スキルゲ

チョーカー

奇妙な覚醒

 夜が明けて、朝日の光が周囲を照らしていく。
 僕は家へ帰り、風呂場で熱いシャワーを浴びて汚れを落とす。
 どんだけ戦いたくても、悔しいかな僕の本分は学生・・・・・・
 あれ?学生の本分だったけ? うまく頭が働かない。
 まぁ良い。学校で授業が始まれば、体も休めれる。
 ゆっくり学校で休息を取ろう。
 風呂場を出て、学生服に着替える。時計を見ると、学校に向かうにはいい時間になっている。
 台所に向かうと、簡単に食事が用意されていた。
 相変わらず、両親は帰ってないらしい。いや、食事の準備はしているのだから、帰ってきているのだろう。両親の姿を最後に見たはいつ以来だろうか?
 しかし、そういう家庭だからこそ、僕は人を助けることができるのだ。
 そう、人助け。1日3時間の睡眠だけで街へ繰り出す。学校では授業中に居眠り。
 世間ではアウトサイド的と思われる生活リズムを刻みながら、僕がやっているのは人助けなのだ。
 夜な夜な、モンスターに襲われている人間を助けて回っている。
 「こんな事を続けていたら死んじゃうよ」そう言われた事もある。
 でも辛いのは今だけだ。多くの人を助けていけば、その分、モンスターと戦える人間が増えていくということだ。そうすれば、僕のように他人を助けようとする人間、助ける力を持った人間が―――
 だから僕は―――


 気がつくと時間が経過していた。
 場所は学校。時計を確認すると昼休みが終わっていた。
 学校が始まって4時間くらいが経過していた事になる。
 その間、誰も起こさなかったのか。
 クラスメイトはともかく、教員にすら起こされないとは・・・・・・
 いや、それにしては何かがおかしい。
 時間を再び確認する。確かに昼休みは終わっている時間だ。
 つまり、授業中のはず。
 なのに、クラスに誰もいないのは、どういうことなのだろうか?
 一番、現実的な答えは、僕が寝ている間に急な移動教室が行われ、置いてけぼりを食らってしまった。
 と、いう事なのだろうか?
 ちなみに二番目は、地震や火事で避難してしまったと推測してみるが・・・・・・
 その場合は置いてけぼりどころか、見殺しにされているわけなので考えないようにしてみる。
 念のため、窓からグランドを覗いてみるが、全校生徒の避難が完了してる様子はない。
 仮にも授業中とあって、教室から外に出るのは多少の抵抗があったが、覚悟を決めて退出した。
 誰もいない。 隣のクラスも、そのまた隣のクラスも無人。
 隣の隣の隣も、無人。廊下の端から端を全力疾走して確認してみても無人であった。
 流石の僕も、これには異常性を感じられた。
 学校から人が消え去っている。
 全校生徒は、確か300人くらい。僕が寝ている間に300人がいなくなってしまった。
 これはおかしい。これは奇妙だ。
 なぜなら、僕にとっては、こういう現象が日常茶飯事だ。
 モンスターが出現する時、周囲に結界が出現して、スキル使い以外の人間は結界からはじき出される。
 これは、そういう現象。そのはずなのに・・・・・・
 この僕が感知できなかった。感知できずに惰眠を貪っていた?
 その異常性が、僕に不安感を煽ってくる。
 一体、何が起こっているのだろうか?

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