二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?

ハタケシロ

第82話 新しい新生活に祝福を!

春。

暖かな風が桜の枝を揺らし、私の髪も揺らす。
いたずらな風は、少しだけ背伸びした私のスカート丈を挑発する。

私は今日から高校一年生!
念願叶って近くの高校に合格!

期待に胸を膨らませながら今日から始まる高校生活を想像する。

楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと、いろいろな思い出が出来るんだろうなー。

そーいえば昨日は、散々だったなー。
買い物帰りにまさか怖い人たちに絡まれるなんて。

「でも……」

私は、昨日私を助けてくれた人が落としていった可愛いらしいキーホルダーを握りしめる。

助けたつもりはないのかもしれない。
ただ通りかかっただけかもしれない。
それでも、私には救いだった。

「同じ高校の男子制服だったし、また会えるよね?」

背は高くて、髪はそんなに長くなかった。
でも背中はガッチリとしていて、安心感のある背中だった。
ずっとあの背中に守られたいな……なんて。

「おはよ!ルル!」

肩に衝撃が走る。
ちょっと痛い。

「あ、おはよ!シルフィ!」

「今なんか黄昏てなかったー?」

「た、黄昏てなんてないよ!」

「ほんとにー?」

「ほ、ほんとだよ!」

「昨日LINEで言ってた王子様について考えてたんじゃないのー?」

「そ、それはその」

図星だ。
まさか昨日助けてもらった王子様のことを考えてたなんて言えないよ。

私、天舞ルル今日から高校一年生は、念願叶って近くの高校に合格。昨日運命的な出会いを果たすというスタートダッシュ完璧な高校生活をスタートさせようとしていた。

私に話しかけてきたキラキラの金髪をツインテールで結んでいるこの子は名前がシルフィ。中学時代の同級生で、親友。シルフィも私と同じ高校に見事合格して一緒に通えることに。
まぁ、私とは違って余裕の合格だったんだけどね。

「そう言えば、昨日の放送良かったよ〜!歌ってみた!!」

「なんか恥ずかしなー」

「顔だしもしちゃえばいいのに!ルルのその可愛い顔なら即どこかのレコード会社が目をつけてデビューできるのに!」

「そ、そんな!顔だしなんて恥ずかしいよ!それに生配信だってほんとは恥ずかしいのにシルフィが強引に予告なんてしちゃうし」

「え?そうだっけ?」

「そうだよ!」

「でもすごい人気だよねルル!ネットに舞い降りた天使なんて呼ばれて!ね、ルル姫!可愛い名前だよ!ルル姫なんて!」

「恥ずかしいからやめてよ。私なんてただ歌を歌っているだけなのに。それに名前はシルフィが勝手につけたんじゃん!」

「だってルルなんて名前珍しいし、そのまま使っちゃえって。それに、姫ってつけたらもっと可愛いかな?って思って!」

私はこの親友のシルフィのおかげ?で、ネットで歌を歌って配信するといういわゆる歌い手をしている。
カラオケで私の歌声を聞いたシルフィがかなり感動したらしく、全世界に配信しよう!とシルフィがその気になったのがキッカケ。
歌い手としての名前も考えたのもネットに詳しくない私にいろいろしてくれたのはもちろんシルフィのおかげなんだけど、無茶ぶりがけっこう酷い。
昨日だってシルフィの無茶ぶりで生配信やったし。

まぁ、昔から歌うことが好きだった私に活躍できる場所を提供してくれたシルフィには感謝してる。
おかげさまで、自分で言うのは恥ずかしいけど、アイドル的な存在になってるし。

「そう言えば、シルフィ昨日LINEで言ってたよね?探したい人が居るって」

昨日シルフィとLINEした時に、シルフィは確かに言っていた。どうしても探したい人がいると。
私と同じで王子様でも探してるのかな?

「あ、そうそう!お姉ちゃんをダメにした男!」

「お姉ちゃん?」

「あ、ルルに言ってなかったけ?私、お姉ちゃん居るんだ!一つ上で同じ高校!」

「そうなんだ。で、そのだめにしてたって?」

「そうそう、えーと去年に私って転校して来たじゃない?」

「そうだったね」

去年の夏の終わりくらいに私はシルフィと出会った。
明るくて話しやすいシルフィとはすぐに友達になれた。でも、話しやすいからか昔からの友達だと思ってしまって去年転校してきだなんて忘れていた。

「それで当然お姉ちゃんも転校して高校に入ったんだけど、その高校でダメになっちゃったの」

「どうして?」

「よくわからないんだけど、男のせいだってことは分かってる。だって今の高校入るまでのお姉ちゃんは気高くてプライド高くて、憧れる自慢のお姉ちゃんだったのに、なんか腑抜けちゃったんだよねー。間抜けな顔をするようになったしさー、前は凛としてカッコイイななんて思ってたのに。まぁ、自慢のお姉ちゃんであるのは変わらないんだけどさー。話を聞いてると、というか素振りを見てると男が原因だと思うんだよねー」

「なんか高校って怖いね」

凛としているお姉ちゃんが転校とは言え、高校に入った途端に変わるなんて。
それも男の人によって。
ちょっとだけ昨日の記憶が蘇る。
数人の男の人に囲まれる恐怖。怖い笑顔。
でも、私を助けてくれた王子様の背中を思い出すと恐怖が薄れていく。

「ちょっとなにニヤニヤしてるの?」

「あ、ごめんごめん」

「また王子様思い出してたんでしょう〜。王子様にベタ惚れだね。後ろ姿しか見てないのに」

「そ、そうだけど。きっとすごくカッコイイ人だよ!それに、レールガンって呼ばれてるの聞いたし!」

あんなに正義感に溢れてるんだもん。きっとカッコイイに決まっている。
性格がイケメンで顔がアレでもいいけど、できればカッコイイ顔でいて欲しいという私の願望も入ってる。
後ろ姿以外にもレールガンと呼ばれていることは知っている。どういう意味なのかは分からないけど、きっとすごいことなんだと思う。

「rail gun?なにそれ?」

「んーとね、よく分からないんだけどそう呼ばれてたんだよね。東のレールガンって」

「rail gun……お姉ちゃんがそんな名前のアニメがどうとかーって言ってたようなー」

「アニメかー」

アニメ関連のことなのかな?
でも昨日の王子様はアニメを見るようなタイプには見えかったけど。
キーホルダーは可愛いらしいものだけど。

「んん。で、シルフィはその男の人の情報は何かないの?」

「んーとね、同じ高校って言うのと、あとねお姉ちゃんが寝言で名前を言ってたような……」

そこまで言うとシルフィは少し考えるように顎に人差し指をやると、数秒考える。
そして、

「えーと「ようた」だったかなー?」

「ようた。かー、とりあえず気をつけないとね」

「だね、お姉ちゃんをダメにしたダメ男に決まってるしね」

高校生って昨日会った王子様もいれば、シルフィのお姉さんをダメにすようなたぶらかす男の人も居るんだなー。

「ルルも気をつけないとね。可愛いんだから!」

「そんな……シルフィだって美人なんだから気をつけないと」

「まぁ、私はそうなんだけどー」

「少しは謙遜しなよ」

「ハハハ。でもルルはほんとに気をつけてね、歌い手なんて知られたらどうなることか、最近のファンは怖いからね。私たちの高校にルルの放送聞いてる人が居るかもしれないんだし」

「うん。分かったよ」

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