今日お姫様始めました

りょう

エピローグ

      エピローグ
1
「うわぁ、綺麗」
「だろ? ここはどんな時でも綺麗だからな」
「ユウさんも初めて来た時、同じような感想を言ってましたよね」
ミッシェルにそんな事言われて、照れ臭くなる。確かに俺もハルと同じ反応をしていた。今となっては懐かしい思い出だ。
「じゃあお昼ここで食べましょうか」
「お、いいなぁ」
「ハルお腹空いたぁ」
敷物を敷いて、三人で座る。こうして三人でご飯を食べるのも何度目だろうか? でもこうして三人でご飯を食べると、やっぱり家族は最高だと思う。それほど俺はこの家族を愛していて、皆からも愛されている(自分で言うのもなんだが)。
「それにしてもお前、だいぶ料理上達したよな」
「ユウさんほどじゃありませんよ」
「パパ、料理上手なの?」
「そうだよぉ。パパの作る料理は、天下一品ものなんだよぉ」
「天下一品って、恥ずかしいこと言うなよ」
まさか自分の料理がそこまで言われるなんてビックリだ。
「ハルも食べたいなぁ」
「今度作ってやるよ、とびっきりの料理を」
「わーい」
「楽しみです」
「いやいや、お前は何度も食べた事があるだろ」
「それでも食べたいんです。あれは本当に癖になりますから」
「まあ、構わないんだけどさ…」
でもミッシェルも料理は上達したと思う。以前食べた時よりも格段に腕を上げていて、たまに彼女からこの国独自の料理を学んだりしている。
(六年も経ってるから当たり前か…)
ハルが産まれて六年。俺とミッシェルが結婚してからもう七年。そう、時間はどんどん過ぎて行くのだ。その中で俺達は少しずつ成長してきた。この国、いやこの世界だってそう。あの戦いのあと、国同士の大きな争いはなくなり、今はだいぶ平和になり始めた。これはミッシェルのおかげだ。彼女が色々働きかけてくれたおかげで、この世界は少しずつ変化を始めている。
(サラも本当は、こんな世界を望んでいたんだろうな…)
俺はゆっくりと空を見上げる。
そこには雲一つない青空が広がっていた。
         今日お姫様始めました
                        完?

「って、そんな訳あるかい!」
翌日
「ど、どうしたんですか? いきなり叫んだりなんかして」
「綺麗な終わり方したなって思ったけど、一つ解決してない事があるぞ」
「解決してないこと? 何ですか?」
「な、何で俺は…」
俺は…。
「またあの服を着ているんだぁぁ」
またあの服を着させられていた。
あの服とは勿論ドレスの事。
「その事なら、王様が姫が二人いた方が楽しいとか言い出したから仕方がないんですよ」
「そんな国あってたまるか!」
「パパ、すごく似合ってるよ」
「や、やめてくれハル。お父さんはものすごく恥ずかしいんだ」
「楽しいからいいじゃないですか」
「いい訳あるかぁぁぁ」
どうやら俺は、まだ姫という呪いから抜け出せそうにないようだ。
「もう、本当に嫌だ。この国!」
                                           完

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