スキルゲ

チョーカー

爆破魔法

 閃光。爆音。衝撃。
 僕らの攻撃が到達する前に、爆風が身を襲う。
 体が宙へ浮くほどの衝撃。
 だが、この程度の攻撃など、もう慣れ親しんでいる。
 横目で晴人の様子も確認するが同じく問題ないようだ。
 素早く、体勢を立ち直らせ攻撃の主を視線を動かす。

 男。
 年齢はよくわからない。20才は越えているだろうか?
 青く染めた髪を腰の位置まで伸ばしている。
 黒いマントに身を包ませ、本物の魔術師と錯覚させるかのような雰囲気を醸し出している。
 その格好には、どこか、わざとらしさが隠されており、より警戒心を高めさせた。

 「賢志、油断したらあかんで。既に攻撃魔法を展開させてるみたいやで」

 晴人の声で僕も気がついた。
 彼の周囲には黒い円球の物体が複数個、フワフワとシャボン玉のように浮かんでいる。
 最初の爆発もアレが地面に接触して直後に起こった。
 おそらく、アレが攻撃魔法の正体。
 男の手の動作に合わせて、球体は僕らへと向かって来る。
 速さを感じさせるスピードではない。むしろ、ゆったりとした遅いスピード。
 しかし、幾つもの球体が拡散され、広い範囲で男の周りを漂う結果になった。
 まるで地雷原。
 自身の体を爆発物で守ると言う異常な発想。
 そんな男が一歩、一歩とゆっくりと歩いてくる。
 しかし、急に男は歩みを止め、口を開いた。

 「お前、王越・・・・・・ 王越賢志か?」

 なぜ、コイツから僕の名前が? 
 近づいてきた彼の顔をマジマジと見るも、僕の記憶に一致する顔はない。

 「だれだ?お前?」
 「やはり、やはりか。あの王越賢志か。ならば、アレが私の支配下から外れるの道理」

 彼は笑った、狂い果てたかのよう、笑い狂う。
 その笑いは、まるで・・・・・・

 「油断大敵やで」

 晴人は黒炎を身に纏い、地雷原を完全無視。 そのまま突っ込んでいく。
 直接、爆破を生身で体験して、黒炎の防御スキルで耐え切れるものと判断したのだろう。
 しかし、ばら蒔かれた爆弾の球体は晴人を完全無視。全ての球体が晴人ではなく、僕へと移動を開始してくる。
 僕は移動スキルを使い、大きく後退する。どうやら、球体には誘導性があるらしく、フワフワと追いかけてくる。だが、やはり速度は遅い。
 あの男は一体何を考えている? 全ての攻撃を目前の晴人ではなく、僕に向けるとは・・・・・・。
 僕は爆破物に注意を残しながら、謎の男と晴人の1対1。タイマンに目を向ける。
 黒炎の防御スキルに身を守られて晴人。それに対して爆破の魔法スキルを僕へと向け、無防備になったはずの男。
 この状態で、謎の男は予想外の行動へでる。
 素手による直接攻撃。
 こともあろうに、彼は素手で晴人の黒炎へと殴りかかっていったのだ。
   

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