魔法少女はロジカルでマジカルに
業火からの一撃
「やぁやぁ、失礼ながら待たせてしまったようだ」
着替えは終わったらしく、タイトは僕等の前に現れた。
その服装は、初めに見たスーツ姿でもなく、さっきのパジャマ姿でもない。
ステッキを片手に持ち、黒いシルクハットと黒いスーツ。
そして、インバネスコート。マントとコートが一体化した服。よくシャーロック・ホームズが羽織っているアレと言えばわかりやすいか?
取り敢えず、現代社会にはそぐわない格好だが、不思議と違和感を感じない。
いや、それどころか、今の服装に着替えた彼は何倍も威圧感が増している。
尾形真理は僕に説明してくれた。
「あれは魔法外装。上位の魔法使いが決闘に使用する法具の一種よ」
「その通り。1度なら見逃しますが、2度も挑んでくる者に私は容赦することはありません。来なさい。本当の本気で叩き潰してあげましよう」
タイトの周囲に炎が舞い上がる。さっきの一戦とは段違いの火力だ。
それに対して、彼女が光人形を召喚するが、その光度は弱々しい感じがする。
タイトは嘲笑うように喋る。
「本日、2体目の光人形。魔力量は極めて静寂。これがあなたの限界ですか?」
「無駄口を・・・・・・」
彼女は、次のセリフを喋れなかった。
なぜなら、その言葉を言い終える前に、タイトの一撃が光人形の胸を貫いたからだ。
「弱い。なんて弱い。これが光の姫と言われた、あなたの実力ですか!」
彼は勝利に浸い、高らかに笑う。
「お前、喋りすぎだ」
タイトは驚いた顔を見せた。
今まで敵は尾形真理の1人だとでも思っていたのだろうか?
彼は、不自然なほど僕を意識していなかった。彼の目には、僕は透明人間のように映っていないのかもしれない。それは、おそらく、僕が魔力を持たない一般人であるからだ。
彼の・・・・・・いや、彼らの価値基準では、魔力を持たない人間とはどういう存在なのか?
彼の様子を見るに、そんな人間は人間とすら認めてないようだ。
でも、そんな一般人が、この場にいる事に少しぐらい不自然に思ってもよかったのだ。
そうすれば、ここまで惨めに、簡単に敗北することはなかった。
僕は、手にしたペットボトルを軽く投げた。まるでパスでもするかのように軽く投げた。
タイトは反射的に腕で払い飛ばそうとする。当然、炎に包まれた腕を使ってだ。
その瞬間、爆発。目の前にいる僕は激しい熱風を浴びることになった。
凄まじい衝撃と共に、タイトは巨大な火柱に包まれた。
「炎に身を包まれる魔法。その魔法で自身が火傷や高熱を受けないのは、炎と体の間に熱と炎をカットするシールドを張ってるから。それは簡単に想像できる。だとしたら、なんでお前喋れるの?」
業火の中心にいるタイトに僕の声を聞こえているのか?それとも聞こえていないのか?
返事は帰ってこない。おそらく聞こえていないからだろう。
なぜなら、音は空気を伝わって聞こえるもので、火は空気を利用して燃えるものだ。
つまり、炎に身を包まれいるなら周囲の音は聞こえなくなり、周囲に声を伝えるのはできないはずなのだ。
では、炎に包まれて空気が遮断されているはずのタイトは喋ることができるのはどうしてなのか?
彼自身を炎から守るシールド。肉眼で確認できないが、おそらくは空気を外部から取り入れる、空気穴が存在してるからではないか?
そこから、音を伝えているのではないか?
僕は、そう考えた。そして、それを利用した。
やがて、炎が勢いが弱まり、タイトの姿が見えてきた。
さすがというべきか、彼自身の炎でダメージを受けてる様子はない。多少、焦げてる箇所があるくらいか。
おそらく、爆発的な火力が空気穴から侵入しないように瞬間的に空気穴を閉じたのだろう。
しかし、彼の表情は酸欠で青ざめた顔が見えている。
そんなタクトに容赦なく、尾形真理の光人形が向かって行った。
最初から囮として、形成された光人形。胸を貫かれる事も想定内だったため、見た目ほどのダメージはない。
そんな光人形の一撃から守る術もなく、タイトは吹き飛ばされた。
肺から空気が絞り出されるようなうめき声を上げ、それでもタイトは立ち上がってきた。
「あなたが・・・・・・ てめぇが本命か!クソガキめが!」
今までの紳士な言動はどこに消えたのか。タイトには余裕と言ったものも残されておらず、僕を絞め殺すような勢いで向かってこようとする。だが・・・・・・。
「やめておけ。次に炎を出したら、死ぬぞ」
「何ッ!?」
僕の忠告に、タイトは足を止める。
「お前が吹き飛ばされた場所。そこには、事前にガソリンを撒いていたんだ」
「ガ、ガソ・・・・・・?なんだそれは?」
「さっき、僕があんたに投げつけた物の中身だ。普通はペットボトルに入れて購入なんてできないからな。苦労したんだぜ」
そのために、セルフのガソリンスタンドで店員がほとんどいない時間を見計らって購入した。良い子は絶対に真似をしていけない行為だ。
「ガソリンという液体は、液体から気体に変化する。見えないだろうが、お前は、さっきの液体に周囲を囲まれてる状態なわけだ」
「ハッタリを抜かせ!」
「じゃ、試してみればいい。お前の命をかけてな」
「ぬぬ、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
この瞬間、追い詰められたタイトには、横から迫ってくる光人形が見えなかったのだろう。
光人形が繰り出した、顎を打ち抜くパンチによってタイトは意識を刈り取られ、崩れ落ちた。
着替えは終わったらしく、タイトは僕等の前に現れた。
その服装は、初めに見たスーツ姿でもなく、さっきのパジャマ姿でもない。
ステッキを片手に持ち、黒いシルクハットと黒いスーツ。
そして、インバネスコート。マントとコートが一体化した服。よくシャーロック・ホームズが羽織っているアレと言えばわかりやすいか?
