今日お姫様始めました

りょう

第31話 百合な二人(客観的に見て)

第31話 百合な二人(客観的に見ると)
1
あれから三日が経ち、今日は久々にアルクさんに格闘術を学びにミッシェルと廊下を歩いていた。
「この前の一件て、怒られそうですよねユウさん」
「それを言わないでくださいよ。憂鬱になりかけているんですよ」
「あはは、自業自得じゃないですか」
「むむぅ」
勿論普段は男である事を隠さなければならない。そのため、こう楽しそうに二人で話していると、ちょっと危ない関係に…。
「お姉さまぁぁ」
いや、もっと危ない奴がいた。随分前に会って以来、見かけていなかったが、ミッシェル曰く相当やばいらしい。
「ユウさん、逃げましょう」
「え、あ、ちょっと」
ミッシェルに手を引かれミリナから逃げる。
「何で逃げるんですかぁぁ」
「ちょっ、早いぞあいつ」
「と、とにかくどこかに隠れましょう」
世界記録並みの早さでやって来るミリナの魔の手から逃れ、俺とミッシェルはある部屋に入った。
「ここは一体どこだ?」
「分かりません、私も初めて入りました」
そこは俺よりも長くこの城にいるミッシェルさえ知らない部屋。当然俺も知らない部屋だった。
「何かの装置でしょうか?」
「さあ?」
部屋の真ん中には巨大な機械が一台置いてあり、何かの実験場にも見えた。
「待て、誰かいるぞ」
何かの気配を察した俺は、足を止める。
(何だろう、この胸騒ぎは…)
この場に立つ事が出来なくなるほど俺は緊張していた。何かこの先、知ってはいけない何かを見てしまうような気がして。
「ユウさん?」
ミッシェルも何かを感じたのか、不安そうな声を上げる。
「誰かそこに居るんだろ?」
誰も居ない所に向かって声を上げる。
「お兄ちゃん? お姉ちゃん?」
「え?」
そして返ってきた声の主に俺とミッシェルは、驚きの声を上げる。
「サラ、何でお前がこんな所に?」
奥から顔を出したのはサラだった。
「あれ? 私なんでこんな所に?」
「何でって、自分でも分からないのか?」
「うん…。気がついたらここに居たの?」
「気がついたらって…」
どういう事なんだこれは?
「あ、この部屋ってまさか…」
「ミッシェル、何か分かるのか?」
「はい。でもここにサラちゃんがここに居るって事はつまり…」
「ミッシェル?」
何だなんだ? この部屋は何か重大な部屋なのか? でもこの国でこんな馬鹿でかい機械を必要にするような事なんて…。
(いや待て)
一つだけあるじゃないか。しかも俺にとって最も身近な事。
(まさか…)
その場所にサラが居るって事は、彼女にも何かしらの関係があるって事か?
「? どうしたの? お兄ちゃん?」
「あ、いや、何でもない」
これって、偶然なわけないよな?
                                                                 続く

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