スキルゲ

チョーカー

動きなき膠着の戦闘

 お互い脱力した状態。
 攻撃の意を読み合い、攻撃のタイミングを合わせようとしているのがわかる。
 その姿を第三者が見れば、まるで西部劇のガンマンの決闘ように映るかもしれない。
 僕と北川幸二。両者の決定的な差は火力だ。
 北川幸二のスキルは爆破の攻撃魔法系スキル。爆弾そのものを飛ばしてきたり、爆破の威力を持つ両拳を叩きこんでくるかもしれない。
 一撃で勝敗を決める…… いや、勝敗どころか、相手の生死すら決めかねない攻撃。
 その攻撃は西部劇のガンマンと例えるに足りるだろう。
 それに相対する僕は、火力不足。
 僕の持つショートソードは、決して殺傷力が低いわけではない。
 しかし、その一撃を食らわすためには、北川幸二の攻撃を掻い潜り、距離を詰める必要がある。
 幸いにして、僕のスキルは移動系スキルに加速スキル。
 北川幸二の攻撃を読みきり、ギリギリのタイミングで避ければ、一瞬で攻撃の間合いに入れる。
 ゆえに後手必勝のスピード勝負。
 さながら、西部劇のガンマンのように……

 一瞬、北川幸二の体がぶれる。
 フェイント。それに釣られて動きそうになるのを堪えた。
 再び静止の膠着状態。中々、タイミングが合わない。
 それはそうだろう。僕のタイミングが合うと言う事は、北川幸二の敗北を意味しており、彼のタイミングが合うという事は僕の敗北を意味している。
 タイミングの探り合い、奪い合い。それがそのまま勝敗に直結しているのだからだ。
 さっきから一歩たりとも動いていないはずなのに呼吸が乱れる。
 いつの間にか、額に汗が浮かんでいる。
 それは、僕だけではなく、北川幸二にも疲労が顔に浮かんでいる。
 このまま、どちらかの集中力が切れるまで膠着が続くのだろうか?
 しかし、それも性に合わない。僕の性格に合わない。
 ならば、ここで切るか?切り札ってやつを

 その思考が隙となったのだろうか?
 北川幸二が動いた。小さなモーションで何かを飛ばしてくる。
 その何かは当然、爆弾に決まっている。
 僕のプランはそれをギリギリで避け、一撃を決まること。
 しかし、もう手遅れ。仮に爆弾を避け、距離を詰めたところで北川幸二の反撃の体勢は整っているだろう。 
 あの拳の威力。接近戦が弱いわけではあるまい。
 そして、迫り来る爆弾。
 僕は避けることを止め、取得して間もない新スキルの発動をおこなった。

 

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