二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?

ハタケシロ

第41話 おっなんちゃら

「そ、そうだ瀬尾。ほら、たこ焼き食え」

照れを隠すように俺にたこ焼きを勧めてくる柏木。
お前は田舎のお婆ちゃんかってツッコンでやりたい。

「お、おう。って自分で食える食えっから」

何を思ったのか柏木は、俺の頬を見た目は不良のくせに似合わない白くて細いしなやかな指を使って掴んでくる。そして、空いている右手を使ってたこ焼きを俺に食べさせようと、もとい口に無理やり入れてこようとする。

「え、遠慮するな。私が食わせてやるから」

「ほわい!めはぁほわい!」

※訳  怖い!目が怖い!

頬を掴まれてるせいかうまく言葉を出せない俺は、声にならない声で柏木を止めようとする。
目が血走ってる!目が血走ってるぞ!柏木!
爪楊枝が折れそうなんですけど!

どんだけ照れ隠しに必死なんだよっ!

「え?なに?熱いから冷ませ?」

言ってない!言ってないぞ!柏木!
まぁでも俺は某トリオのお笑い芸人じゃないから熱いたこ焼きを食べるなんてしたくないけどな!
正直柏木が覚ましてくれるのはありがたい。

「ふー。ふー。むっ、熱いのか冷めてるのか分からないな」

たこ焼きに息をかけ冷まそうとしてくれる柏木。
表面を見ただけじゃ冷めたかどうか分からないのか、首をかしげおもむろに何かを考え始めた。

そして…………

パクっ

と、冷ましていたたこ焼きを自らの口に柏木は放った。

1口、2口と噛んで柏木は小さく頷いた。

「うん。行へるな」

何がだ!?

「よひ瀬尾しっとしてへよ?」

※訳  よし瀬尾じっとしてろよ?動いたら殺すぞ?

「おい。柏木?柏木さん?冗談だよな?」

そんな口に入れたまんま迫ってきてますけど、冗談……ですよね?
その口に入っているたこ焼きをマウストゥーマウスで俺に食べさせるわけないですよね?

「ひなみに、私ははひめてだから」

※訳  ちなみに、私は初めてだから。優しくしろよ?

何がだ!?

いや、考えるのは……ギャー!来るなー!
来るんじゃない!柏木ー!!!
何目を閉じてんだよ!!

間近で柏木の顔は見たことが無かったが、こう改めて見ると、迫ってくる柏木はやっぱり美人だ。3次元だけど。

霧咲や、桃に負けない程の白い肌。
自分が日本人だと強調するようなほどの黒くて大きな瞳。
以外に長いまつ毛。チークなのか分からない若干赤く染めている頬。
そして、以外に女子力があるのかリップを塗ってプルンとしている唇。

その顔が、迫ってきた。

















3次元じゃなければドキドキしたであろう……。


どんな理由であれ、見た目は完全に不良だが、3次元美少女の柏木が、俺なんかに唇を差し出すのはだめだ。
いや、決して俺がファーストキスは二次元美少女の誰か(できれば小豆さんちの梓さんとかマロンちゃんとか)にしてもらいたいから拒否ってるわけではないからな?
柏木が将来ほんとうにこの人と決めた人にしてもらいたいがために拒否ってるだけだからな?

だから、この場で柏木の唇に俺が触れるわけにはいかない。

しかし、がっちり頬を柏木に掴まれてる以上逃げられないのが現状なんだよな〜。
なんなのこの力?霧咲といい桃といい、柏木は元からといい、火事場の馬鹿力かなんかなの?このタイミング良く力があがるのは。ご都合主義なの?

ていうかさー暴力系ヒロインはもう流行らないと思うぜ?俺はけっこう好きだけど。幼馴染で暴力系でパンツ見れるとか最高だと思います!

ご都合主義の俺は、ラノベの主人公如く、閃いた。
そうだ!俺にはまだ封印されてない両手があるじゃないか!
ははっ!残念だったな!柏木!
俺の両手を封印するべきだったな!封印されてない俺の両手が火を吹くぜ!
食らえっ!ダーク&ダーク!!

俺は、自由の効く両手を使って柏木を身体ごと止めようとした。

肩あたりを抑えれば後は男の俺が力で……


ふにょん

いや、ぷよ?

