スキルゲ
独白 その④
そろそろだ。そろそろ、決着をつける。
終焉のため、最後に思考を整える。
「さて、お前は北川幸二の計画と言っていた。しかし、僕は違和感が生じているんだ。
おそらく、今回の件で北川幸二が計画していたのは、『僕のスキルを奪う』までだろう。
お前が不老不死になるという計画。一体、どこまで北川幸二が関与している?」
「何をこの状態で―――
今更、それを言って何になると言うのか?」
その解答。明らかな動揺。
「やはりな」と確信した。
もしも―――
もしも、北川幸二が関与していて、あの方法が対策済みならば―――
詰んでいたのは、こちら側だっただろう。
「北川幸二なら、お前の計画を実行しない。アイツだったら、別の方法を取るだろう」
「だから、何を言ってやがる!」
蒼井明の激昂。
その怒声から焦りが窺われる。
「お前の不老不死計画には穴があるんだよ」
僕の言葉に何か感じるモノがあったのか、蒼井明は背後へ距離を取ろうと飛んだ。
だが―――
蒼井明の、自身の影から黒い鎖が飛び出し四肢を拘束した。
「さっきから、妙に黙っていると思ったら、こんな―――。滝川晴人が」
その通りだった。
黒い鎖は、僕が激怒して切りかかった時、晴人が僕の影に仕込んでいた物だ。
「やれやれ、遠隔操作で具現化のイメージを維持するのは大変なんやで」
僕は「サンキュ」と軽くお礼をし、捕縛された蒼井明へと一歩踏み出す。
「さて、続きだ。
北川幸二だったら、この計画を行わない。
その理由は―――」
脳裏に羽の生えた少女の姿が浮かび上がる。
思い起せば彼女から始まった。
いや、違うか。
始まりはあの言葉だった。
艶子さんの、あの言葉。
『そうそう、どう考えてもモンスターなんだけど、それがスキルを持ってる人間以外にも目撃されてるって事が問題なのよ』
そう、それが答え。
なぜ、『天使を敬う会』は狂信者が多かったのか。
なぜ、エルは広告塔として空を飛ばされていたのか。
なぜ―――
なぜ、エルは普通の人間に目撃されていたのか?
そう、それは―――
「モンスターから結界を消滅させる方法が存在し、前回の事件で、その可能性が広まってしまったからだ」
蒼井明の表情が変化する。
さっきまでの疑心暗鬼に満ちた表情から、困惑、そして、怯え。
嗚呼、当然だろう。
目の前には、その事件の当事者が2人。
今まで行方不明・・・・・・いや、蒼井明に囚われていた滝川晴人は、その方法を知らない。
そういう判断もできないほどに彼は詰んでいた。
そう『モンスターから結界を消滅させる方法』を晴人は知らない。
けれど、僕ならどうだろう?
僕、王越賢志なら?
もちろん、調べているに決まっている。
終焉のため、最後に思考を整える。
「さて、お前は北川幸二の計画と言っていた。しかし、僕は違和感が生じているんだ。
おそらく、今回の件で北川幸二が計画していたのは、『僕のスキルを奪う』までだろう。
お前が不老不死になるという計画。一体、どこまで北川幸二が関与している?」
「何をこの状態で―――
今更、それを言って何になると言うのか?」
その解答。明らかな動揺。
「やはりな」と確信した。
もしも―――
もしも、北川幸二が関与していて、あの方法が対策済みならば―――
詰んでいたのは、こちら側だっただろう。
「北川幸二なら、お前の計画を実行しない。アイツだったら、別の方法を取るだろう」
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蒼井明の激昂。
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「お前の不老不死計画には穴があるんだよ」
僕の言葉に何か感じるモノがあったのか、蒼井明は背後へ距離を取ろうと飛んだ。
だが―――
蒼井明の、自身の影から黒い鎖が飛び出し四肢を拘束した。
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その通りだった。
黒い鎖は、僕が激怒して切りかかった時、晴人が僕の影に仕込んでいた物だ。
「やれやれ、遠隔操作で具現化のイメージを維持するのは大変なんやで」
僕は「サンキュ」と軽くお礼をし、捕縛された蒼井明へと一歩踏み出す。
「さて、続きだ。
北川幸二だったら、この計画を行わない。
その理由は―――」
脳裏に羽の生えた少女の姿が浮かび上がる。
思い起せば彼女から始まった。
いや、違うか。
始まりはあの言葉だった。
艶子さんの、あの言葉。
『そうそう、どう考えてもモンスターなんだけど、それがスキルを持ってる人間以外にも目撃されてるって事が問題なのよ』
そう、それが答え。
なぜ、『天使を敬う会』は狂信者が多かったのか。
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なぜ―――
なぜ、エルは普通の人間に目撃されていたのか?
そう、それは―――
「モンスターから結界を消滅させる方法が存在し、前回の事件で、その可能性が広まってしまったからだ」
蒼井明の表情が変化する。
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目の前には、その事件の当事者が2人。
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けれど、僕ならどうだろう?
僕、王越賢志なら?
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