スキルゲ

チョーカー

拝田アキラ

 現れた人物を見て、僕の口から自然に「デカイ」と漏れた。
 それは、人物の風貌、容姿ではない。彼が肩に担いでいる武器だ。
 大剣。その大きさは武器の所有者の身長と同じくらいだろうか。
 もしかしたら、それ以上なのかもしれない。
 無骨で無駄な付属品もないソレは、馬鹿デカイ包丁のようにも見える。
 何度か、大剣使いを見てきたが、その人物が持つ大剣は独特だった。
 ひょっとすると、僕が知らないだけで、大剣ではない別武器ではないか?
 そう思うってしまうほどだ。
 それに対して、持ち主は普通の少年だった。
 スラッとした長い手足は、その武器を使うには、ひどく不似合いだなぁ。
 そんな感想を抱いてしまうのは、彼が無個性というより、彼が持つ規格外の武器が、持ち主の個性をかき消しているのかもしれない。
 そんな、黙って観察をしている僕に彼は、ごく当たり前のように挨拶をしてきた。

 「こんにちわ。というより、おはようございますかな?」

 爽やかな笑顔で挨拶。
 慌てて、僕も「おはようございます」と挨拶を返した。

 「僕は拝田アキラ。よろしく」

 簡単な自己紹介を受けた。
 やっぱり、彼の目的は、僕と同じ山篭りで狩りを行うことだった。
 しかし、獲物のレベルが違った。
 彼は言う。

 「僕はボス狩りを主としているんだよ」
 「ボス狩り?わざわざ、ボスモンスターを狙ってるのかい?」

 少し、驚いた。 ボスを倒したって得られる恩賞はただが知れてる。
 特別なアイテムがもらえるわけでもなく、得られるのは莫大な経験値だけ。
 ボスを倒すのは、自分達の生活に害があるからであって、好き好んで自分から倒しに行く者は、ほとんどいない。
 むしろ、割が合わないと敬遠したがるものなのだ。
 それほど、ボス狩りはメリットよりもデメリットが多く、かつリスキーな行為なのだ。
 それを自分から進んでボス狩りを行う人間がいるだなんて。
 しかし、ボス狩りを行うなら1人でいるのは妙だ。
 ボス戦は、人数が多ければ多い方が有利。
 極端な話、石を投げて1のダメージを与えれるなら、1万人で石を投げれば1万のダメージになる。
 その考えからボス狩りを行う集団は、最低でも10人以上。
 事前に緻密なブリーディングで各々の役割を決めて行うもののはずだが?

 「それで仲間はどうしたんだい?はぐれたの?」
 「仲間?いや僕は基本的にボス狩りはソロで行うんだよ」

 一瞬、意味が把握できなかった。
 ソロ?1人でって意味か?
 この山にいるボスがどんなものか、想像できなけれども、それにしても・・・・・・
 ボスって1人で倒せるものなのか???

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