もしくは……

生まれてこのかた感じたことのない柔らかい感触を俺の両手は覚えた。

「ん…………」

柏木の吐息が零れる。そして、頬をつかんでいた手がゆっくりと俺から離れる。

いや、正確にこの感触を表すとすると、浴衣の感触+何か柔らかいものの感触と言った方が正しいな。うん。

ふぅ。落ち着け。まずは落ち着け俺。
まず良かった点を話そうじゃないか。
この何か柔らかいものを触ったおかげで柏木は行動を辞めたじゃないか。
どんな顔をしているのか、俺が俯いているから分からないけど、きっと……うん。考えるのはよそう。

次に悪い点を話そうか。
たぶんたが、きっとなんだが、俺が今現在、現在進行形で触っているこの柔らかいものは、もしかしたら爽やか王子が大好きなおっなんちゃらではないのだろうか?

ハハッまさかな。この俺が、おっなんちゃらを触っているだと?なんの冗談だよ。笑えねーよ。

……乾いた笑いしかできないんですけど。

俺は、自分の両手が一体何を触っているのか確かめるべく、ゆっくりと両手で掴んでいるものを見た。

「!?3次元のおっなんちゃら……だと!?」

ハハッやっぱりかー。やっぱりそうなのかー。
やっぱりおっなんちゃらなのかー。

「( ´•ω•` )」

…………。

「胸を揉まれて気絶される私って一体」



「どうしたんですか!?陽向くん!!」

「おっ篠原これはだないろいろあってだな」

「あっ、いえ。皆まで言わなくてもなんとなく察しはつきますよ。柏木さんの顔を見れば」

「すまない」

「まったくどうしようもないですね。陽向くんは」

「顔が笑ってるぞ」

「え。そ、そうですか?」

「お前もどうしようもないな」



後頭部に柔らかく、懐かしくも感じる感触がある。
頭を撫でられているのか、すごく心地いい。
これは、もしやマロンちゃん!?
マロンちゃんなのか!?

そうか。そうか。
ついに、ついに……!!夢がかなったんだな!

俺は、夢と希望を抱きながら明るい未来に目を開けた。

「…………」

「あっ、気づきました?陽向くん」

マロンちゃ……

「(´・ω・`)」

ちっ。

「どうしてまた目を閉じるんですか!?」

「…………」

「寝たふりですか?もぅしょうがないですね。おはよーのキスですよね?分かってますよ」

「瀬尾陽向高校一年生。最近の好きなアニメは冴〇カノ。好きなエ○アニメはトライアングル。絶賛起きてます」

「どうしてエッチなアニメのことまで言ったのかはスルーしますけど、起きられたらキスできないですね」

寝ててもしていいってわけじゃないからな?桃。

「違うんですかっ!?」

違うんですか!?

「ふぅ。まったくりなんなんですか?陽向くんは」

「いや、桃こそなんなの?合宿の時と言い、今と言い俺に夢見させといてどん底に落とすスタイルなんなの?俺のこと嫌いなの?」

「大好きですよ?でも陽向くんも陽向くんじゃないですかー!合宿の時と言い今と言い私の顔を見て物凄く嫌な顔しましたよね?」

「だって3次元じゃんお前」

「そんなこと言ったりやったりしてるから柏木さんも苦笑いするんですよー」

「柏木?あーそう言えば柏木は?お前らの言う交代制だとまだ柏木のターンだと思うんだけど」

「とっくに柏木さんのターンは終わりましたよ。それとしっかり謝っといて下さいよ?」

「あーだな。そうする」

柏木の番なのに寝ちったからな俺は。
何かおぞましい物を触った気もするけど。

「女の子の胸をおぞましいって言う陽向くんはもはや女の子の敵ですね」

「え?なに?もしかして俺、柏木の胸触ったのか?」 

「本人証言によればそうみたいですよ?」

「なん……だと」

「それについても謝って下さいね?胸を触って気絶してすみませんでしたって」

「気絶したことにかんしてかよ」

「陽向くんレベルになるとそうなっちゃうんですよ」

桃の目は物凄く呆れた目をしていた。



「え?陽向さんに胸を揉まれたんですか!?」

「うん。もう形が変わるんじゃないかってくらい」

※注意  一部虚偽が含まています。

「そんな……ずるいです!私だって揉みしだかれたこともないのに!」

「ふっ残念だな」

「かっしーのその勝ち誇った顔……悔しいです!」

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