スキルゲ

チョーカー

夢から踏み出して

 バッと跳ね起きる。
 場所は自室。僕のベット。
 今までの夢だったのか?
 いや、違う。頭の中にモヤがかかっている感じがしている。
 急激に記憶が奪われいる。
 僕はすぐに仮面スキルを召喚。と同時に装着する。
 何とか記憶の消滅だけは防いだ。
 あの後、ピエロとの戦いの後、夢から覚める僅かな時間。
 十分とは言えないけれども、晴人の話を思い出す。

 「どうやら俺はお前の夢の中に閉じ込められてるみたいなんやわ」
 「夢の中・・・・・・。確かに、そうとしか思えないけれどどうやって?」

 僕の質問に晴人は険しい表情を見せた。そして・・・・・・

 「ええか?ここで話せるのは、お前の目が覚める僅か時間のみや。短く言うで。あのピエロ野郎は、お前の悪夢と結界を結びつける事によって夢の世界の住民と化してる。だから、瞬間移動や不死身性を有しておるんや。夢だからな。それに俺は巻き込まれてここにいる。俺がここから脱出するためには、アイツを倒さなあかん。アイツの正体はやな・・・・・・」

 晴人は一気に、早口で捲し立てていく。僕は口を挟んで疑問も述べる間すら存在しない。
 しかし、晴人は最後まで喋れなかった。喋り終える前に変化が起きたのだ。
 空間の歪み。グニャグニャと世界がねじ曲がっていく。
 そして、夢の世界が崩壊していく。

 「ええか?起きたら直ぐに仮面をつけて記憶の損失を防ぐんや。お前は忘れてるやろうけど、俺等は何回もピエロ野郎と戦ってるやで?アイツの能力で夢の戦いは忘れさせられてる。あのピエロ野郎を倒すためには、アイツの思い入れの強い場所を―――で倒す必要がある―や。だか―――あのばし――で寝るん―。あ―――を現実に――――し―――てる」

 殆ど後半は聞き取れないようになっていたが、ノイズと遠のいていく晴人の声を聞き逃さないと手を伸ばす。必至に離れていく世界に留まろうとするが、意識が覚醒していくのがわかる。
 最後は晴人の名前を叫ぶのがやっとだった。

 そして、僕は目を覚ました。
 おそらく、今まで戦っては消滅していたのであろうピエロの記憶。
 今回は、持ち越す事に成功した。
 晴人の話を吟味し、紐解いていくと、そういう事なのだろう。
 あのピエロの正体がなんのかわからない。
 どうやって、なぜ、僕の夢に住み着いているのか?
 それも晴人と共に・・・・・・。
 全くの謎。解ける様子もない。
 けれども―――
 なんとか―――
 尻尾を掴んだ感触を持っている。
 

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