スキルゲ

チョーカー

僕の提案

 「・・・・・・というわけです」

 僕は昨夜の夢を語って聞かせた。
 文字通りの夢話。至急、集まってもらった面々の反応は鈍い。
 場所は本陣の会議室。
 メンバーは藤川艶子さん、佐々木良嗣さん、車多薫さん。
 本陣代表の3人に加えて沢村裕さんに来てもらった。
 僕を含めて4人が会議室にいることになる。
 仮面を利用した記憶の記録。これを抽出して映像化する事は容易い。
 西田健一の研究情報。
 以前の僕は、西田健一の仮面スキルを使うことすら忌み嫌っていた。
 しかし、その情報を求める人間は数多くいた。それらを丁重にお断りし続けていたわけだが・・・・・・。
 最近では、それを公開するのに抵抗はない。いや、仮面に対する抵抗感が消えたのだ。
 僕が、西田健一の研究情報を公開した事で、それらの研究者との繋がりもできた。
 要するに、仮面の記録を映像化するための機材を揃える人脈が僕にはあるのだ。
 そして、昨夜の夢を映像化してみせた。その結果が現在である。

 「とりあえず、賢志くんが見た夢なのはわかったけど」と最初に口を開いのは艶子さんだった。

 「これがただの夢じゃなくて現実?あれ?ややこしいわね。とにかく、実際に行われている事なの?」

 艶子さんの言う通り、確かにややこしい。
 僕は、少し悩んで言葉を選んだ。

 「艶子さんが言いたい事は、この映像がただの夢ではなく、モンスターによる未知の攻撃であり、夢と結界の混同化が行われた事を事実として証明できるか?という事でいいですか?」

  艶子さんは「そうね」と頷いた。

 「現時点で証明はできません。ただ、証明する方法はあるかと・・・・・・」

 僕は視線を車多さんに送る。釣られて会議室の面々も視線を車多さんへ向く。
 視線を受けた車多さんは不機嫌そうな表情だ。
 いや、視線を受けたから不機嫌になっているわけではない。
 会議室に集まってもらい、僕が説明を開始した序盤の段階で不機嫌になっていたのだ。
 原因はたぶん・・・・・

 「最初に言っておくけど、私のスキルは、そこまで万能じゃないわよ」
 車多さんは、スっと立ち上がり、僕に向かって歩いてくる。

 「私のスキルは人間の神経に関与することはできるけど、君の精神に対して夢に関与するってのは専門外なんだけれどね」
 そう言い、僕の額に人差し指を当てると―――

  
 

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