スキルゲ

チョーカー

夢での決闘 その④

 決着。そう思った瞬間、僕の目には蒼井明の顔が飛び込んできた。
 嘲笑い・・・・・・
 体を貫かれ、蒼井明は嘲笑いを浮かべている。
 そして、彼の手には・・・・・・球体が・・・・・・
 爆弾?あの距離で?
 自爆?
 ――――――ッ
 死?
 脳が状況に追いついてない。曖昧な言葉の羅列が浮かんでは消えていく。
 蒼井明の口が動く。何かを晴人に向かってしゃべっているみたいだが、内容は聞こえてこない。
 晴人も、蒼井明に言葉を返している。
 不思議と2人に焦りの表情は見えない。
 僕は、2人―――
 いや、晴人に向かって下向していく。急降下。 
 爆破までのタイムリミットは?
 わからない。
 おそらく、僅かに許された時間。
 爆破までに晴人と位置まで間に合ったとして、僕に何ができるのか?
 わからない。
 だが―――
 わからないといって諦めるはずもない。

 一気に、全速力で晴人と蒼井明の目前まで迫る。
 手を伸ばせば届く距離。
 しかし、それよりも早く―――
 蒼井明の掌中にある球体は光を走らせる。
 周囲に向かい閃光が放出され広がっていく。
 光という光速の物体が僕の位置まで届き、遅れて音という音速の物体が僕の位置まで届いた。

 気がつくと暗闇。
 何が起こったのか?と思考を開始しようとした瞬間、体に衝撃が伝わる。
 体がバラバラになるような激しい衝撃だった。
 一瞬、爆風を受けた事による衝撃だと認識したが、すぐに誤認識であったとわかる。
 僕の真下にある壁。この謎の壁と衝突したのだ?
 なんだこれ? 何が起きた?
 壁?壁?壁?
 壁の正体を掴もうと頭を動かそうとするが、何かがおかしい。
 なんだこれ? 状況が、状況が、状況が?
 頭を振る。周囲の状況を確認しようとして、違和感の正体に気がつく。
 目と耳がうまく働かない。働いていない。
 蒼井明から放たれた球体。あれは何だったのか?
 爆弾ではない。
 この効果は、おそらく―――
 閃光弾

 だとすると、僕が受けた衝撃と、謎の壁の正体はなんだったのか?
 単純な答えだった。
 閃光弾によって、僕は視覚と聴覚を奪われ、地面に墜落したのだ。
 謎の壁の正体は地面そのものだった。
 何とか、体を起こそうとする。
 ひざを立て、途中までうまくいったが、すぐにバランスを崩して転倒した。
 視覚と聴覚を失っただけで、ここまで体の自由が効かないのか・・・・・・。
 ―――――くそッ
 と悪態をつきながら、強引に体を起き上がらす。
 そして、強引に目を開いて、状況を確認した。

 

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