スキルゲ

チョーカー

日常に隠れる違和感

 目を覚ますと台所の机にうつ伏せで寝入っていた。そう、まさかの二度寝だった。
 スマホのめざまし機能がなかったら、完全に遅刻していた所だ。
 どこか、奇妙な違和感に囚われながらも準備を済ませ、学校へと出かける事にした。
 途中、学校へ近づけば、近づくほど足取りが重くなっていくのを感じる。
 よくは思い出せないが、最近、よく見る夢の舞台が学校だったのではないか?
 足を止めて、じっくりと思い出してみる。
 そう言えば、最初にあの人と会ったのも夢の中だったの・・・・・・。
 いや、違うか。あれは現実だったわけで。
 いやいや。違う違う。
 それも重要だけど、何か間違っている気がする。
 どこか、こう・・・・・・ドバっと!?
 僕の背中から「バーン」と効果音が聞こえてきた。
 誰かが何かで叩いてきたのだ。僕の思考は、後方からの攻撃で中断された。
 後ろを振り向くと、悪友の赤坂由がいた。
 「おはよ~」と明るい声を演出しながら、カバンを鈍器のように振り回して来る。
 先ほどの一撃も、この鈍器による攻撃だったのだろう。
 「むむむ」と、何かやり返してやりたいところだが、うまい手段が思いつかない。
 仕方がないから、由の頭部を両手で鷲掴みにして自分の太ももに押し当てる。
 由の「ちょ、たんま。タンマ」と言う声は聞こえない。聞こえない。
 そのまま、相撲の四股を踏むような動作でココナッツクラッシュと爽やかな朝の挨拶を兼用してみせた。

 由と無駄話を続けながら登校していく。

 「学食のメニューが~」「最近の若手芸人のプロ意識が~」
 「あの人気漫画家の前作はエロゲのセリフを大量に~」

 本当に無駄話ではあったが、久々に気が緩めれたようだ。
 いや、むしろ学校へ行くのに気を張っている方がおかしいのだが―――

 そんな、こんなで学校に到着した。
 廊下を歩いていると不思議な感覚がしている。
 日常的に歩いている場所のはずが、まるで既視感を受けているようで―――
 やっぱり、夢で見ていたのだろうか?  
 ここで何か、誰かが戦っていた気がする。僕ではない誰か。
 それは、誰だったのか?
 僕は頭を振って正気に戻る。きっと疲れているのだろう。
 ここまで夢を気にする自分がおかしいのだ。
 そう自分に言い聞かせて、自分の教室に入る。
 でも・・・・・・。
 その教室にも違和感が感じられた。
 まるで、誰かいなくなっているような違和感を。

 
 

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