スキルゲ
館の中へ
あいちゃんに先導され、屋敷へと向かって進んでいく。
周囲を照らす灯りのおかげで、歩きやすく、コケることもなくなった・・・・・・という事はない。
地面の凹凸は、周りの木々から落ちた葉で覆われ、目視による確認が不可能になっている。
目に頼れるようになった分、油断して何度も倒れそうになった。
やがて、大きな門が見える。使われなくなって、何年も野ざらしになってたはずだが、今でも役割を果たせそうな頑丈さがある。よく見ると補整された跡がある。あの仮面の男が日曜大工で直したのだろうか?
門をくぐると、正面に噴水があり、屋敷の玄関まで迂回して歩くようだ。
山の一部を削って、平地を作ったのだろうか?
屋敷の後ろは急な斜面になっている。もはや、崖と言っても良いかもしれない。
門から連なる壁は、健在で破損の様子もない。外には森が広がってる事を考えれば、夜間の侵入を十二分に防げるのだろう。
つまりは、鉄壁の要塞。
仮面の男がここを根城にしてるのは、大人数の襲撃に備えているからだと容易に想像できた。
まずは1人で来て正解だったのかもしれない。
僕の思考を知ってか、知らずか、あいちゃんは僕の様子を伺いながら誘導してくれた。
玄関に着くと、自動的に扉が開いた。恐る恐る、中を覗くと室内も暗闇に閉ざされていた。
そう思った瞬間、一斉に室内の照明器具に光が灯る。
「人を反応してスイッチが入るタイプの照明か。見かけによらずハイテクだね」
我ながら敵地で、ずいぶんとノンキな事を言っている。そう自覚しながら、あいちゃんに目をやる。
すると、あいちゃんは中に入ってこず、玄関の外で立ち止まっている。
なるほど、吸血鬼は家主の許可なしで建物内に入れない生物だ。
ここの家主は、仮面の男ではなく、ここの正統な持ち主ということなのだろう。
「我が案内するのは、ここまで。ご主人様が望んでいるのは1対1の対話じゃからな」
「・・・・・・」
どうやら、違ったようだ。
そんな、僕の思考を知ってか、知らずか、あいちゃんは室内の案内を始めた。
「ご主人様が待っている場所は客間じゃ。 中へ入り、すぐ右側の扉。そこへ行くが良い」
「あっ、うん。ありがとう」
自然と出てしまった御礼の言葉に、一瞬だけあいちゃんは驚いた表情を見せた。
「今現在、我と貴様は敵だと言うのに、随分とユルい男よ」
少し、違和感を覚える喋り方で気になったが、僕は進むことにした。
扉の前。鼓動が高まっているのを自覚する。
この中に奴がいる。
僕を呼び出した目的は何か?とても、想像がつかない。
場合によっては戦闘、そして死。
それでも僕は・・・・・・。
脳裏に艶子さんの姿を浮かんできた。
こうして、僕は扉に手をかけた。
周囲を照らす灯りのおかげで、歩きやすく、コケることもなくなった・・・・・・という事はない。
地面の凹凸は、周りの木々から落ちた葉で覆われ、目視による確認が不可能になっている。
目に頼れるようになった分、油断して何度も倒れそうになった。
やがて、大きな門が見える。使われなくなって、何年も野ざらしになってたはずだが、今でも役割を果たせそうな頑丈さがある。よく見ると補整された跡がある。あの仮面の男が日曜大工で直したのだろうか?
門をくぐると、正面に噴水があり、屋敷の玄関まで迂回して歩くようだ。
山の一部を削って、平地を作ったのだろうか?
屋敷の後ろは急な斜面になっている。もはや、崖と言っても良いかもしれない。
門から連なる壁は、健在で破損の様子もない。外には森が広がってる事を考えれば、夜間の侵入を十二分に防げるのだろう。
つまりは、鉄壁の要塞。
仮面の男がここを根城にしてるのは、大人数の襲撃に備えているからだと容易に想像できた。
まずは1人で来て正解だったのかもしれない。
僕の思考を知ってか、知らずか、あいちゃんは僕の様子を伺いながら誘導してくれた。
玄関に着くと、自動的に扉が開いた。恐る恐る、中を覗くと室内も暗闇に閉ざされていた。
そう思った瞬間、一斉に室内の照明器具に光が灯る。
「人を反応してスイッチが入るタイプの照明か。見かけによらずハイテクだね」
我ながら敵地で、ずいぶんとノンキな事を言っている。そう自覚しながら、あいちゃんに目をやる。
すると、あいちゃんは中に入ってこず、玄関の外で立ち止まっている。
なるほど、吸血鬼は家主の許可なしで建物内に入れない生物だ。
ここの家主は、仮面の男ではなく、ここの正統な持ち主ということなのだろう。
「我が案内するのは、ここまで。ご主人様が望んでいるのは1対1の対話じゃからな」
「・・・・・・」
どうやら、違ったようだ。
そんな、僕の思考を知ってか、知らずか、あいちゃんは室内の案内を始めた。
「ご主人様が待っている場所は客間じゃ。 中へ入り、すぐ右側の扉。そこへ行くが良い」
「あっ、うん。ありがとう」
自然と出てしまった御礼の言葉に、一瞬だけあいちゃんは驚いた表情を見せた。
「今現在、我と貴様は敵だと言うのに、随分とユルい男よ」
少し、違和感を覚える喋り方で気になったが、僕は進むことにした。
扉の前。鼓動が高まっているのを自覚する。
この中に奴がいる。
僕を呼び出した目的は何か?とても、想像がつかない。
場合によっては戦闘、そして死。
それでも僕は・・・・・・。
脳裏に艶子さんの姿を浮かんできた。
こうして、僕は扉に手をかけた。
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