スキルゲ
居場所
建物の地下室。この場所で僕は北川幸二と戦ったのだ。
そして、夢以外で最後に滝川晴人と会話を交わした場所。
「それで、ここで何をするつもりなの?」と艶子さん。
僕らは、何も聞かされずにここまで来たのだ。
車多さんは、この場所にたどり着いてから、周囲をくるくると歩き回っている。
その様子から、車多さんの目的がわからず、僕らは困惑していた。
やがて―――
「さて、そろそろ頃合ってやつなのかもしれないね」
そう、車多さんは顔を上げて、僕らに声をかけた。
「今回の事件には、わからない事が多すぎたのさ。例えば、晴人くんの事。彼は、なぜか賢志くんの夢の中でのみ現れる。そして、彼には遺体がある。でも、晴人くんは生きている。ほら、言葉にしてみても意味が分からない。これはどういう事なのだろうか?一体、彼はどういう状況なのだろうか?」
その問いに誰も答えない。いや、答えられなかった。
車多さんは、その様子を確認すると、再びしゃべり始める。
「今回の事件を私なりに考えてみたのだけれども、可能性を考えるだけならいくらでも浮かんでしまう。なぜなら、無限に広がってしまう可能性を収縮させる物が存在しないからね。それは何か?それは証拠だよ。どんなに物的証拠を探しても、それは夢の中にのみ存在しているのだから、当たり前と言えば当たり前なのだけれども」
「話しが長すぎるわ。もっと、わかりやすく」と艶子さん。
それに対して車多さんは「艶子は手厳しいな」と笑う。
笑いながら「そう、私は証拠を求めてここへ来たのさ」と言った。
「実は、私は晴人くんの死を聞かされた後でもこの場所を訪れていなかったのさ。一度くらい、この場所を訪れていれば、ここまで悩む問題ではなかったのにね」
 車多さんの言ってる事がよくわからない。
この場所に何か証拠と言える物が存在しているという事はわかった。
そして、おそらく、それは・・・・・・
僕の脳裏に浮かんだのは、かつての沢村さんと交わした会話。
『影武者はどこに消えたのか?』
そのフレーズが妙に引っかかりを覚える。
もう少し、もう少しで車多さんの思考に追いつけそうな気がしている。
「一応、確認しておこう」と車多さんは、艶子さんと佐々木さんに問いかけた。
「私が賢志君の夢に入り込み、ピエロと戦っている間、私の体はどうなっていた?」
「どうと言われても、普通に寝てましたよ」そう答えたのは佐々木さんだ。
「そうだろうね。予想通りさ。つまり、夢の中に入り込むのは精神だけで、肉体はそのままという事なのさ」
僕は、この時点でようやく、車多さんが何を説明しようとしているのか理解した。
『肉体はそのまま』
つまりは・・・・・・
「2人の人間が密室に入り、1人は遺体で発見されて、1人は行方不明。さて、1人はどこに消えたかと言うと・・・・・・」
車多さんは、コツコツと靴音を上げ歩き始める。
そして、明らかに足音に異変が起きる。
「この地下室には、さらに下があったのさ」
そう車多さんは叫ぶと、拳を地面に叩きつけた。
そして、夢以外で最後に滝川晴人と会話を交わした場所。
「それで、ここで何をするつもりなの?」と艶子さん。
僕らは、何も聞かされずにここまで来たのだ。
車多さんは、この場所にたどり着いてから、周囲をくるくると歩き回っている。
その様子から、車多さんの目的がわからず、僕らは困惑していた。
やがて―――
「さて、そろそろ頃合ってやつなのかもしれないね」
そう、車多さんは顔を上げて、僕らに声をかけた。
「今回の事件には、わからない事が多すぎたのさ。例えば、晴人くんの事。彼は、なぜか賢志くんの夢の中でのみ現れる。そして、彼には遺体がある。でも、晴人くんは生きている。ほら、言葉にしてみても意味が分からない。これはどういう事なのだろうか?一体、彼はどういう状況なのだろうか?」
その問いに誰も答えない。いや、答えられなかった。
車多さんは、その様子を確認すると、再びしゃべり始める。
「今回の事件を私なりに考えてみたのだけれども、可能性を考えるだけならいくらでも浮かんでしまう。なぜなら、無限に広がってしまう可能性を収縮させる物が存在しないからね。それは何か?それは証拠だよ。どんなに物的証拠を探しても、それは夢の中にのみ存在しているのだから、当たり前と言えば当たり前なのだけれども」
「話しが長すぎるわ。もっと、わかりやすく」と艶子さん。
それに対して車多さんは「艶子は手厳しいな」と笑う。
笑いながら「そう、私は証拠を求めてここへ来たのさ」と言った。
「実は、私は晴人くんの死を聞かされた後でもこの場所を訪れていなかったのさ。一度くらい、この場所を訪れていれば、ここまで悩む問題ではなかったのにね」
 車多さんの言ってる事がよくわからない。
この場所に何か証拠と言える物が存在しているという事はわかった。
そして、おそらく、それは・・・・・・
僕の脳裏に浮かんだのは、かつての沢村さんと交わした会話。
『影武者はどこに消えたのか?』
そのフレーズが妙に引っかかりを覚える。
もう少し、もう少しで車多さんの思考に追いつけそうな気がしている。
「一応、確認しておこう」と車多さんは、艶子さんと佐々木さんに問いかけた。
「私が賢志君の夢に入り込み、ピエロと戦っている間、私の体はどうなっていた?」
「どうと言われても、普通に寝てましたよ」そう答えたのは佐々木さんだ。
「そうだろうね。予想通りさ。つまり、夢の中に入り込むのは精神だけで、肉体はそのままという事なのさ」
僕は、この時点でようやく、車多さんが何を説明しようとしているのか理解した。
『肉体はそのまま』
つまりは・・・・・・
「2人の人間が密室に入り、1人は遺体で発見されて、1人は行方不明。さて、1人はどこに消えたかと言うと・・・・・・」
車多さんは、コツコツと靴音を上げ歩き始める。
そして、明らかに足音に異変が起きる。
「この地下室には、さらに下があったのさ」
そう車多さんは叫ぶと、拳を地面に叩きつけた。
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