今日お姫様始めました

りょう

第22話 その時見えた顔は

    第22話 その時見えた顔は

1
「ステラさん、ユウさんは?」
「今治療しています。命に別状はないようです」
「よかった…」
全然よくない。私はまた姫を守れなかった…。
あの時、帰りが遅い事にもっと早く気づくべきだった。なのに私は、呑気にサラちゃんと遊んでいるなんて…。本当に情けないメイドだ。
「ステラさん、どうかされましたか?」
ミッシェルさんが心配そうにこちらを見てくる。
「い、いえ、何でも…ありません…」
「本当に?」
「だ、大丈夫ですから」
こんな時に彼女と会話したくない。彼女と話すたびに、自分には今と同じような気持ちに襲われる。理由は分かっている。でもそれを紐解くような事は出来ない。恐らく彼女も…。
「ステラさん、私あなたにずっと聞きたかったことがあるんです」
ボーッと治療室の扉を眺めていると、いつの間にかミッシェルさんは私の隣に移動していた。
「私に聞きたかったこと?」
「はい」
2
闇。
俺の目の前に広がっているのは闇。光も何も見えない闇。俺は今そこにいる。あいつに刺されて、意識を失ってからずっとここに居る。
(俺はどうなったんだ?)
分からない。何にも分からない。だからと言って誰かが答えてくれるはずもない。
(くそっ!)
一人混迷していると、少し先に小さな小さな光が見えた。何だあれは。
(もしかしたら、何かのキッカケになるかもしれない)
俺はその小さな小さな光を掴む。するとその光は輝きを増し、闇を包み込んだ。
「うっ…」
あまりの眩しさに目を思わず閉じてしまう。
少し時間をおいて、再び目を開くと俺は見知らぬ場所に立っていた。
「何だここは」
ウマンディア王国と少し似た風景。でもどこか古いような…。
「? てか俺刺されたんじゃなかったっけ」
腹部を見ると何も刺さってない。ていうか、目を覚ますにしては場所がおかしいだろ。そこから推測すると、これは夢かそれとも死後の世界? いやそれはないか…。
(ん? 誰かいるぞ)
とりあえず現状を理解するために、その人物に話しかける。
「あのすいません」
しかし反応がない。夢だからか?
「どうして、こうなったの?」
その人は呟く。どうしてって、何かあったのだろうか? というかどこか見覚えがあるような…。
「こんな世界、私望んでない」
その人の顔を見ようとしたが、再び俺の目の前は光に包まれた。
(え?)
全てが光に包まれる目前、一瞬だけ顔が見えた。今のは…。

「はっ!」
再び目を覚ますと、そこには見慣れた天井が広がっていた。ここは…。
(戻ってきたのか? 俺)
                                         続く

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