールドを極める事だったのだ。偶然なのだろうが、彼女の攻撃は、僕のプランを崩すことに成功している。
少し、防御に徹してプランを考え直そう。
それが、その余裕が油断となってしまったのだろう。
僕の腕を剥がそうとする彼女の力が消失した。
彼女は、その小柄で柔軟な体を利用し、地面に押しつぶされている状態から前転。
足関節へ移行した。
本当に、昨日まで寝技を知らなかった少女と同一人物なのか。
もう、僕は感動すら覚えていた。
しかし、足関節は関節技の中でも特に難しい部類に入るものだ。
彼女が仕掛けようとした足関節はあっさりと外れてしまい、再びスタンドの状態で向き合った。
寝技の攻防は、下より上から攻めた方が有利だ。これは僕の持論であり、反対意見も数あるだろう。
しかし、上の者から体重の圧力をかけられ消費するスタミナは、尋常ではない。
柔道の寝技では、下の者は上の者より10倍のスタミナをロスすると考えもある。
まして、僕とコンカの体格差だ。たった数分の攻防でも、想像を絶する疲労度だろう。
立ち上がったコンカは、足がふらつき、腕もうまく上げれない様子だった。
だが、その目の奥からは、衰えぬ闘志というものが覗いている。
「よし、明日も立ち会う」
そう話しかけた僕に彼女が満足そうな表情を浮かべて・・・・・・。
そのまま、ダウンした。
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