終わった世界の復讐者 ―僕はゾンビを操ってクラスメイト達に復讐する―

触手マスター佐堂@美少女

第4話 復讐の誓い


 陽の光を感じて、トバリは目を覚ました。

 冷房が効いた室内の中で、トバリはあくびと伸びをする。
 久しぶりに熟睡できた満足感が、トバリの身体を包み込んでいた。

「ん?」

 トバリは、隣で毛布が動く気配を感じた。
 しかしその正体に気付くと、トバリは慈愛に満ちた表情を浮かべながら、その名前を呼ぶ。

「ああ、刹那。おはよう」

 トバリの隣では、刹那が横になっていた。
 光を宿さない瞳が、トバリの姿をとらえている。

 トバリは刹那を連れて、リビングへと向かった。

「刹那、服着て」

 リビングには、刹那が昨日トバリに押し倒された時のまま、脱ぎ散らされた服が散乱していた。
 トバリがそう命令すると、刹那は制服をかき集め、それに袖を通していく。
 女の子の着替えというものを見たことがなかったトバリにとって、それすらも興奮の対象となった。

「あとは、そうだね……朝ごはん、適当に作れるかな?」

 トバリがそう言うと、刹那は台所へと向かった。
 何やらガサガサしているところを見ると、ここまで漠然とした命令でもしっかりと実行してくれるようだ。

「そっか……そうだよな」

 現状を再確認し、トバリは意味のないつぶやきを漏らす。



 ――トバリは昨晩、刹那を抱いた。



 後悔はしていない。
 ただ、心のどこかにしこりが残っているのもまた事実だった。

 死体を犯すことの忌避感もなかった。
 もはや、まともな倫理観などトバリの中には残っていない。

 少しでも気になることがあるとすれば、刹那が生きている間に気持ちを伝えられなかったという事実だけだ。
 だが、それに何の意味があるというのか。

 刹那は死んでしまった。もう帰っては来ない。
 ここにいるのは、ただの魂の抜け殻だ。

「お、できたんだね」

 しばらくして、朝食を作り終わったらしい刹那が、リビングのテーブルまで食事を持ってきた。
 当然のようにトバリの分しかないそれを見て、無性に物悲しくなる。
 それでもトバリは、刹那が作ってくれた食事をしっかりと頂いた。

「ごちそうさま、刹那」

 そう言うと、刹那は軽くこちらを見た。
 そして、すぐに視線を元の位置に戻す。

 トバリのことを認識はしているようだが、そこに元の刹那の人格があるとも思えない。
 謎は深まるばかりだが、未知のウイルスが引き起こした症状だ。トバリが軽く分析した程度ではわかるはずもない。

「……ふー」

 そんな益体もないことを考えながら、トバリはリビングにあるソファーに腰を下ろす。



 トバリは吹っ切れていた。



 自分が間違ったことをしたとも思わない。
 そこに刹那の気持ちがなかったとしても、それはトバリには関係ないことだ。
 関係ない、はずだ。

 このまま刹那といつまでも淫欲に溺れた生活を送るのも悪くはないが、トバリには、この世界でやりたいことがあった。



「クラスの奴らにお返しをしてあげるのも、いいかもな」



 トバリを地獄へと追い込んだクラスメイトたち。
 彼らには、しっかりとお返しをしてやらなければならない。

 ネットの情報を信じるなら、世界は今、大混乱に陥っている。
 日本の法律がまともに守られているとは思えなかった。
 世界がそんな状態ならば、その辺に転がっているのがゾンビの死体だろうが、人間が人間に殺されたことによってできた死体であろうが、誰も気にしないだろう。

 トバリは自分の手を見る。
 何の因果か、この身体にはゾンビを操る力が宿ってしまった。
 ならば、この力を使って奴らに復讐するのも悪くないと、そう思ったのだ。

 復讐が終わってすっきりした後は、毎日刹那を抱いて、死ぬまでただれた生活を送ればいい。

 トバリが嫌われることを恐れる人間など、もうこの世界に一人もいない。
 刹那以外の人間から、どう思われようが知ったことではなかった。



 トバリはこの終わってしまった世界で、自分をいじめていたクラスメイトたちに復讐を果たすことを心に誓った。

「終わった世界の復讐者 ―僕はゾンビを操ってクラスメイト達に復讐する―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ホラー」の人気作品

コメント

コメントを書く