転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
アーデルヘイトと周囲の思惑
翌日から、今まで以上に針のむしろに座らされている気分だった。
声をかけてくるのがアンドリースのみというのが、尚更女生徒に嫉まれる結果になっている。
「……声かけてくるの止めてくれませんかね」
「何故?」
「視線は人を殺しますよ」
「気にしなければいいだろう。それよりも、昼食は生徒会室で食べることになっているからね」
「お断りしま……」
「駄目。特に今日はアーデルヘイトさんを前年役員と会わせる趣旨もあるからね。リンダさんだって、毎日風紀委員の部屋に行ってるんだ」
「分かりました。今日は生徒会室へ行きます」
だから話しかけてくんな! その言葉は言わないでおいた。
昼休み。アーデルヘイトは逃げるようにクラスを出た。
それを見たリンダがくすりと笑っている。
アーデルヘイトが特別クラスで孤立している理由は二つ。一つはコーデリアの発言、そしてもう一つはリンダの存在だ。
別にリンダが何をしているというわけでもない。
リンダはただ見ているだけなのだ。そして「そういうこと言うのは止めましょう? 半分はお貴族様の血を引いていらっしゃるのだから」と言うだけだ。
たったそれだけで、平民出身のクラスメイトは面白いほどに、アーデルヘイトを嫌う。
ただ、その醜い姿をアンドリースとその取り巻きたちが見ていた。
リンダたちはアンドリースたちを「獲物」のような目で見ている。出来うることならお近づきになりたいと。
それが分からぬほど、アンドリースたちは甘くない。
だからと言って、アーデルヘイトに同情しているわけでもない。
「闇」という稀有な能力は良くも悪くも目立つのだ。
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