取り敢えず、現代社会にはそぐわない格好だが、不思議と違和感を感じない。
いや、それどころか、今の服装に着替えた彼は何倍も威圧感が増している。
尾形真理は僕に説明してくれた。
「あれは魔法外装。上位の魔法使いが決闘に使用する法具の一種よ」
「その通り。1度なら見逃しますが、2度も挑んでくる者に私は容赦することはありません。来なさい。本当の本気で叩き潰してあげましよう」
タイトの周囲に炎が舞い上がる。さっきの一戦とは段違いの火力だ。
それに対して、彼女が光人形を召喚するが、その光度は弱々しい感じがする。
タイトは嘲笑うように喋る。
「本日、2体目の光人形。魔力量は極めて静寂。これがあなたの限界ですか?」
「無駄口を・・・・・・」
彼女は、次のセリフを喋れなかった。
なぜなら、その言葉を言い終える前に、タイトの一撃が光人形の胸を貫いたからだ。
「弱い。なんて弱い。これが光の姫と言われた、あなたの実力ですか!」
彼は勝利に浸い、高らかに笑う。
「お前、喋りすぎだ」
タイトは驚いた顔を見せた。
今まで敵は尾形真理の1人だとでも思っていたのだろうか?
彼は、不自然なほど僕を意識していなかった。彼の目には、僕は透明人間のように映っていないのかもしれない。それは、おそらく、僕が魔力を持たない一般人であるからだ。
彼の・・・・・・いや、彼らの価値基準では、魔力を持たない人間とはどういう存在なのか?
彼の様子を見るに、そんな人間は人間とすら認めてないようだ。
でも、そんな一般人が、この場にいる事に少しぐらい不自然に思ってもよかったのだ。
そうすれば、ここまで惨めに、簡単に敗北することはなかった。
僕は、手にしたペットボトルを軽く投げた。まるでパスでもするかのように軽く投げた。
タイトは反射的に腕で払い飛ばそうとする。当然、炎に包まれた腕を使ってだ。
その瞬間、爆発。目の前にいる僕は激しい熱風を浴びることになった。
凄まじい衝撃と共に、タイトは巨大な火柱に包まれた。
「炎に身を包まれる魔法。その魔法で自身が火傷や高熱を受けないのは、炎と体の間に熱と炎をカットするシールドを張ってるから。それは簡単に想像できる。だとしたら、なんでお前喋れるの?」
業火の中心にいるタイトに僕の声を聞こえているのか?それとも聞こえていないのか?
返事は帰ってこない。おそらく聞こえていないからだろう。
なぜなら、音は空気を伝わって聞こえるもので、火は空気を利用して燃えるものだ。
つまり、炎に身を包まれいるなら周囲の音は聞こえなくなり、周囲に声を伝えるのはできないはずなのだ。
では、炎に包まれて空気が遮断されているはずのタイトは喋ることができるのはどうしてなのか?
彼自身を炎から守るシールド。肉眼で確認できないが、おそらくは空気を外部から取り入れる、空気穴が存在してるからではないか?
そこから、音を伝えているのではないか?
僕は、そう考えた。そして、それを利用した。
やがて、炎が勢いが弱まり、タイトの姿が見えてきた。
さすがというべきか、彼自身の炎でダメージを受けてる様子はない。多少、焦げてる箇所があるくらいか。
おそらく、爆発的な火力が空気穴から侵入しないように瞬間的に空気穴を閉じたのだろう。
しかし、彼の表情は酸欠で青ざめた顔が見えている。
そんなタクトに容赦なく、尾形真理の光人形が向かって行った。
最初から囮として、形成された光人形。胸を貫かれる事も想定内だったため、見た目ほどのダメージはない。
そんな光人形の一撃から守る術もなく、タイトは吹き飛ばされた。
肺から空気が絞り出されるようなうめき声を上げ、それでもタイトは立ち上がってきた。
「あなたが・・・・・・ てめぇが本命か!クソガキめが!」
今までの紳士な言動はどこに消えたのか。タイトには余裕と言ったものも残されておらず、僕を絞め殺すような勢いで向かってこようとする。だが・・・・・・。
「やめておけ。次に炎を出したら、死ぬぞ」
「何ッ!?」
僕の忠告に、タイトは足を止める。
「お前が吹き飛ばされた場所。そこには、事前にガソリンを撒いていたんだ」
「ガ、ガソ・・・・・・?なんだそれは?」
「さっき、僕があんたに投げつけた物の中身だ。普通はペットボトルに入れて購入なんてできないからな。苦労したんだぜ」
そのために、セルフのガソリンスタンドで店員がほとんどいない時間を見計らって購入した。良い子は絶対に真似をしていけない行為だ。
「ガソリンという液体は、液体から気体に変化する。見えないだろうが、お前は、さっきの液体に周囲を囲まれてる状態なわけだ」
「ハッタリを抜かせ!」
「じゃ、試してみればいい。お前の命をかけてな」
「ぬぬ、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
この瞬間、追い詰められたタイトには、横から迫ってくる光人形が見えなかったのだろう。
光人形が繰り出した、顎を打ち抜くパンチによってタイトは意識を刈り取られ、崩れ落ちた。
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