スキルゲ

チョーカー

深夜の激闘

 時計を見ると、草木も眠る丑三つ時・・・・・・
 要するに深夜2時を越えてる時間帯だ。
 こんな時間に艶子さんは何をしに来たのだろうか?
 そんな当然の疑問も口に出せずにいた。
 うまく言えないけど、尋常じゃプレッシャーが艶子さんから発せられてる。
 沈黙が重い。無駄に時間だけが経過していく。
 よし、意を決して訪ねて見よう。
 そう、覚悟を決め、口を開きかけた瞬間に艶子さんの方から声をかけてきた。

 「ねぇ、賢志くんは、エルちゃんの事、どうするつもりなの?」
 「どうと聞かれても・・・・・・」

 虚を衝かれた言葉だった。完全なる不意打ち。
 いずれ考えないとはいけない事だとはわかっていたが、極力考えないように頭の隅へおいやっていた事だ。
 僕、王越賢志はエルの事をどうしたいのだろうか?
 頭を捻って考える。考えるも、今後のビジョンというものが思い浮かばない。
 彼女の正体がモンスターと知った今でも彼女を守りたいという気持ちに変わりはない。
 しかし、現実はどうだろう。
 僕は守りたいと思っても、一介の高校生に何ができるのか?
 彼女を一生、守り続ける覚悟はあるのか?
 様々な言葉が重圧に変化して頭の中を飛び回る。
 もう、思考能力はショート寸前だ。
 そんな僕の様子を見ながら艶子さんは話しかけてきた。

 「もし、エルちゃんを自分の人生を賭けて守りたいと思ってるなら・・・・・・」

 そう言い、言葉を止めた。そのまま、沈黙。
 思わず「艶子さん?」と問いかける。
 どこか、おかしい。
 なにか、こう・・・・・・ うまく言えないけれども、重大な決心をしようとしてるような・・・・・・
 つまり、覚悟を・・・・・・

 「私と結婚しましょう」

 プロポーズだった。プロポーズされた。
 え? プ、プロポーズ!?

 「いや、僕はまだ結婚できる年齢じゃないんだけど?」
 「私は全く構わないわ!?」
 「え?気分次第なの!?」
 「私と結婚したらエルちゃんも含めて一生面倒を見てあげるわ。心配しなくても孫の代まで十分な貯蓄はあるわよ」

 貯蓄すげぇ!?何億円くらい貯めてるんだ?

 「さあ!早く返事してよ!結婚するの?しないの?やっぱりするの?」

 凄い剣幕で攻められた。
 どうしよう?どうしよう?どうする?
 だって結婚だぞ?人生の岐路じゃないか。
 今日、ここで全てが決定してしまうというのか!
 よし!僕も男だ!答えをだそう!

 「えっと、心の準備ができたら、あらためてお返事をさせていただきます」

 そう、答えるのが精一杯だった。

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