魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

プロローグ

 大型ハドロン衝突型加速器(通称LHC)
 この世界には素粒子という最小の物質が存在している。
 LHCと言うのは、素粒子をぶつけて素粒子の反応を観測する装置だ。
 宇宙誕生の瞬間、ビックバンでどのような現象が起こったのか?それを調べようとしているのだ。
 その実験には素粒子を1秒間に数億回もの衝突実験など行われている。
 そして、この装置の話で話題になるのは大きさ。全長30キロの巨大さで、装置自体が建築物と言ってもいいほどだ。 
 建設には8000億円もの費用が必要と言われていたが、その数倍以上と言われる経済効果を期待され、日本でも建設された。

 だが、事故が起きた。原因は不明。
 事故現場の中核では空間が歪み、空中に亀裂のようなものが走ってた。
 当初は、直ぐに空間は安定し、亀裂は消滅するものと思われていたが、3日後でも消える気配はなかった。3日間、研究者達は、休まず議論に議論を重ねた。
 結果、ついに研究者は亀裂内に無人探査機を投入することを決定。
 無人偵察機を走らせること3日。先端のカメラからリアルタイムで送られてきたものは研究者達に衝撃を与えた。

 神殿か何か、神聖で宗教的な建物かもしれない。そこで聖職者のような服装をした数名が無人探査機を取り囲む形になった。
 そして、同時刻。こちら側にも、亀裂から飛び出してきた何かを作業員や研究者が目撃した。
 それは、黒猫に羽が生えた『何か』と表現するしかない生物だった。

 3年後・・・・・・
 日本政府は、精神文明大国〈ニホン〉と本格的な異文化交流の開始を宣言した。



 子供の頃、こんな映画を見たことある。
 ある日、突然、凶悪犯によって学校が占拠されてしまうという内容。
 よくある思春期特有の妄想を実写化したかのような映画。
 しかし、小学生で年齢も一桁だった頃の僕にはトラウマと言っていいほどの衝撃を受けた作品だった。
 当時、怖がっていた僕を見て、両親は「あれは作り物のフィクション」だと不安を追い払ってくれるよう、ほほ笑みかけてくれてた。
 でも、僕は成長するにつれ、あれは作り物でも、フィクションでもないという事を理解した。
 銃規制の緩い大国では、学校で学生が銃による乱射事件は、年に一度くらいのペースで起こっている。
 北の大国では、国の独立を目的としたテロリストによる学校占拠事件が起こり、多くの犠牲者を出している。

 もしも、学校を武装したテロリストが占拠したらどうする?

 おそらく、多くの思春期の少年が通過儀礼とする中二病的思考。
 だが、僕にとっては、解決しなければならない脅迫概念と化していたのだ。
 そして・・・・・・
 例えるなら、日用用品を武器に闘う香港のカンフースターのように
 例えるなら、元ボディビル世界王者の経歴を持つ元カルフォルニア知事のように
 例えるなら、ボクサー役でアメリカンドリームを掴んだ彼のように

 ハリウッド映画で描かれるアクションスター達のように強くなろうと決心したのだ。
 ある日、突然、テロリストに襲われても、生き残るための圧倒的なフィジカル。
 僕は、それを「日常における非日常に対する対応力」と名づけ、自分の体を鍛え始めた。
 この物語は、そんな僕こと、天王寺類てんのうじるいが転校生、尾形真理おがたまりと出会う事で一変するのだった。

 

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