スキルゲ

チョーカー

規格外の威圧感

 西田健一の移動系スキルの射程距離は約1キロ。
 陸地から1キロの範囲で探せば、簡単に発見できるはず。僕はそう考えていた。
 その考えは甘かったと評価しなければならないだろう。
 自然のままに、草木の生い茂る無人島を検索するのに、どれほどの時間が必要かを考えていなかったのだ。
 なんか、晴人は砂浜で大の字でへばってるし・・・・・・。

 体力が回復するまで休憩していた晴人も加わり、無人島を歩き回る。
 大鎌、日本刀、ショートソード。 全員の武器スキルが刃物系ということが幸いして、道なき道も進められる。
 なかでも、武器レベルの一番高い加藤は、草木どころか地形すら変化させるほどの破壊力だった。
 無人島にも所有者がいるよな?いいのかこれ?
 取り敢えず、何も見なかったことにして進むことにしよう。
 僕は何も知らない。僕は何も見ていない。
 しばらく回ってみたが、最初の島にめぼしいものはなかった。
 もっとも、 探索系スキルをもっているのは晴人1人だけだ。それも低レベルのスキルだけだから、地下などに本気で隠れられたら見つけられないかもしれない。
 そうなったら、本格的に後方部隊が到着して探索するしか発見するすべはないのだろうが、僕らも僕らでできることはあるはずだ。
 そもそも、尖兵ってそういうものだ。そう自分に言い聞かせて、焦る気持ちを抑えていく。

 2つ、3つと無人島探索を終わらせ、次に向かおうとした時だった。
 次に向かおうとした島からとてつもない威圧感、プレッシャーを感じたのだった。
 今までに感じたことのレベルの威圧感。 西田健一のものでも、あいちゃんのものでもない。
 もっと野性味があるといえば良いのだろうか?
 強いて近いものを上げるとしたら、かつて戦った巨大スライムがそれに一番近いのかもしれない。

 街など人の多い場所で強いモンスターは滅多にあらわれない。
 少し前に晴人から聞いていたが、すっかり失念していたことだ。
 逆に言えば人の少ない場所では強いモンスターは討伐されにくいということだ。
 自然のボス級モンスターか? それとも、この環境を利用して西田健一が作ったモンスターか?
 現時点では判断がつかない。しかし、偶然ということはないだろう。
 後者の可能性が断然として高い。

 「取り敢えず、近寄ってみるか?流石に結界内まで入らんと攻撃を喰らうこともないやろ?」

 晴人の提案によって、結界のギリギリの位置まで近づくことにしてみた。  

 

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