スキルゲ

チョーカー

フライングヒューマノイド

 学校を飛び出して、翔ぶが如く駆け出した僕ら。
 全力疾走による無酸素運動でテンションもハイになっていく。

 「なーなー。フライングヒューマノイドってどう思う?」
 「おう!俺も宇宙人とかUFOとか大好きやで!?」
 「あれって、もしかして、天使じゃなくてフライングヒューマノイドじゃねぇ?」
 「賢志もそう思っとたんか!あると思います!?」

 意外な共通の趣味が見つかり、ボルテージも跳ね上がっていく。

 「しかし、人間が単独で空を飛ぶ機械って、一般的に知られてないだけで意外とあるらしいよ」
 「マジでか!?」
 「30年くらい前のオリンピックじゃ、開会式で30秒だけ空を飛ぶ機械が披露されたんだぜ」
 「マジか!30年後の現在じゃ、もっと凄いマシンが開発されてるかもしれへんな!」

 晴人が僕の移動スキルの存在を思い出すのは数分後だった。
 正直、僕本人が忘れていた事実に少なからぬショックを受けた。
 我ながら、何と言う鳥頭。
 しかし、ハイになってる僕らは止まらない!

 「俺の炎で空力形状を作る。タイミングを合わせて、行くで!」

 後ろに背負った晴人の声に合わせて急加速していく。空気の壁にぶつかり、壁を突き抜けていく感覚。
 そのスピードは過去最速のレコード記録だ。

 「ぬぐぐ。重い」
 加速時の圧力はいつもの事だが、普段と違って晴人をおんぶした状態での加速により・・・・・・
 まぁ、僕の細腕じゃ重量オーバーなわけなのだ。

 「我慢やで!いつも通り、個別に加速したら、空力の恩賞は受けれへんからな」
 「その空力って何?」
 「いや、俺も理論はよくわからへんねん」
 「・・・・・・」

 学校から約1キロ地点。
 僕らが見た人影は、ここら辺だったはず。
 しかし、上空を眺めても、それらしいものは見えなかった。

 「骨折り損のくたびれ儲けって奴かな?」
 「まぁ、こんな簡単に見つかるなら、噂なんて曖昧なものにならんわな」
 「授業サボったな・・・。なんて言い訳しようか」
 「まぁ、天気がいいから外に出て2人でお昼寝してました。これで通すか?」
 「男2人でお昼寝とかやめろ」
 「え?なんでや?」
 「お前が、そのボーイズラブ的なノリをOKにしてるから、俺まで実害を被ってんだよ。これ以上、クラスの女子を腐らすな」
 「ほえ~ さいでっか」

 そんな、いつもの馬鹿話は突然起きた爆発によって遮られた。
 偶然ではない。なぜなら爆心地は、僕らが立っていた場所だったからだ。
 晴人は黒炎でガード。僕は移動スキルで回避して難を逃れていた。
 運や感で避けたわけではない。もちろん、爆発を認識してから避けるなんて人間離れした身体能力も持っていない。
 避けれたのは、単純に爆発を起こした外部からの要因が見えたからだ。

 「この攻撃は魔法系か?」
 「せやな。攻撃魔法系スキルなんてレアな奴や」

 2人で周囲を確認する。僅かながら、どこかに人が潜んでいる気配がする。
 小さな音。普段なら気にもしないほどの小さな物音。
 この音が合図になり、僕と晴人は音の出どこに同時攻撃を繰り出した。
 

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